ドイツ発、「BUTLERS」の”シャビーシック”な家具が大人気
パップ英子
2016/07/31
「BUTLERS」の店内写真 (c)FinoMagazin
ドイツ発の大型インテリア雑貨チェーン「BUTLERS」
ブダペスト市内のブダ側にあるデパートに足を運ぶと、とってもカラフルで洗練されたインテリア雑貨やオリジナル家具が、所狭しと並べられたショップがあります。そのインテリアショップの名は、「BUTLERS(バトラーズ)」。BUTLERとは、英語で『執事』という意味です。
ツートーンがオシャレな、ホーローのマグやポットが白い棚にディスプレイされた上の写真。この「BUTLERS」、実はドイツ発の大型インテリア雑貨チェーンで、このハンガリーでも「BUTLERS」の雑貨やファーニチャーは大変人気があります。
「BUTLERS」の魅力とは?
「BUTLERS」の店内写真 (c)FinoMagazin
「BUTLERS」の商品は、お手頃な「IKEA」と比べてしまうとやや高めですが、日本でいうところの「Francfranc(フランフラン)」などと価格帯が近いかもしれません。
「BUTLERS」の雑貨や家具で、筆者が一番魅力に感じている部分は、どの製品も色使いが絶妙で、とてもセンスのいいカラー・コーディネートであるところ。
前回までのコラムで、インテリアレッスンとして色彩学の基礎知識をお伝えしましたが、
「BUTLERS」の製品は、それらの配色の基本はすべて押えつつ、その上で応用が効いた、という表現が言い得ているといいましょうか、とても遊び心あふれるカラーのアイテムが種類豊富にそろっています。
ハンガリーでは夏になると、自宅のバルコニーやお庭などに、テーブルと椅子を置いて、外の風を楽しみながらブランチやディナーをいただく家庭がとても多いため、いまの時季は上の写真のように、表で食卓を囲む際に重宝するような、テーブルや椅子のセットが多く見られました。
シャビーシックなファーニチャーが大人気
「BUTLERS」の店内写真 (c)FinoMagazin
「BUTLERS」の店内は、手前にはキッチンツールや食器、テーブルウェア等のさまざまなインテリア雑貨が多数陳列されていますが、奥にはオリジナルの家具が並ぶコーナーがいくつかあります。
シェルフやソファ、テーブルなど、実際のダイニングルームやリビングルームでの用途がわかるよう、家具の配置もセンスよくコーディネートされていてとても素敵なんです。
こちらの写真、白いソファの奥にある、引き出しがとても多い、カラフルなチェスト。
よく見ると、引き出しの表面部分のペンキが少し剥がれているような、古い材質のようにも見えますよね。
「BUTLERS」の店内写真 (c)FinoMagazin
真ん中に映る縦長のチェストも、木の部分の塗装が程よく剥がれていて、引き出し部分がカラフルですが、よく見ると、ホワイトカラーを最初に塗って、その上に、赤やオレンジなどの色を重ねているのがわかります。
この古びたような、少しペンキが剥がれている感じ、これらのスタイルを、皆さんは何と表現するかご存知でしょうか?
これは『シャビーシック (Shabby Chic) 』というもので、世界中のインテリアファンに大人気のスタイルなんです。「BUTLERS」のオリジナル家具を見ていると、古い素材が持つ味わいを生かした”シャビーシック”なアイテムが多いことに気がつきました。
この”シャビーシック”というスタイルを最初に提唱したのは、「Rachel Ashwell(レイチェル アシュウェル*)」というイギリス人デザイナーの女性です。彼女が提唱し始めた「不完全な美」を追求するインテリア・スタイル、それがシャビーシックです。
(*)Rachel Ashwell (レイチェル・アシュウェル)プロフィール
イギリス生まれ。1980年代初頭にアメリカに移住。 1989年8月、米・カリフォルニアのサンタモニカにインテリアブランド「SHABBY CHIC」を創設。インテリアデザインをはじめ、 トータルブランドプロデュースを手がける。現在はCA、NY 、ロンドンなど 世界中に5 店舗の「Rachel Ashwell Shabby Chic Couture Shop」を展開する。
http://rachelashwellshabbychiccouture.jp/philosophy.php
”シャビーシック”をもう少し説明すると、使い込まれて傷がついた棚やテーブルや、ペンキが剥がれたような、古くても味があるアンティークチェアなどなど、それらが代表的な”シャビーシック”のアイテムといわれています。
インテリア好きが注目する”シャビーシック”な家具たち
「BUTLERS」の店内写真 (c)FinoMagazin
アンティーク家具がお好きな人なら、”シャビーシック”な家具もおそらくお好きな人が多いかと思います。
ペンキが絶妙に剥がれているのがオシャレに感じる”シャビーシック”なアイテムですが、それらの色合いはベースがピュアなホワイトであることが多く、その上に淡いピンクやブルー、グリーンなどをミックスしたカラーが多いのも特徴です。
写真に映るクローゼットもまさに、ホワイトベースの上に水色やゴールドを重ね塗りして、そこからわざとペンキを剝がしたような塗装をしていますよね。
「BUTLERS」の店内写真 (c)FinoMagazin
こちらの家具コーナー、右側に映るダイニング仕様のチェストたちも、先ほどのクローゼットよりもさらに塗装が剥がれたように仕上げていますが、とても味わいがあって魅力的ですよね。
色合いが少しアジアン風に見えるからでしょうか、なぜか“大仏”の置物がテーブルの上に!
日本ではあまり見かけない光景かと思いますが、ヨーロッパではこのように、アジアン調なコーディネートの際、大仏や涅槃像などの仏像をインテリア雑貨のようにディスプレイしているのを多々見かけます。
キリスト教徒が多いヨーロッパの人たちにとって、異教である仏教の世界、とりわけ仏像はそのフォルムに神秘性を感じ、とても魅力的に映るようです。
「BUTLERS」の”シャビーシック”なオリジナル家具、ほかにもいくつかご紹介しましょう。
「BUTLERS」の店内写真 (c)FinoMagazin
リビングでも使用できそうな、古き良きダイニングセット。
前回のコラムまでに色相環や、色の3属性などについてご説明しましたが、それらの色彩学をもう一度、チェックいただきながら、「BUTLERS」の家具をご覧いただくと、色の法則が活用されていることがわかるかと思います。
「BUTLERS」の店内写真 (c)FinoMagazin
ソファもホワイトでそろえ、ピュアホワイトをベースにしたリビングテーブルが印象的な家具コーナー。日本家庭は壁が白い家がとても多いので、シャビーシックな家具でもこのようなホワイトベースのテーブルなどはかなり重宝しそうですね。
いかがでしたか?
今回はブダペストでも人気の、ドイツ生まれのインテリア家具・雑貨ブランド「BUTLERS」の店内をご紹介しながら、インテリアファンに愛される“シャビーシック”なスタイルについてご説明しました。
ご自宅にぜひ、“シャビーシック”なアイテムを取り入れて、いつものインテリアにスパイスを効かせてみてはいかがでしょうか?
この記事を書いた人
“FinoMagazin”(フィノマガジン)主宰(編集長)
ハンガリー在住コラムニスト。 食品会社でワインインポーター業務に従事した後、都内の広告代理店に転職。コピーライター、ディレクターとして勤務。百貨店やデパート、航空会社、ベビー・ブランド等のクリエイティブ広告で、インテリア製品のコピーライティング、ディレクション等を数多く手がける。 2013年、夫の国ハンガリーに移住後も育児に奮闘しながら執筆業に邁進。日本の雑誌(出版社)でハンガリー紹介記事(取材・撮影・文)を担当。また、自身とハンガリー人クリエイターとで運営するブダペスト発ウェブメディア“FinoMagazin”でもインテリアを含めたライフスタイル全般コラムを連載。美容メディアにてビューティ・コラム連載、その他、企業のWEBサイトや企画書制作、日本のTV局、広告代理店、メーカーからの依頼でハンガリー現地ロケ・コーディネート等、多岐に渡る業務をこなしている。 自身主宰のハンガリー情報WEBメディア “フィノマガジン” http://www.finomagazin.com/