究極の空室対策! 不動産会社の営業マンを、あなたの物件の「エース営業マン」にする方法
尾嶋健信
2016/08/24
あなたの物件を「決め物件」にするために
部屋を探している人が、営業マンにすすめられた物件を契約するかどうかは、担当する営業マンとの関係性に大きく関わっているというのは前回もお話しした通りです。
つまり、賃貸物件のオーナーからすれば、お客さんに対して、自分の物件を営業マンが積極的にすすめてくれるような関係性をつくっておくことがきわめて大切です。
具体的には、自分の物件を営業マンに覚えてもらい、しかも「決め物件」に選んでもらわなければなりません。そのために必要なのが、地道なマーケティング活動です。
ここで、以前提示した「満室スターチャート」をもう一度ご覧ください。
これは、空室を満室にするために、賃貸物件オーナーが取るべき対策を分野別にまとめたもの。そして、今回お話ししたいのは、マーケティングの「19.エース営業マン」と「20.FAX・メール・コール営業」です。
FAX・メール・電話で営業をかける
賃貸物件オーナーであるあなたは、まず物件がある地域に、不動産仲介業者が何社あるかを調べなければなりません。これは、検索サイトや賃貸ポータルサイトで容易にピックアップできるはず。
たとえば、所有物件の最寄りのA駅とその沿線周辺に、不動産仲介業者が50社あるとしましょう。あなたはその50社に、まずはFAXかメールで、間取り図などの物件情報を送ってください。管理会社からすでに送付ずみかもしれませんが、念のため、1社ずつていねいに送りましょう。
物件情報を送付した後は、その50社に1社ずつ電話を入れます。不動産仲介業者の営業マンはいつも忙しく、オーナーさんからの電話も迷惑電話としか思わないはずなので、とにかく下手に出てください。忙しいときの電話を侘びたうえで、所有物件にどうすれば入居者がつくのか、1〜2分でいいから参考意見を聞かせてほしいとお願いするのです。
営業マンはあなたの物件の存在を知らないはず
実際、営業マンに電話してみると、多くのオーナーさんは愕然とします。というのも、ほとんどの営業マンがあなたの物件の存在を知らないから。
不動産賃貸市場には物件があふれているので、おそらく、どの営業マンも、あなたの物件を認知していません。それでも腐ることなく、質問してください。間取り図を見て直感的に、募集条件は妥当に思うかどうか。そして、入居してもらうには何が足りないのか、率直に指摘してもらいましょう。
そうやって何十人もの営業マンと話をしてみると、あなたの物件の問題点が見えてきます。相手もプロですから、その指摘のほとんどは当たっているはず。面積の割に賃料が高すぎる、エントランスが安っぽい、場所柄を考えればオートロックやテレビモニターをつけたほうがいい、などなど。問題点が明らかになれば、早速改善です。
改善の効果が現れるのをじっくり待つ
ここで、大事なアドバイスをひとつ。自分の物件に何らかの改善を施したら、その効果が現れるまで、じっと待つ覚悟が必要です。
たとえば、賃料を下げる(先ほどの満室スターチャートの「ソフト3.募集条件の改善」)、テレビモニターをつける(「ハード11.リフォームの改善」)などの改善・修正を行なったら、都市部なら2〜3週間、地方なら3〜4週間、物件をそのまま寝かせておきましょう。
「改善した効果がすぐに現れないから」と、すぐに別の手を打つのはやめること。というのも、物件情報が猫の目のようにくるくる変わると、仲介業者の営業マンはどれが最新の情報なのかわからなくなってしまいます。すると、確認するのも面倒なので、「この物件はお客さんに紹介しないでおこう」という判断をするのです。
営業マンと何度もコンタクトを取るうちに…
さて、物件の改善・修正を行なったら、数週間は様子を見てから、50社の担当営業マンに再度電話を入れましょう。その数週間の間に内見者が出た場合には、「●●さんのご意見にしたがって賃料を下げたところ、おかげさまで内見が取れました」と礼を言います。特に動きがなければ、「●●さんのご意見にしたがって賃料を下げましたが、もっと改善すべき点はあるでしょうか」と質問します。
そうやって何度もコンタクトを取るうちに、相手の営業マンもいつしかあなたの物件をしっかり覚えてくれるようになります。そうなれば、内見ルートに選ばれる確率がぐんと上がり、やがては賃貸契約を取ってくれることも。
もし、契約を取ってくれたら、自分からその会社に足を運び、営業マンに直接謝礼を渡しましょう。すると営業マンは、「このオーナーさんのためにまた頑張ろう」と思ってくれるでしょう。
そんな成功体験を重ねるうちに、その営業マンは、きっとあなたの物件のエース営業マンになってくれます。
ひとつの物件に対して、そうしたエース営業マンが2〜3人いれば、あなたの空室対策は万全になります。たとえ退去者が出ることになっても、「△号室が□日から空室になる」ことを伝えた時点で、エース営業マンはただちに入居者探しに奔走してくれるはずです。
この記事を書いた人
満室経営株式会社 代表取締役
1970年、神奈川県逗子市生まれ。青山学院大学経営学部卒業。 大学卒業後、カメラマン修行を経て、実家の写真館を継ぐ。その後、不動産管理会社に勤務。試行錯誤の末、独自の空室対策のノウハウを確立する。 2014年時点で、500人以上の大家さんと4000戸以上の空室を埋めた実績を持つ。著書に「満室革命プログラム」(ソフトバンククリエイティブ)、「満室スターNO1養成講座」(税務経理協会)がある。 現在、「月刊満室経営新聞(一般社団法人 日本賃貸経営業協会)、「賃貸ライフ(株式会社 ビジネスプレス出版社)」にコラム連載中。 大前研一BTT大学不動産投資講座講師。