ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

空室は「埋めればいい」わけではありません!

4000件の空室を埋めた経験からわかった「究極の空室対策」とは?(2/2ページ)

尾嶋健信尾嶋健信

2016/07/13

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

そこに暮らす人の目線で好循環をつくる

こうした自覚を持てるかどうかで、オーナーさんの賃貸経営のあり方もおのずと違ってきます。たとえば、所有するアパートの浴室をリフォームする場合、水道とシャワーの蛇口にどんなタイプを使用するか。コストパフォーマンスを考えれば、安上がりな2ハンドル混合水栓を選択する手もあるでしょう。

しかし、「入居者がかけがえのない日々を過ごすための住環境を提供しているんだ」という考え方に立てば、割高だけど使いやすいサーモスタット混合水栓を選択するのもアリです。そしてこの場合、入居者満足度は後者のほうが確実に上回ります。

賃貸経営で、コストを切り詰める発想は絶対に必要。しかし、何が何でもコストを優先するのではなく、「入居者には予算の許す限り快適に暮らしてほしい」という発想もまた必要です。オーナー側のそうした配慮は、先ほどのシャワー水栓のような備品ひとつを取っても入居者に伝わるものだし、その積み重ねが、その部屋の「居心地の良さ」にもつながるのですから。そして、居心地の良い空間になれば、一度入居した人に長く住んでもらえることにもなるわけです。

オーナーが、賃貸物件に住む人の目線に立ってきちんと手を掛ければ、賃貸物件は居心地の良い空間になり、入居者はそこで暮らす喜びを感じ、長く住んでくれる。これを私は、賃貸経営の好循環(または善循環)と呼んでいます。他人を思いやる気持ちが、次々に良い方向へと転がっていくからです。

逆に、オーナーが住む人のことを考えず、賃貸物件のあらゆる部分でケチってしまうと、入居者にとって居心地の悪い空間になり、そこで暮らしている間は常に不満を抱くようになります。こちらは完全に悪循環ですね。こうした物件からは入居者がすぐに出ていってしまうし、退去する場合も、敷金の返還などをめぐってトラブルになることが多いものです。

前者のような好循環(善循環)をつくっていくことがいかに大切か、おわかりいただけたでしょうか。賃貸経営には、ときにこのような精神論も有効なのです。

 

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

満室経営株式会社 代表取締役

1970年、神奈川県逗子市生まれ。青山学院大学経営学部卒業。 大学卒業後、カメラマン修行を経て、実家の写真館を継ぐ。その後、不動産管理会社に勤務。試行錯誤の末、独自の空室対策のノウハウを確立する。 2014年時点で、500人以上の大家さんと4000戸以上の空室を埋めた実績を持つ。著書に「満室革命プログラム」(ソフトバンククリエイティブ)、「満室スターNO1養成講座」(税務経理協会)がある。 現在、「月刊満室経営新聞(一般社団法人 日本賃貸経営業協会)、「賃貸ライフ(株式会社 ビジネスプレス出版社)」にコラム連載中。 大前研一BTT大学不動産投資講座講師。

ページのトップへ

ウチコミ!