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冬に多発、ヒートショック。若者も要注意! 一人暮らしでは予防が特に肝心

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交通事故死者数をはるかに超える

近ごろの首都圏辺りでは12月といってもまるで秋だ。しかし、それも半ばを過ぎれば、いよいよ冬本番が近い。そこで、この時期さかんに耳に入るのが「ヒートショック」への注意の呼びかけとなる。寒い季節、家のなかで起こる代表的な健康上のアクシデントだ。

体が急な温度変化に晒されることで、血圧が大きく上下に変動する。それによって心臓や血管にトラブルが生じる。不整脈が起きたり、気を失ったりしてしまう。これがヒートショックだ。心筋梗塞や脳梗塞といった重大な疾患を招くこともある。

ヒートショックといえば、これが原因で亡くなる人の数が、交通事故死者数よりもはるかに多い旨よくいわれる。たびたび引用されるのが「全国で年間約1万7000人がヒートショックにより入浴中に死亡している」と、いうものだ。浴室で倒れたまま亡くなったり、浴槽内で気を失い、そのまま溺死したりする。なおこの数字は、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの公表によるものだ。実は2011年の推計でやや古い。ちなみに、同じ年の交通事故死者数は4,691人(警察庁発表)となっている。たしかに大きな差ではある。

そのうえで、もっと新しいデータを挙げると、昨年22年に交通事故で亡くなった方は2,610人と発表されている。その前年(21年)は2,636人だ(いずれも警察庁)。一方、今述べたとおり、ヒートショックが大きく関わっているとされる「浴槽内での及び浴槽への転落による溺死及び溺水」による死亡者数(お風呂での事故のうち溺れて亡くなった方)は、21年には5,459人を数えている(厚生労働省・人口動態調査)。これだけで、交通事故死の2倍超になるわけだ。いずれにしても、ヒートショックによって毎年多くの命が失われていることに間違いはない。

一人暮らしでは「予防」に特に注意

ヒートショックについて、特に注意したいのは一人暮らしの人だ。

気を失い、倒れ、そのとき大きく床を鳴らしたとしても、気付いてくれる家族などが一人暮らしでは同じ家のなかにいない。すぐに手当てを受けたり、助けを呼んだりしてもらえない。そのため、ヒートショックをそもそも起こさないよう、予防に気を遣うことが大切となる。

1.脱衣室や浴室を冷やさない

ヒートショックといえば、特に危険なのが入浴時となる。たとえば、寒い脱衣室で服を脱ぐと、体表面の温度が急に下がる。それが刺激となって血圧が上がる。そこで、お湯を浴びたり、お湯に浸かったりすれば、今度は体が温められて血管が拡張し、血圧が下がる。短時間のうちに上がったり下がったり――。こうした血圧の急激な変動が、ヒートショックが起きやすい状況を生んでしまうというわけだ。

そこで、予防の第一は、脱衣室や浴室を冷やさないこととなる。加えて、冷えた状態のそれらに入り、服を脱ぐなどしないことだ。たとえば、こんな対策や工夫がある。

  • 脱衣室に暖房を入れる
  • 脱衣室の扉をいつも開け、室温と同じにしておく
  • 浴槽へのお湯張りをシャワーで行う(浴室内が湯気で温まりやすい)
  • シャワーだけを浴びる場合も、先にシャワーを流し、浴室内を温めておく

ただし、脱衣室内の暖房については、火事を起こさないよう細心の注意を。暖房器具と可燃物(タオルや衣類など)が接触しやすい環境が少なくないはずだ。

2.お湯を熱くしすぎない・足元からかけ湯をする・急に立ち上がらない

浴槽のお湯にしても、シャワーにしても、熱すぎるのはよくない。大きな温度差が血圧の激しい変化を呼び、それが事故につながりやすい。たとえば、さきほどの東京都健康長寿医療センターや消費者庁は、温度設定41℃以下でのお湯張り、入浴を勧めている。

さらに、かけ湯をしないまま浴槽に飛び込んだり、いきなり肩や胸、背中や頭からお湯を浴びたりするのも体に負担が大きい。まずは、ぬる目のお湯を足元にかけ、次いで脚、腰と、徐々に上半身へ向けてかけ湯していく。お湯に徐々に体を慣らすかたちで、ヒートショックにつながる危険を抑えたい。浴槽に浸かる際も、最初から首まで浸かるのではなく、まずはみぞおち辺りまでの半身浴からが望ましい。

浴槽から出る際、急に立ち上がるのも禁物だ。水圧が無くなることで血圧が下がり、脳への血流が減って意識が失われ、溺れる危険性がある。

3.飲酒しての入浴は避ける・普通の食後も注意

飲酒すると、アルコールの作用によって血圧は一時的に下がる。それに加えて、入浴のため寒い脱衣室に入り、服を脱ぎ、浴室へ、お湯のなかへ――といったプロセスを踏むと、体は激しい血圧の変動に余計に晒されることになる。危険度の増す状態だ。

さらに、食後にめまいやふらつきの起こる食後低血圧の症状がある人も(あるいはない人でも)、そのあと入浴するのならば必ず時間を置きたい。飲酒の場合と似たような影響を体が受けているからだ。

4.寒いトイレや洗面所、廊下、玄関にも注意

脱衣室や浴室以外の家のなかで、ヒートショックのリスクが高い場所といえば、トイレがまず危ない。大抵は暖房が無く、にもかかわらず窓があることが多いため、冬は冷えやすい。そのため、リビングなどとの温度差が広がりやすく、まさに「ショック」を起こしやすい。対策としては、こんなところが挙げられる。

  • トイレにも暖房を入れる
  • 暖房便座を導入する。ダメならせめて暖かな便座カバーを巻く
  • 暖かい素材のスリッパを履く。同じくトイレマットを敷く
  • 窓の防寒対策も行う

ちなみに、便座カバーやスリッパ、マットといったものは、トイレの気温自体を上げてはくれない。しかしながら、われわれの血圧は、たとえば冷水にさわるなど、冷たいものが体に触れるだけで上昇したりする。カバーのない便座に座ったり、冷えたフローリングの床に裸足で立ったりするのは避けておくのが、間違いなくベターだ。

よって、洗面所や廊下、玄関内といった場所でも、トイレ同様の対策(暖かいスリッパやマット)を心掛けておくに越したことはない。

若者も注意を

ヒートショックといえば、主に高齢者のリスクといった印象が強い。たしかにそれは正解だ。冒頭に紹介した「全国で年間約1万7000人がヒートショックにより入浴中に死亡」とのデータについても、「内、高齢者は1万4000人と大多数を占める」と、なっている。なぜなら、高齢者にあっては、血圧を正常に保つ体の機能が加齢により低下しているケースが多いからだ。年を取ると、ヒートショックそのものと、それが引き起こす大小の疾患がどうしても生じやすくなる。

とはいえ、この数字にあっても、1万7000人から1万4000人を引いた残る約3,000人は高齢者以外となるわけだ。割合にすると17.6%で、決して小さくない。つまり、若者もヒートショックに無縁なわけではないのだ。ぜひ気をつけよう。

とりわけ、さきほど挙げた飲酒後間もなくの入浴など、必ず控えたい。一人暮らしのアパートやマンションでは、あなたの急な異常にほぼ誰も気付いてはくれないだろう。

(文/賃貸幸せラボラトリー)

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賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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