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人気の観光スポット「ブダ王宮」散策レポート

世界遺産都市、ブダペストを巡る(2)

パップ英子パップ英子

2016/05/15

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「ドナウの真珠」と讃えられる美しい夜景


(c)FinoMagazin ( http://www.finomagazin.com/ )

世界遺産都市に認定されたハンガリーの首都ブダペスト。ドナウ川をはさんでブダ地区とペシュト地区というふたつの街を橋で結んだ都市は、「ドナウの真珠」と讃えられるほど、美しい夜景で知られています。そんなブダペストにおいて最も有名な場所であり、人気の観光スポットでもある「ブダ王宮」。前回に続き、ブダ王宮の散策レポートをお届けします。

写真は夜、ライトアップされたブダ王宮の美しい風景です。ドナウ川に浮かぶかのようなブダ王宮の幻想的な夜景は、実際に目の前にした方であれば、きっと息を飲む美しさのように感じられることでしょう。

“ゴシック、ルネッサンス、バロック”が三位一体となった「ブダ王宮」


(c)FinoMagazin ( http://www.finomagazin.com/ )

ハンガリーの国王たちが代々、暮らしてきた豪華絢爛な「ブダ王宮」。王宮の正面東口にあるこちらの部分は、現在、「ハンガリー国立美術館」(*)として活用されていることを前回( http://sumai-u.com/?p=4908 )、お伝えしたと思います。

(*)ハンガリー国立美術館のハンガリー語表記は“Magyar Nemzeti Galéria”、英語表記は“Hungarian National Gallery”。

ゴシックやルネサンス時代の絵画コレクションはもちろん、コンテンポラリー・アート(現代芸術作品)も多数展示される同美術館には、アート・ファンはもちろん、大勢の観光客が日々、足を運んでいます。

幾重にも大きな戦火に見舞われ、その度に破壊されてきた悲劇の城、ブダ王宮。第二次世界大戦以降、城は最後の復旧工事で土台部分にゴシック様式とルネサンス様式を融合させた状態となり、それに優雅なバロック様式を混在させて再建されました。

現在のブダ王宮と王宮の丘エリア一帯は、ハンガリーが“ハプスブルク家”支配下であった時代に建造された建物、つまり、中世の建物や路地の特徴を再現したものなのだそうです。

破壊と再建が繰り返された結果、ブダ王宮は3つの建築様式が融合された状態となり、幻想的な美しさを持つ現在の“ブダ王宮”に生まれ変わったのですね。

ブダ王宮の館内は現在、ハンガリー国立美術館[Magyar Nemzeti Galéria]以外にも、ブダペスト歴史博物館[Budapesti Történeti Múzeum]、セーチェーニ国立図書館[Országos Széchényi Könyvtár]にも活動の場を提供しています。ブダ王宮は、アートや歴史好きの方にも見どころがたくさんの史跡なんです。


(c)FinoMagazin ( http://www.finomagazin.com/ )

国立美術館として使用される王宮の西面中央に目をやると、このように帽子をかぶった男性と、その隣には、天に向かっていななくかのような馬の銅像があります。この像は見た目通り「STATUE OF THE HORSEHERD」、“ハンガリー人の馬乗りと馬”と呼ばれる銅像です。

「マーチャーシュ王の泉」はハンガリーの“トレビの泉”


(c)FinoMagazin ( http://www.finomagazin.com/ )

さらに歩みを進めると、ブダ王宮の門をくぐった広い広場の脇に、宮殿の壁と一体となっているような、大きく華やかな彫刻に目を奪われました。それは、ハンガリーの“トレビの泉”のような存在、「マーチャーシュ王の泉」というものでした。

写真のいちばん上にいる狩人は、中世ハンガリーが最も繁栄していた頃の王、第34代国王であったマーチャーシュ王の姿です。ほかにも鹿の姿が見えていますね。

王と獲物の鹿、その右下には、まさか国王とは知らずに、マーチャーシュ王と恋に落ちる村の娘イロンカの姿が。さらに、その叶わぬ恋模様を見守る宮廷詩人の姿まで彫られています。

マーチャーシュ王が狩猟を楽しんでいたとき、森のなかで出逢った美しい娘イロンカとのシーンが表現された華やか彫刻。その世界観のモチーフとなったのは、19世紀のハンガリーで活躍した詩人、ヴェレシュマルテェ・ミハーイによるものとのこと。

マーチャーシュ王の泉は、1904年にシュトローブル・アラヨシュという人物により、ロマネスク様式で制作されました。実はマーチャーシュ王は、現在のハンガリー紙幣“1.000フォリント”にもそのお顔が印刷されているんですよ。ハンガリーを訪れる機会がありましたら、ぜひ、紙幣に映るマーチャーシュ王もチェックしてみてください。

小ネタをもうひとつ。“マーチャーシュ王の泉”でも、イタリアのトレビの泉と同様に、この泉のなかにコインを投げ入れると願いが叶うといわれているんですよ。

王宮文化が開花した、マーチャーシュ王の治世


(c)FinoMagazin ( http://www.finomagazin.com/ )

荘厳かつ美しいブダ王宮。この宮殿を舞台に、ハンガリーで王宮文化が花開いたのは15世紀。先ほどお伝えした第34代国王、マーチャーシュ王の時代です。彼は国の中央集権化を進めて軍隊を当時の最新鋭に整備する一方、新しい文化や芸術を数多く宮廷内に取り入れたそうです。

最初にブダペストはドナウの真珠と称されていることをお伝えしましたね。 実は中世の時代、ブダペストはすでにヨーロッパの三粒の真珠といわれていました。三粒とは、“水のヴェネチア、平地のフィレンツェ、丘のブダ” 。

そんな中世の時代からブダペストは、イタリアの水の都、ヴェネチアと、芸術の源泉である都市、フィレンツェと並び称されて、その美しい光景が讃えられていたのですね。


(c)FinoMagazin ( http://www.finomagazin.com/ )

こちらは国立美術館が入っている、ブダ王宮の西面北側の様子です。宮殿の前には大きな庭が広がっています。


(c)FinoMagazin ( http://www.finomagazin.com/ )

ブダ王宮を一通り散策すると、このような見晴らしのよい場所が現れました。視線の先には、前回記事でお伝えした“伝説の鳥”の像と、ブダ王宮の正門が見えています。

衛兵たちの行進の様子もブダ王宮の見どころのひとつ

その反対側にある美しい建物は、ハンガリーの大統領官邸・シャンドール宮殿。大統領官邸やブダ王宮の正門が見える、その大きな広場にいると、写真のように官邸を護衛する衛兵さんたちの行進を見ることができました。

この衛兵さんたちの行進の様子も、ブダ王宮の見どころのひとつなんだそうですよ。その様子を動画として撮影している観光客が大勢いました。

実はこの広場にはケーブルカーの終着地点があります。ブダ王宮の丘を徒歩で上がりたくない方、また、いちばん見晴らしの良い風景を楽しみたい観光客にケーブルカーは大人気。ケーブルカーは1台24名まで乗ることができ、秒速最大1.5メートル、全長95メートルのレールをゆったりとした速度で登っていくそうです。

ブダ王宮の散策レポート、いかがでしたでしょうか? 次回は、このブダ王宮から少し歩いたところにある大人気の観光名所、ブダペスト至上最高の景観が楽しめる「漁夫の砦[Halászbásztya]」、その場所に隣接するマーチャーシュ教会[Mátyás templom]をレポートします。

こちらも素晴らしい光景が広がる、ブダペスト屈指の人気スポットですよ。
ぜひ、お楽しみに!

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この記事を書いた人

“FinoMagazin”(フィノマガジン)主宰(編集長)

ハンガリー在住コラムニスト。 食品会社でワインインポーター業務に従事した後、都内の広告代理店に転職。コピーライター、ディレクターとして勤務。百貨店やデパート、航空会社、ベビー・ブランド等のクリエイティブ広告で、インテリア製品のコピーライティング、ディレクション等を数多く手がける。 2013年、夫の国ハンガリーに移住後も育児に奮闘しながら執筆業に邁進。日本の雑誌(出版社)でハンガリー紹介記事(取材・撮影・文)を担当。また、自身とハンガリー人クリエイターとで運営するブダペスト発ウェブメディア“FinoMagazin”でもインテリアを含めたライフスタイル全般コラムを連載。美容メディアにてビューティ・コラム連載、その他、企業のWEBサイトや企画書制作、日本のTV局、広告代理店、メーカーからの依頼でハンガリー現地ロケ・コーディネート等、多岐に渡る業務をこなしている。 自身主宰のハンガリー情報WEBメディア “フィノマガジン” http://www.finomagazin.com/

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