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イヤな話は聞きたくない? でも、心がタフじゃないと賃貸経営の行く手は厳しい

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文/朝倉 継道 イメージ/©︎iakovenko・123RF

物件が抱える問題や課題が大きいほど、管理会社に対応を任せない

先日、成功しているオーナーの話を聞くことができた。ひと言でいうと、タフなオーナーである。どうタフなのかというと、入居者とのやりとりにおいてタフなのだ。

このオーナーを仮にAさんと呼ぶ。

Aさんは物件を自主管理ではなく管理会社に管理委託をし、所有する物件の状況に応じて、複数の管理会社と契約しているという。

そのうえで、Aさんは、「重要な物件ほど、自らが直接入居者と会話をする」「物件が抱える問題や課題が大きいほど、管理会社に対応を任せない」といった方法をとる。

では、重要で、かつ抱える問題や課題が大きい物件とは、どんな物件なのか?

Aさんは、ある意味“物件再生屋”である。空室率が5割や6割を上回るような、目も当てられない状況の物件でも「立地に可能性があり、建物の質が悪くなければ」購入するという。いわば、素質はあるのに芽が出ない物件にするどく目をつけるのだ。

反面、現状の利回りにAさんは関心を向けない。あくまで、物件とそれが建つ土地にフォーカスしていく。

そのうえで、Aさんは、購入した物件に素早く追加の投資を行い、物件価値を高める。短期間のうちにスピーディーに入居率を上げる努力をする。それがうまくいけば、以前のオーナーが格安で厄介払いしたつもりの物件が、見事によみがえる。

入居率が飛躍的に向上し、追加投資の分が回収されたあとは、Aさんは慎重にその状態を維持しながら、次の出口を探る。そしてタイミングが訪れれば、物件は「新規に効果的な投資がされた」「高稼働率の物件」「商品力の高い物件」として、Aさんの手もとを離れキャピタルゲイン(売却益)が発生する。

これがAさんの賃貸経営のゴールだ。

問題解決のため防具を着込んで物件に乗り込む

「重要で、かつ抱える問題や課題が大きい」状態は、その過程で発生する。

たとえば、入居率が深刻なほど低い、叩き売りされているような物件であれば、入居者に問題があるケースもある。放っておくと、新しく入居した人も退去ということになり、これが繰り返されるとAさんにとってのゴールは遠のく。

そんなとき、Aさんは問題解決のために、自ら物件に乗り込むのだ。そして入居者の言い分をじっくりと聞き取り「退去を出さない環境づくり」をするという。

隣人との関係で、嫌な思いをした挙句、予定外の引越しを迫られ、急な出費を余儀なくされるなど、誰もが望むものではない。「可能なかぎり、退去が発生しないみちを探る」――それこそがオーナーにとっても、入居者それぞれにとっても、もっとも損失が少ないWin・Winのシナリオであるという計算だ。

加えて、こうしたスタンスを地道に維持することは「管理会社には難しい」というのが、Aさんの見方でもある。なぜなら、彼らの持ち時間やパワーは、数百、数千の物件に切り分けて配分されているからだ。

「管理会社に優秀な事務管理はできても、マンツーマンでの時間をかけた対応が重要な、深い部分での顧客サービスを望むのは“構造として無理”」、それがAさんの答えだ。

なので、気に入らないことがあるとモノをもって暴れ出す危険性がある入居者の話を聞くため、Aさんは服の下に防具を着込んで物件に乗り込んだこともあったという。

入居者から退去の申し出があれば、Aさんはかならず理由を尋ね、それが物件やサービスへの不満であれば、真摯に受け止め、次への糧とする。

つまり、「入居者さんを愛するが、恐れず、ひるまない」「問題の発生を怖がらず、問題解決する達成感の方をやりがいとする」といったように、“タフ”であることこそが、Aさんのオーナーとしての基本的な成功の秘訣のようだ。

「ウチが頼んでいる管理会社はダメだ」――この言葉には2つのパターンがある

一方、Aさんとは真逆のタイプのオーナーもいる。仮にBとしよう。

Aさんがもっとも嫌う管理会社は、入居者さんからの苦情や要望を素早くオーナーに報せない管理会社であるが、Bは違う。苦情や要望を報せてくる管理会社こそが嫌いなのだ。

「いちいち報告はいいからそっちでやってよ」「処理はあなたたちの仕事ですよね」……なるほど、たしかに管理会社は契約上、そうした仕事を引き受けてはいるのかもしれない。しかし、オーナーの大切な物件に起きていることをオーナーに逐一知らせておくプロセスさえ、ストレスと感じて苛立ちを見せるBに対し、管理会社のスタッフもまた、ストレスを感じるだろう。

彼らは、どう対応するようになるのか。

「このオーナーには、ネガティブなことはなるべく伝えない」。そして、「このオーナーにかかわる時間はなるべく少なくしよう」というマインドになり、さらに行き着く先が、「面倒だから客付けもなるべく後回しにしよう」となっていくのだ。

Bのようなタイプのオーナーは、自身が管理会社からひそかに切り捨てられていることにも気づかないのだ。

「ウチが頼んでいる管理会社はダメだ。空室を早く埋めろと言っても、家賃を下げましょうとしか言ってこない」

よくあるこの嘆きには、本当に管理会社がダメな場合と、実はそうでない場合、2つのパターンが存在する。

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