入居者兼オーナーも増えるのか 若くて低収入でも不動産投資に挑戦したい人が増加中
ウチコミ!タイムズ編集部
2021/04/24
文/朝倉継道 イメージ/©showcake・123RF
オンライン型の住宅ローンマッチングサービスなどを手がける会社、株式会社MFSが、この3月(2021)に、「コロナ禍前後のサラリーマン不動産投資家の傾向を分析」と題して、興味深い内容のリリースを行っている。
「コロナ禍以後、20代、30代の不動産投資への関心が高まっている」とのこと。なお、MFSでは、昨年(20)11月にも、コロナ禍が始まって以降、年収額の低い層が住宅購入に積極的になってきているとの内容で、やはり興味深い市場の動きをレポートしている。
今回は、自宅購入のみならず、投資のシーンでも似たような傾向が見られるということで、新型コロナウイルスがおよぼした不動産市場への隠れた影響のひとつが掘り起こされているようだ。
なお、分析対象は、
・MFSのサービスである「モゲチェック不動産投資」を利用し、不動産投資向けローンの借り入れ可能額を判定した、全国の20~60代の男女3639名
とのこと。同サービスにおいては、投資用物件の購入を希望する方が、どのくらいのローン借入れが可能かを把握するためのサービスである「バウチャー」が提供されている。
このバウチャーを申し込む際に、入力されたプロフィールを分析することで、不動産投資をしようと希望する皆さんの属性や傾向をまとめることができるかたちだ。
まず、皆さんの年齢から紹介しよう。(コロナ前後における、バウチャー申込者の年齢分布)
20代
コロナ禍以前 …6.4%
コロナ禍以後(20年3月~) …10.5%(増)
30代
コロナ禍以前 …33.9%
コロナ禍以後(同上) …36.8%(増)
40代
コロナ禍以前 …39.0%
コロナ禍以後(同上) …36.7%(減)
50代
コロナ禍以前 …19.9%
コロナ禍以後(同上) …14.6%(減)
60代
コロナ禍以前 …0.9%
コロナ禍以後(同上) …1.5%(増)
ご覧のとおり、20代、30代がそれぞれ増加。対して、40代、50代は割合を減らしている。60代は、増えているがシェア自体がわずかである。
次に、年収を見てみよう。(コロナ前後における、バウチャー申込者の年収分布)
500万円未満
コロナ禍以前 …7.1%
コロナ禍以後(20年3月~) …11.8%(増)
500万円以上~600万円未満
コロナ禍以前 …10.0%
コロナ禍以後(同上) …11.6%(増)
600万円以上~700万円未満
コロナ禍以前 …9.5%
コロナ禍以後(同上) …12.4%(増)
700万円以上~800万円未満
コロナ禍以前 …9.7%
コロナ禍以後(同上) …10.8%(増)
800万円以上~
コロナ禍以前 …63.7%
コロナ禍以後(同上) …53.4%(減)
(実際のリリースでは、800万円以上も4段階に分割されている。上記はそれらの合計)
さきほど示された、若い世代の増加をそのまま反映してか、こちらでは年収の低い層がパーセンテージを伸ばしている。逆に、高い層はそれを狭めていることもよく分かるだろう。
次に預金だ。いきなり驚く数字が見られるかもしれない。(コロナ前後における、バウチャー申込者の預金額分布)
預金100万円未満
コロナ禍以前 …8.4%
コロナ禍以後(20年3月~) …11.7%(増)
〃 100万円以上~300万円未満
コロナ禍以前 …20.3%
コロナ禍以後(同上) …22.0%(増)
〃 300万円以上~500万円未満
コロナ禍以前 …14.5%
コロナ禍以後(同上) …11.9%(減)
〃 500万円以上~1000万円未満
コロナ禍以前 …20.6%
コロナ禍以後(同上) …20.6%(変化なし)
〃 1000万円以上~
コロナ禍以前 …36.2%
コロナ禍以後(同上) …33.9%(減)
(実際のリリースでは、1000万円以上も3段階に分割されている。上記はそれらの合計)
預金“わずか”100万円未満の方でも、「借り入れをして、不動産投資を」と、望む方がいるわけだ。そして、やはりその割合は、コロナ後増加しているとのデータである。
これは、危険な火遊び……? とはいえ、不動産投資は一方で代表的なレバレッジ投資だ(借り入れをテコに資金を拡大させられる)。預金の少ない方によるチャレンジは、本質的な意味では理屈に適ったアプローチともいえるだろう。
さらに、「コロナ前後における、バウチャー申込者の持ち家比率」を紹介しよう。
持ち家の方
コロナ禍以前 …65.3%
コロナ禍以後(20年3月~) …61.6%(減)
借家住まいの方
コロナ禍以前 …33.5%
コロナ禍以後(同上) …37.6%(増)
ご覧のとおり、借家住まいの方がコロナ後に増え4割に迫ろうとしている。というよりも、「増える前でも3割を超えていたのか」ということで、驚く方も多分少なくないだろう。
年収額の低い層が住宅購入や投資というものに積極的になってきているという興味深い内容である。
この記事を書いた人
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