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賃貸経営における永遠のテーマ「空室対策」——リフォーム工事費のコストダウン

廣田 裕司廣田 裕司

2022/02/22

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イメージ/©︎zazamaza・123RF

皆さんこんにちは。大家兼不動産屋の廣田裕司です。

2月に入り、東京では雪が降り寒い日が続いています。繁忙期も中盤から終盤に差掛ってきましたが、皆さんの募集状況はいかがでしょうか?
 
さて、賃貸経営で、原状回復工事などのリフォーム工事などの工事費は、一回の金額が高額になることが多いので、コストダウンに関するご相談をよく受けることがあります。そこで今回は、リフォーム工事費のコストダウンについて書いていきます。

リフォーム工事の見積書を精査する 

管理会社やリフォーム会社から提示される“リフォーム工事の見積書”をよく見ていますか。見積もりの総額だけを見て、明細をよく見ない人が多いのではないでしょうか。見積書の明細を精査することでもコストダウンできることもあります。

○見積書はどのように記載されているか
見積書は、いろいろな書式で書かれていると思いますが、基本的に次のように記載されています。

 見積金額 = 工事費の合計 + 管理費(経費)

工事費の合計は、工事項目(例:クロス工事、ルームクリーニングなど)ごとに、

 工事費 = 施工数量 × 単価

算出し、工事項目ごとに算出した工事費の合計になります。工事費の内訳は、

 工事費 = 材料費 + 施工費 

に分けられます。工事費の内訳は、見積書に記載されないケースもあります。

○工事内容を考える
工事項目ごとに、今回の工事でその工事項目が必要かどうかを判断します。必要ないと思われる工事項目を中止することで、工事費のコストダウンになります。

工事項目の要否の判断基準としては、まず、修理・修繕する項目は必須です。設備などが、故障している状態では、家賃をいただけないので当然実施します。

次は、そのお部屋のコンセプト(どんなお部屋にするか)に照らして、工事項目の要否を判断します。コンセプトにそぐわない工事項目は、バッサリ中止してもよいと思います。

また、必要と思われる工事が抜けている場合もあります。必要ない工事をチェックするとともに、工事項目の抜けにも注意しましょう。

複数の業者から見積もりを取る ~相見積もり~

工事費の妥当性を判断する方法として、複数のリフォーム会社へ見積もりを依頼し、見積金額を比較する方法があります。「相見積もり」と言われている方法です。

複数の会社へ見積もりを依頼するときは、実施したい工事の範囲・仕様を明確にして依頼します。

各社の見積金額だけを比較して、単純に安いからと言ってその会社に発注しても、工事項目や工事範囲に抜けがあると、後から追加工事費が発生し、結果的に高くなってしまうこともあります。
 
相見積もりは手間と時間がかかります。また、相見積もりをお願いするだけで、実際に工事を発注しないと、その業者から嫌われる可能性もあります。大規模修繕工事や間取り変更などの、工事費が高額になる場合に絞って実施するのがいいと思います。

専門業者に直接発注する ~分離発注~

リフォーム会社は、すべての工事を自社で施工するのではなく、クロス工事、設備工事、電気工事、ルームクリーニングなど、それぞれ専門の工事業者へ発注し、各々の工事業者間の調整を行います。当然ですが、リフォーム会社の見積金額は、専門工事業者の工事費にリフォーム会社の管理費を加味して算出しています。

大家さんが、工事ごとに専門工事業者に直接発注すれば、リフォーム会社の管理費分だけ、コストダウンになる可能性があります。この方法は「分離発注」とも言われています。

リフォーム会社は、専門工事業者間の日程、施工範囲の調整、品質管理の業務を担っていますが、分離発注をすることで、これらの業務を大家さん自身でやる必要があります。一括してリフォーム会社へ発注するときより、手間がかかります。大家業以外のお仕事をお持ちの方は、分離発注をすることは大変だと思います。

また、工事業者間の調整がうまくできないと、工事の期間が長くなることもありますし、工事の仕上がりに影響が出ることもあります。日程調整に手間取り工期が長くなると、入居者獲得の機会損失になり、分離発注で工事費をコストダウンしても、その効果が相殺されてしまうこともあります。

工事に関する知識がない人や経験の浅い人には、あまりお勧めできる方法ではありません。

資材を自ら調達する ~施主支給~

通常リフォーム会社は、工事に必要な設備や建材を仕入れ、現地で施工しますが、この設備や建材を大家さん(施主)が仕入れ、リフォーム会社へ支給することを「施主支給」と言われています。

設備や建材を安く仕入れられれば、コストダウンになる可能性があります。現在は、ホームセンターやインターネットで設備や建材を簡単に入手することが可能です。

施主支給をするときは、リフォーム会社の了承が必要です。リフォーム会社によっては施主支給の設備や建材を受け入れてくれない会社もあります。

さらに、設備や建材が現場で施工可能なのか、サイズや仕様を確認のうえ発注する必要があります。

設備や建材は、サイズ的に大きいものが多いので、現場に直接納入するように手配します。現場(空室)は、通常無人で施錠されている訳ですから、納入される日程に合わせて現地に出向き、受け取りが必要になります。また、工事の日程に合わせて、納期を調整する必要もあります。

支給した設備や建材に不具合があった場合、大家さんの責任で対応する必要があります。

施主支給は、コストダウンできる可能性はありますが、納期の調整、現場での受け取り、不具合が発生したときの対応など、手間が増えることも考慮して検討すべきです。

まとめ

リフォーム工事費のコストダウンは、賃貸経営で重要なことの一つだと思います。しかし、コストダウンができても、タイムリーに必要な工事を実施しないと、稼働率にも影響します。特に繁忙期では、リフォーム工事の完了タイミングが、入居者募集へ大きく影響します。

リフォーム工事費のコストダウンで、大家さんの手間が増えることになります。単純に工事費だけに注目するのではなく、工事を実施するための資金の確保や、入居者募集への影響を考慮して、総合的に判断してコストダウンを実施するようにしましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

「合同会社アップ」代表 「行動する大家さんの会」代表

妻の実家の賃貸事業を引き継ぎ、賃貸経営に関わるようになる。サラリーマン時代の経験を活かし、原状回復費の低減、稼働率アップに成功。賃貸経営での経験をベースにセミナー講師としても活動。2014年大家仲間と一緒に、管理会社「みまもルーム」設立に参加。大家さんとしての経験、不動産業者としての経験を活かし、大家さんの賃貸経営をサポートする会社「合同会社アップ」を設立。大家さんのサポート活動を展開中。

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