外壁塗装の落とし穴 施工中の喉の違和感、吐き気どう対処する
加藤 美奈子
2021/12/22
イメージ/©︎tamu1500・123RF
外壁塗装で家をメンテナンスすることは大切だけど…
新築で建てた家を長く良い状態に保つためには、メンテナンスが大切となります。外壁は、雨や風、台風などで汚れや傷などが発生し劣化していきます。放っておくと、雨漏りなどのアクシデントを起こすので、予防するために外壁のメンテナンスが必要となります。
ある事例を紹介します。
Aさんの家は、建ててから18年が経過し、遠くから見た様子は綺麗な状態ですが、よく見るとあちこち傷んでいたので外壁塗装の依頼をしました。18年前の新築時、建設中の外壁塗装の際は中に入ることはありません。しかし、今回Aさんの家は、普段生活している時に塗装されました。
Aさんの家の塗装風景/著者撮影
塗装2日目に喉の違和感、吐き気
外壁塗装をし始めて2日目に、強い違和感のある異臭を感じ、目がチカチカする、喉の違和感、吐き気を感じました。窓は、すべて樹脂シートで覆われテープできっちり止められ、汚染物質を排気できない密閉状態です。
そこで取った行動は、エアコンの空気清浄換気ボタンを2台稼働し、第三種機械換気(給気口は自然給気で排気口にはファンなどの機械を活用した換気)、および風呂や洗面所、台所での局所換気を行い、さらにサーキュレーターを3台寝室に設置し、室内空気の汚染物質濃度の高いものが寝ているAさんの娘の鼻と口にいかないように拡散しました。
寝室は2階なので夜中の3時でも、まだ刺激臭が部屋中にありました。空気測定器GiA(ジア)で測定するとホルムアルデヒド0.05(指針値0.08)、TVOC(総揮発性有機化合物)が0.45(指針値0.56)で一見、指針値以下なので問題ないように感じるかもしれませんが、Aさんの家族全員が刺激のある異臭を感じた状態でした(Aさん以外は普段においに鈍感だそうです)。
異臭を感じている時のGiAの空気測定器で室内を測定した様子/著者撮影
どのような対策をすればいい?
翌朝、塗装業者に相談し、塗装のスケジュールを確認し、揮発する化学物質量のピーク時期を聞き、夜は、換気できる状態にしてもらえるように、樹脂のシートを一部外してもらえるようにしました。また、避難場所として近所に住む親戚の家に移動し寝泊まりし、工事が終わった後もすぐに入居するのではなく、外壁がしっかり乾きにおいがなくなるまでは家に戻りませんでした。
仮に、空気の悪臭は鼻が次第に慣れるから我慢すればいいと安易に思ったならば、それは非常に危険で、健康被害になるので避けることに努めましょう。
事前にすべき打ち合わせの内容は?
外壁塗装業者と事前にすべき打ち合わせ内容を挙げます。
①外壁塗装を頼む時は、一番においがきつい時期はいつか
②それは避難した方が良いレベルなのか
③樹脂シートを夜は一部開放してもらえるか
など、住む人が知っていると避難時期、避難場所を確保することができ、近隣のホテルに数日泊まればよいことなどが分かります。
住宅のメンテナンスを定期的に行い、建築物の維持をすることはとても大切ですが、住む人の環境アレルギーを予防できるようにこのコラムを読みながら知識を取り入れ、健康被害を起こさない生活を考えていきましょう。
今回のAさんの家は、「初めて行った外壁メンテナンスのAさんの知識不足と業者の情報提供不足」が原因で起こったことです。これらは外壁塗装に限らず、塗装関係(家具など)、すべてに同じことが起きる可能性があります。
この記事を書いた人
春日井環境アレルギー対策センター 代表
子どもがアレルギー起因の喘息で入退院を繰り返した経験から、2011年にアレルギーをもつ子どもの育児をサポートする任意団体を設立。2018年、春日井環境アレルギー対策センターを設立し、健康住宅建築や既存建築物の空気質測定、室内空気環境品質検査認証などを中心に事業展開。アレルギー患者を一人でも減らすべく日々活動している。資格:看護師、環境アレルギーアドバイザー、シックハウス診断士