ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

ファミリー向け分譲マンションに特化した不動産投資法――ファミリー向け分譲マンションで不動産投資をする理由

横山 顕吾横山 顕吾

2021/06/18

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

イメージ/©NIKOLAI GRIGOREV・123RF

自分の住みたいと思う物件を提供する――。そんな想いを持ち、広島県を中心に分譲マンションを区分で購入、賃貸として貸し出す賃貸住宅オーナーの横山顕吾さん。「ひろしま大家の会」の代表でもあり、自身を「分譲マンションコレクター」と称し、入居者に素敵な分譲ライフを提供するため日々尽力しているという。本連載は、横山さんが考える不動産投資、賃貸経営、オーナーのあるべき姿などをお届けしていきます。

なぜマイナス要因のある区分マンションなのか?

不動産投資家は世の中に多くいますが、ほとんどが一棟物のアパート・マンションへの投資です。区分マンションへ投資をしている人も少数はいますが、ワンルームマンションの場合がほとんどです。特に新築ワンルームマンション投資は、失敗している人も多くきちんと学んでいる人が投資することは少ないと思います。

私が実践しているのは、ファミリー向け分譲マンションでの不動産投資です。よく「なぜ区分なのか」と質問を受けることがあります。多くの不動産投資家の人たちは「区分は儲からない」「区分は購入し続けることが難しい」と思われていることが多く、私が区分で不動産投資をすることを疑問に思われるようです。

実際購入するための調査など、手間は一棟物のアパート・マンションと区分マンションでの違いはほとんどありませんが、区分マンションの場合、管理組合が存在するためそちらの状況も調査する必要性があり、手間は多少増えます。そして購入できても、一世帯のため、退去があると家賃収入はゼロになってしまいます。一方、一棟物であれば、複数の世帯数がありますので、全部屋空室になってしまう可能性は低いのです。

このように、マイナス要因が一棟物と比較して区分マンションは多いため、プレイヤーが少ないという現実があります。

では、なぜ私は区分で、しかもほとんどプレイヤーがいないファミリー向け分譲マンションを対象にしているのでしょうか? そのことを今回はお伝えします。

ファミリー向け分譲マンションは“リスクが低い”

私は、今はオーナー業で独立していますが、不動産投資を始めた2012年当時はサラリーマンをしていました。勤務先も上場企業ではなく、退職金制度や残業の制度もない、入社条件が「パソコン・自家用車の持ち込み」という“超ブラック企業”でした。

そして、不動産投資を始めようと思ったとき、給与も決して多いわけではなかったので自己資金も限られていました。したがって、消極的理由として「区分で始めるしかなかった」ということがあったのです。

しかし、この消極的理由は主たる理由ではありません。

ファミリー向け分譲マンションで不動産投資を始めようと思った積極的理由を一言で表現すると、ファミリー向け分譲マンション投資は、ほかの不動産投資と比較して断トツの「低リスクNo.1!」と判断したからです。

まず大きな理由として、ファミリー向け分譲マンションは、一棟物アパート・マンションや戸建てと比較すると、構造体や設備、デザインが分譲仕様のため、賃借人から積極的に「住みたい」と思っていただける可能性が高いということです。

あらゆる事業もそうですが、不動産投資において最も重視すべきポイントが、お客様(入居者)満足です。では、お客様を満足させる物件とはどういう物件でしょうか?

入居者のニーズは区分マンションに合致しやすい

客観的に表れているのが、インターネットで公開されているポータルサイトの「条件選択」です。賃貸住宅を探している多くの人は、インターネットから物件検索・条件検索をして、ご自身の住んでみたい物件をピックアップしています。

例えばSUUMOの人気のこだわり条件で建物項目をピックアップすると、「バス・トイレ別」「2階以上」「室内洗濯機置場」「オートロック」「洗面所独立」などがあります。ほかにも「エレベーター」「宅配ボックス」「分譲賃貸」という項目もあります。

こういった条件選択に記載さている項目が、物件探しをしている人の「住みたい条件」です。したがって、この「条件選択」に書かれている設備などが設置されている住宅を提供することが、顧客満足に結び付くということになります。

標準的なファミリー向け分譲マンションであれば、この条件選択に合致する部分が多いです。なぜなら区分マンションは、主にマイホームとして使う居住性の高い仕様になっているからです。

つまり、一棟物のアパート・マンションとして賃貸経営するよりも、区分マンションで賃貸経営する方が、賃借人のニーズを満たせる可能性が高いということなのです。

不動産投資のポイントは“入居者の住みやすさと安全性”

不動産投資の世界では、資産規模・家賃年収や利回りといった「投資家の儲け」に着目するので、「安く建築して、高く貸す」という話がよくあります。建物の品質をよくしようという内容が少ないと感じています。したがって、分譲マンションのような高品質な住宅を賃貸として提供することが差別化となり、顧客満足につながることになるのです。

不動産投資をするなら、「エレベーターがついてない方がいい」という意見もよく聞きます。なぜなら、エレベーターは毎月メンテナンス費用がかかるうえに、経年とともに交換する必要もあります。その際は多額の費用がかかるからです。しかし、住む側の立場からすれば、エレベーターがついてないマンションより、ついているマンションの方が絶対にいいはずです。

自分の儲けのことばかりに着目するからこういった意見がでてくるわけで、お客様目線からエレベーターなどの設備の有無を検討すべきだと思います。

そして、ファミリー向け分譲マンションは「構造体がしっかりしている」こともあげられます。分譲マンションのほとんどが、鉄筋コンクリート造(以下「RC造」)です。鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)や鉄骨造(S造)もありますが、木造(W造)のマンションというのは、私は知りません。

RC造の第1の特長としてあげられるのが、堅固建物ということです。一方、木造は非堅固建物といわれています。つまりRC造は、構造が強く耐震性も高いということです。高さのある建築物のほとんどがRC造です。しかし、木造住宅は3階建てまでということがほとんどです。そのため、高さのある建物が建つということが、RC造の構造体の強さを証明しています。

第2の特長としてあげられるのが、RC造は「不燃性」という点です。近隣の部屋で火事があっても、RC造の場合、窓や玄関が開いていない限り自分の部屋まで延焼する可能性は低いです。一方、木造住宅は「可燃性」のため、火事になると全焼する可能性があります。

第3の特長としてあげられるのが「基礎」の構造です。基礎とは建物の下(地面の中)の構造体のことです。RC造の場合は杭(くい)基礎です。杭基礎とは、建物からの地盤の固い支持層まで杭を打ち込みます。木造住宅の基礎は、べた基礎や布基礎が多いです。これらは地面の上に載せている基礎なので、土砂や津波などがきたときに建物が流されてしまいます。一方、RC造は杭で地下の支持層まで建物がつながっていますので流される可能性は低くなります。

 

 東日本大震災は津波の被害がとても大きく、多くの家は流されました。今の建物は木造であっても耐震性はあります。地震で倒壊する可能性は低くなりました。しかし、基礎がべた基礎や布基礎で地面の上に置いている基礎なので、津波などの横からの強い力には負けてしまい流されてしまうのです。竜巻などの風災も同様です。大型台風で建物が飛ばされるのも木造住宅ばかりです。少し怖い話になりなりますが、木造住宅は自然災害や火災時には「凶器と化す」可能性があるのですが、RC造は「命を守ってくれる」のです。

いざというときに命を守ってくれる家に自分自身も住みたいですし、お客様にも提供したい。そういう想いから私は、ファミリー向け分譲マンションで投資をしているわけです。

次回、第3話(7月下旬頃掲載予定)も、ファミリー向け分譲マンションで不動産投資をする理由は続きます。

【過去の記事】
第1話 区分マンションは儲からない? そんなことはありません

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

マンション管理士、管理業務主任者、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、賃貸経営アドバイザー、防火管理者、損害保険募集人

1970年岡山市生まれ。筑波大学体育専門学群卒業後、転職を繰り返し、6つ目の勤務先として分譲マンション管理会社に就職。2008年から一般財団法人日本不動産コニュニティー(J-REC)広島支部長を務め、12年に投資用分譲マンション2戸を取得。17年に区分マンション所有に特化した専業家主へ転身。趣味はリフォーム、ラグビー観戦。

ページのトップへ

ウチコミ!