投資用の不動産を購入するとかかる税金は?
浅井佐知子
2016/02/27
印紙税は契約金額によって変わる
不動産の契約時には、売買契約書・領収書をはじめ印紙を貼る機会がたくさんあります。売買契約書に貼る印紙代は不動産の価格によって異なり、1通ごとに印紙を貼らなければいけません。印紙代は以下の通り定められています。この印紙代は、印紙税という税金になっています。
●契約金額が10万円超50万円以下…200円
●契約金額が50万円超100万円以下…500円
●契約金額が100万円超500万円以下…1000円
●契約金額が500万円超1000万円以下…5000円
●契約金額が1000万円超5000万円以下…1万円
●契約金額が5000万円超1億円以下…3万円
●契約金額が1億円超5億円以下…6万円
●契約金額が5億円超10億円以下…16万円
●契約金額が10億円超50億円以下…32万円
●契約金額が50万円超…48万円
所有権利を証明する不動産登録免許税
不動産を購入すると、第三者への対抗要件として登記が求められます。その登記に必要なのが不動産登録免許税です。この登記をしないでいると、固定資産税などの税金を負担していたとしても不動産の所有権利を他者に主張できないのです。
登記しないままでいると、もし売り主が二重譲渡をして第三者に譲渡、その第三者が先に登記してしまうと権利を失ってしまいます。しかし、事前に登記をしておけば、そのようなトラブルが発生したときでも所有権利を主張できます。
この不動産登録免許税は、土地・建物ともに課税標準額(固定資産課税台帳に登録された価格)×2パーセントが原則となっていますが、2017(平成28)年3月31日までは租税特別措置法により土地のかけ率は1.5パーセントとなっています。
たとえば、あるマンションを課税標準額に基づき計算した結果600万円だったとします。このとき、土地部分・建物部分共に300万円ずつだとすると、
●土地…300万円×1.5パーセント=4万5000円
●建物…300万円×2パーセント=6万円
となり、合計10万5000円がこの物件の不動産登録免許税となります。
また、この不動産の登記には不動産登記手数料という登記を代行する司法書士へ支払う手数料が発生します。以前は統一の報酬基準でしたが、現在は自由化され司法書士によってばらつきがあります。司法書士は不動産会社から紹介してもらうことが多いですが、ネットなどでも検索できます。抵当権の設定も同時に行う場合は、その分の費用が加算されます。
固定資産税・都市計画税・不動産取得税の性質
固定資産税・都市計画税は不動産を所有している人に、毎年かかる税金です。毎年1月1日を基準に市町村が課す税金ですが、不動産を購入した人が購入した日から12月31日までの税金を負担するのが本来ですので、年の途中で所有者が変わったときには日割り計算をするのが一般的です。これらの税はもとの所有者に課税されているので、買い主が日割り分を売り主に渡し、代理で支払いをしてもらうことになります。
そして、すべての引き渡しが終わった後にやってくるのが不動産取得税の納税通知書です。不動産を取得すると、原則として60日以内に土地・家屋の所在地の都道府県税事務所に申告する必要があり、不動産取得後半年から1年後に通知書が来るという、「忘れたことにやってくる税金」です。
不動産取得税の税額は「固定資産税評価額(課税標準額)×3パーセント」で求めます。本来の税率は4パーセントですが、2018(平成30)年3月31日までは3パーセントに軽減されています。また宅地等(宅地および宅地評価された土地)に関しては、固定資産税評価額の2分の1が課税標準額となります。
さきほどの600万円のマンションを例にすれば、
●土地…300万円×50パーセント×3パーセント=4万5000円
●建物…300万円×3.0パーセント=9万円
となり、合計13万5000円がこの物件の不動産取得税となります。
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この記事を書いた人
不動産鑑定士
大学卒業後、不動産会社で10年間営業を経験。その後、不動産鑑定士として活躍。 「不動産鑑定士の資格を持った不動産投資コンサルタント」としても豊富な実績を持ち、アパートの賃貸から、土地の有効利用、店舗、事務所の賃貸、不動産売買、不動産鑑定、不動産投資コンサルと合わせて計5000件以上の案件をこなす。きめ細やかなサービスで不動産投資家からの支持を得ており、その最後の集大成として、個人の投資家が絶対に失敗しない、幸せな投資家になれる啓蒙活動を行っている。著書に『世界一やさしい不動産投資の教科書 一年生』、2021年1月出版の新刊『世界一楽しい 不動産投資の授業』がある。