物件価格はどのようにして決まるのか
浅井佐知子
2016/02/23
投資用マンションの価格決定までのプロセス
投資用マンションの価格を決定するプロセスを見てみましょう。まず、不動産を売りたい人(売り主)が、所有しているマンションがどれくらいの価格で売却されるのかを不動産会社に問い合わせをするところからスタートします。
依頼を受けた不動産会社の担当者は、以下の手順で査定をします。
(1)同じマンション内の違う部屋がどれくらいの価格で取引されているかを調べる
このとき、国道交通省から指定を受けた不動産流通機構が運営している「レインズ」というシステムを使用しますが、このシステムにアクセスできるのはこの機構の会員不動産会社のみです。
(2)該当のマンションがどれくらいの賃料で貸せるのかを調べる
投資用不動産の場合、利回りが高くないと買い手がつかないので、しっかり調査します。
(3)マンションの立地・駅徒歩・築年数などを調べる
住居用のマンションと同様、マンションの周囲の環境、駅からどれくらい近いのか、新しいのか古いのかは投資用マンションでも大きな判断材料となります。
このような手順を経て、担当者は売り主にマンション価格の査定額を提出します。そして、その査定額を売り主が吟味するという流れです。そして「安すぎる」と感じた場合は売却を依頼しないこともありますし、複数の業者に査定を依頼していちばん高い査定額を出した会社に依頼するということもあります。最終的には、売り主の判断によるところが大きいのが不動産の価格の決定なのです。
とはいえ、この価格で売れるかどうかはまた別問題です。相場より高すぎると売れないままですから、結局は値段を下げることになってしまいます。そういう意味では、売り主のつけた価格に最終判断を下すのは、市場(マーケット)ということになります。
投資用不動産の見つけ方
次は買い主側の話です。売り主側は以上のように不動産の価格を決定していますが、売りに出された物件の情報は、どのようなルートで買い主まで届くのでしょうか。
物件を見つけるには、ふたつの方法があります。ひとつはほかの項目(URL)で紹介した投資用不動産ポータルサイトで探す方法で、もうひとつは、不動産会社を回って見つける方法です。
先ほどは中古物件の査定の話をしましたが、ここではまず新築物件についてお話ししましょう。新築マンション・建売住宅は建築したデベロッパーや、デベロッパーから依頼を受けた不動産会社が販売しています。その情報は、ネットや新聞の折り込みチラシ、テレビCMなどから得ることになります。そして、気になる物件を掲載している不動産会社に問い合わせをし、購入が決定した場合には売り主の会社で契約を交わします。この場合、直接購入という形になるので仲介手数料はかかりません。
また、中古物件については売り主と買い主をつなぐ仲介業者が購入の手続きを進めます。この場合も情報収集はネットや新聞の折り込みチラシ、テレビCMなどですが、新築物件との大きな違いは仲介手数料がかかることです。
新築物件においてもさまざまな諸費用がかかるので、ある程度の資金の余裕があるときの購入をおすすめします。オーバーローンで融資が通ることもありますが、後々のことを考慮するとかなりリスクが高い方法になってしまいます。不動産投資を成功させるためにも、状況に見合った価格帯の不動産投資からスタートするのがよいでしょう。
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この記事を書いた人
不動産鑑定士
大学卒業後、不動産会社で10年間営業を経験。その後、不動産鑑定士として活躍。 「不動産鑑定士の資格を持った不動産投資コンサルタント」としても豊富な実績を持ち、アパートの賃貸から、土地の有効利用、店舗、事務所の賃貸、不動産売買、不動産鑑定、不動産投資コンサルと合わせて計5000件以上の案件をこなす。きめ細やかなサービスで不動産投資家からの支持を得ており、その最後の集大成として、個人の投資家が絶対に失敗しない、幸せな投資家になれる啓蒙活動を行っている。著書に『世界一やさしい不動産投資の教科書 一年生』、2021年1月出版の新刊『世界一楽しい 不動産投資の授業』がある。