DIYでできる照明アレンジ――自分だけのリラックス空間のつくり方
内村恵梨
2021/10/22
イメージ/©︎paktaotik2・123RF
前回は、照明の基礎知識についてお話ししました。今回は、お部屋をリラックス空間にするためにDIYでできることをご紹介していきます。電球や器具を交換したり、間接照明を取り入れるなど、工事なしですぐに実践できます。
あかり周りのDIYはできることが限られる
あかり、電気周りのDIYする際に注意すべきは、電気工事士の資格が必要な範囲には手を出さないことです。家の照明をアレンジするために素人でもできる作業は、
・電球の交換
・引掛けシーリング、またはコンセントへの照明器具の取り付け
・コンセントカバーの交換
の3つです。
それ以外の電気工事作業は、電気工事士の資格が必要になるため、自分では行わないようにしましょう。作業中に感電してしまったり、一見うまく工事できたように見えていても漏電や火災につながったりなど、非常に危険です。
コンセントの増設や、スイッチの取り換えなど、配線をいじる作業が発生する場合は、電気工事の業者さんにお任せしましょう。
一番簡単で、効果も抜群な方法とは?
一番手軽に挑戦できるのは、電球の交換です。とはいえ、電球にはさまざまな種類があるので、購入時に失敗しないために、選び方をきちんとチェックしておかなくてはなりません。
購入前に確認するポイントを以下のようになります。
Check01 電球の種類
一般家庭では、白熱電球、蛍光灯、LEDの主に3種類が使われます。長く使うのであれば、少し値段は高いですがLEDを選ぶと、寿命が長いので電球交換の手間が省けます。
Check02 口金のサイズ
口金とは、照明器具に取り付けるための金属のネジのような部分のことです。家庭にある照明器具はE26(直径26㎜)、またはE17(直径17㎜) の口金サイズのものがほとんどです。
Check03 電球の形
口金のサイズは同じでも、形状が異なるものがあるので注意が必要です。一般的によく見る電球は、「一般電球タイプ」、一回り小さいものは「小型電球タイプ」「ミニクリプトン電球」といった表示になっています。その他にも、ろうそくの火のような形の「シャンデリア電球タイプ」や、まんまるの形の「ボール電球タイプ」といったものもあります。
既存の照明器具についている電球を参考に、どの形を買えばいいのか確認をします。照明器具のカバーに接触して取り付けられない、器具内におさまらないといったことを避けるためです。
Check04 クリア球とシリカ電球
電球には、透明ガラスの「クリア電球」と、乳白色の「シリカ電球」があります。シリカ電球は光の透過・拡散性を制御してくれ、まぶしさの少ないやわらかな光が得られるので、幅広く用いられています。クリア電球はキラキラした強い光が得られるので、ガラスのランプシェードや、シャンデリア、意匠性の高い照明器具などで採用されることが多いです。
Check05 明るさ
電球の明るさは、光源の光の量を表す「ルーメン(lm)」という単位で表されます。数値が高いほど明るくなります。電球のパッケージでは、白熱球の場合は「100w形」「60w形」、蛍光ランプやLEDの場合は「60形相当」「40形相当」といった表記になっています。
白熱球を例として考えると、60wに比べると100wの電球は消費電力が高く、電気代も高くなり、明るさも明るくなります。LEDや蛍光ランプの場合は、白熱球よりも消費電力が少ないので、「60w形相当」の場合は、「60wはかからないけど、60wの白熱球と同じくらいの明るさ」ということになります。
気を付けないといけないのは、照明器具によって、60wの規格でつくられていたりするので、その場合はそのw数(電力)を越えない電球を使用しないといけません。規格より高い熱を発する電球を使用すると、事故につながる恐れがあります。
Check07 光色
前回の記事でお話したように、照明を使用する部屋の用途に合わせて、あかりの色味を考えます。電球色、温白色、昼白色あたりが家庭ではよく使われる光色ですが、実際に見てみたほうが分かりやすいので、家電量販店の照明器具のコーナーなどで、実際に点灯したサンプルの電球を参考にするとよいです。
Check08 調光の可否
自宅の照明のスイッチに、調光器がついている場合は、必ず調光器対応タイプの電球を選びます。反対に、調光器がない場合は、調光器対応可の電球を購入しても意味がありません。
電球の口金
照明器具のDIY、ここからはプロに頼む!
前回、照明器具の種類をご紹介しましたが、家の照明を他のタイプの照明器具に取り替えたいと感じたら、次にチェックすることは、「自分自身で交換可能かどうか」です。
シーリングライトとペンダントライトは、照明の差し込み口が「引っ掛けシーリング」と呼ばれるものであれば、自分でも取り換え可能です。販売されている照明も、基本はこの「引っ掛けシーリング」で取り付ける想定の商品になっています。
築古のお家だと、差し込み口がコンセントになっている場合もありますが、その場合はコンセント式の照明器具しか取り付けられません。天井の差し込み口を「引っ掛けシーリング」に交換したい場合は、電気工事になるので、業者さんにお願いしましょう。
また、ブラケットライトやダウンライト、スポットライトを付けるダクトレールの新設も、壁や天井に穴をあけて電線を引っ張ってくるなど、電気工事が発生します。
引っ掛けシーリング
間接照明を生活にプラスしよう
間接照明とは、電球の光で直接部屋や作業の手元を照らすのでなく、天井や壁面を照らして、その反射光をあかりとして利用した照明のことです。
光源が直接目に入らず、やわらかい光になるため、落ち着いた明るさでリラックス空間をつくり出せます。日本の一般的な家庭では、光を反射しやすい白系の壁紙が多いため、実は間接照明と相性ぴったりなのです。
電気工事なしで、間接照明を取り入れる方法をご紹介します。
Method01 スポットライトを活用する
天井にスポットライト用のレールがなくても、クリップ式のスポットライトをはさめる場所さえあれば、即席スポットライトの完成です。光の方向を壁に向けてみましょう。
Method02 スタンドライトを活用する
スタンドライト、またはフロアランプと呼ばれる照明器具の光源を、壁や天井に向ければ、間接照明になります。手元を照らしたいときは向きを変えればいいので、シーンに合わせて自由に使えて便利です。
Method03 あかりを物陰に置いてみる
小さなライトを観葉植物の後ろや、テレビの後ろなどに設置すると、雰囲気のある間接照明を簡単につくることができます。
上記のような方法で簡単に間接照明を楽しむことができますが、1つ注意点があります。
狭い場所に照明を置く場合や、紙やカーテンなど燃えやすいものの近くに照明を置くときは、火災などにならないよう、高温になる白熱球でなく、光が熱を持たないLEDを使用するということです。
あかりを物陰に隠す
いかがでしたか?
家で過ごす時間が長くなるこれからの季節に、お家の照明を見直してリラックス空間を作ってみてはいかがでしょうか。照明の基礎知識をしっかりつけて、安全に照明アレンジを楽しんでみてください。
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この記事を書いた人
匠アカデミージャパン 事務局長 (運営:株式会社イマジンネクスト)
匠アカデミージャパンは2016年に開校した内装リノベーションのスクール。 単にDIYのノウハウを教えるスクールではなく「人生100年時代の大人の学び直し」の場として、副業やセカンドキャリア、定年後の生き生きとしたライフスタイルに生かせる技術を身につけることを提唱している。 講習内容は、クロスや床材の張り替えや、賃貸住宅大家さん向けワンルームの原状回復コースなど、まったくの経験のない方に対してDIYを超えた職人の技を伝授。照明プランニングや内装コーディネートのセミナーなども開催中。 http://www.takumi-ac.jp/