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言葉が通じなくても何とかなるはずが…

ローカル団地で妻を襲った「公園デビュー」の洗礼(1/2ページ)

藤谷圭司藤谷圭司

2016/04/14

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田舎の人たちは温かい

「アジアローカル暮らし」というとまずは、「言葉は大丈夫なの?」という疑問をもたれることと思います。

日本在住の人はもちろんのこと、ベトナム在住の日本人にも必ず聞かれます。同じベトナムに住んでいても、やはり「英語が通じるかどうか」は大きなポイントです。

これは本当にシンプルなのですが、ボディランゲージで何とかなります。そもそも日本人がウチ1組しかいないので、向こうはこちらに興味深々です。以前、停電したときも、両隣のご近所さんがふたりそろって「大丈夫?」と様子を見にきてくれて、必要な手続きを全部やってもらいました。

どこでもそうなんでしょうが、ホーチミンの中心地に居る人より、離れた田舎の人はすごく温かいんです。

そんな僕らでしたが、妻は引越し直後、真剣に危機感を覚えたことがあったようです。

「私は日本人です」さえもが通じない!

ローカル団地の日中、若夫婦たちは中心地に仕事に行き、幼稚園に行かない小さな子どもや赤ちゃんの世話をするおじいちゃん、おばあちゃんだけが残ります。

彼らは午前中や夕方の涼しい時間帯になると、ベビーカーを押しながらミルク瓶とおかゆの入ったお椀を持って団地の公園に現れます。「お外」が食卓にもなり、社交場にもなるのです。日本でいう「公園デビュー」に近いかもしれません。

当初、妻はベトナム語で話しかけ、ママ友ならぬババ友をつくろうと努力したようです。そのために、ベトナム語もしっかり勉強して、たったひとつの言葉に磨きを掛けました。これを言えば、周りから優しくしてもらえる魔法の言葉、先代の先輩たちの努力にマジ感謝な言葉。

そうです、皆さんすでにご存知のあれです。

「私は日本人です!」

言葉を、発音をちゃんとして、しっかり伝えられるか? これがいちばんのサバイバル戦略なはずでした。

しかし、若夫婦には通じる言葉が、おじいちゃんやおばあちゃんには、まったく通用しなかったのです! 

焦りとストレスで公園へ行くことが苦痛に

ただでさえ田舎、その上、おばあちゃんおじいちゃんとなると、まったく外国人慣れしておらず、どう扱っていいのかわからなかったのもあるでしょう。外国人して扱われるどころか、妻への扱いは、「この子は学校に行けずにベトナム語もろくにしゃべれないかわいそうなベトナム人の子」状態…。

おばあちゃんは、懸命に話しかける妻に「すごく哀れでかわいそうな子を見るような眼差し」を向けながら、何も言わずにすっと抱きしめたのです。

その予想にあまりにも反する状況に、何もできずに受け入れ続ける妻…。

(後から聞きましたが、ベトナム語は6声調からなる言語で非常に発音がむずかしく、ちょっと発音が違うだけでまったく別の言葉になってしまい、南部訛のみの老人と会話することはベトナム語習熟者でもかなりむずかしいそうです)。

この団地は近くに病院もないローカル団地。2歳の娘に何かあったときに、ここの住人たちは助けてくれるのか!?

「これがアジアローカルで生活するってことなのね…」
「外国人向けマンションのあの高い家賃は保険代か…」
「ボディランゲージもおじいちゃんおばあちゃんには一切通用せずか。。」

と妻は結構な不安と焦りを抱えていました。不安と焦りとストレスで、公園に行くことが苦痛な日もあったとか。

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この記事を書いた人

ベトナム在住で、現在、在ベトナム外資系企業に勤務中。 中国の大学を卒業して、その後一貫してベトナム周りのビジネスをして14年目。 アジア田舎暮らしをテーマに、現在も日本人が一家族もいないローカル団地に、家族3人で生活中。

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