不人気物件をたちまち人気物件に変える「ホームステージング」のポイント
内村恵梨
2020/05/12
近頃、日本でも本格的に広がりをみせているホームステージン
ホームステージングとは、不動産の室内をインテリア家具や調度品
リノベの次はホームステージング
ホームステージングは、アメリカで生まれた販売手法です。中
何も置いていない空室ではイメージすることが難しい、実際の生活シーンを具体的に伝え部屋のポテンシャルを的確に示すことが可能になる点が最大のメリットです。また、家具を置くことで部屋の広さや形が分かりやすく、空間把握がしやすくなります。
今ではほとんどの物件情報はWEB上に部屋の写真を公開することで購入者を募りますから、第一印象でパッと目をひく部屋にコーディネートされた写真を用いて宣伝できることは他の物件との差別化を図るためには最強の武器になります。
ホームステージング済み物件は、成約金額や売却等にかかる時間短縮の点でそうでない物件よりも優位という成果も実証されています。増え続ける中古物件市場の活性化にも一役買う手法として、今後ますます注目が集ることは必至! それが、ホームステージングなのです。
ホームステージングは、ホームステージャーという専門資格もありノウハウをもったプロに任せる分野ではあるものの、その物件の良さはオーナーであるご自身が一番良く知っているはずです。
物件にまつわるストーリーなど、持ち主/売り手だからこそ伝えられる“ハート”に訴えかけることは実は重要です。
ご自身で持ち物件等の原状回復やセルフリノベーションを手がけたオーナーさんであれば、なおさら特に手をかけたところや味わって欲しい空間の工夫など、物件の良さを見過ごされないために出来うる限りのプレゼンテーションをしたいものです。
ホームステージングの考え方
ホームステージングをするうえでまず考えることは、物件のターゲット層。
単身か、ディンクスか、子供1人の3人家族なのかなどをイメージしながらテイストを考えます。
そろえておきたいアイテムは、ソファ、テーブル、椅子、ラグ、クッション、照明器具などを基本に、その他のお皿やランチョンマット、グリーン、造花、フェイクフルーツ、洋書、雑誌、フォトフレームなどを用意しておくといいでしょう。
部屋の魅せ方
内見の際にお客様が玄関から入ってリビングの扉を開け、目に飛び込むところに何かしらの演出をしておくと目に留まりやすく印象に残ります。
例えば、入って正面に見えるところにアクセントクロスがあったり、居心地のよさそうなソファがあったりなど。
お客様目線に立ち、入り口から入ってきたときにどこが目に留まるかを確認していくとアイテムのセットのイメージが湧いてくるでしょう。
また、テーブルの上にお花やおしゃれなお皿などをレイアウトしたテーブルコーディネイトをしたり、小物で季節感を演出したりすることも大切です。
テーブルやキッチン、トイレ、お風呂などは無機質に感じやすいので、グリーンやフェイクフルーツ、キャンドルなどを置いて色と温かみをプラスします。
匂いで五感に訴える
ホームステージングの世界では、お部屋の印象は最初の6秒で決まる、とよく言われています。では、この6秒間で人が感知できる情報とは一体なんなのでしょうか。
実は“匂い”も非常に大きな情報なのです。
お部屋に入った瞬間に、日当たりや内装の色などの視覚的な情報をキャッチしながら同時に嗅覚を働かせて匂いをキャッチし、もっと言ってしまうと“気”のようなものを瞬時に判別しているものです。
実際ホームステージングされているお部屋は、匂いの演出にも細心の注意がはらわれています。
古いお部屋から下水臭がしたり、収納を開けた時に「ツン」とくるベニアの接着剤のような匂いがするともう第一印象からアウトです。
それでは、新築の住宅のいわゆる“新品の匂い”は、良い印象を持たれるのか、というと必ずしもそうとは言えません。
あらゆる建材が混ざり合った匂いを気持ち良いと感じるのか、不快に感じるのか人それぞれ。匂いに対する感受性は人それぞれだというところに、匂いのコントロールの難しさがあります。
実は、不動産や建築現場に慣れている人にとっては建材や接着剤、塗料の匂いが日常的なものであっても、一般の人にとっては非常に違和感がある匂いです。
新鮮な空気を吸ったあとの濁りのない嗅覚で、自分の家や管理している物件などの匂いを感じてみる必要は大いにありそうです。
不快な要素なる匂いがないかを確認し、さらにやりすぎない程度の香りの演出としてアロマなどをたいてみるのもいいかと思います。香りの種類は、ホテルのロビーなどが参考になるかもしれません。
照明による無意識の印象
照明による演出も、ホームステージングの基本手法の代表格です。
照明に強いこだわりのある人でなければ、普通は部屋の広さや間取り、日当たりなどに目がいっているので照明を意識している人は少ないかもしれません。でも、その無意識の部分で照明が人に与える印象は非常に大きいのです。
まず内見にきたお客様が部屋に入った瞬間に、ピカッと明るい照明の部屋にする事が肝(きも)!で、ブレーカーをオンにした瞬間に全灯が光る劇場型演出も効果があるのだとか。
白い光が部屋の隅々まで照らしているお部屋が、パッと目の前に現れると大変印象が良いといいます。
実際の生活では、最近のトレンドは隅々まで明るいというよりは局所照明を取り入れ、リラックスしたい場所には電球色を使うなど心地よさを優先する傾向にありますが、不動産の販売となると部屋を明るく見せることが欠かせないようです。
全体を明るく見せつつもフロアランプやスタンドライトなどの間接照明を置いておくと、均一的な照明だけでなくシーンによって使い分けるイメージが湧きやすくなるので、照明にもこだわって暮らしたいという方にアピールできるでしょう。
いかがでしたか?
今回はホームステージングのポイントについてご紹介しました。
Airbnbや一休.comなどでは、単なる民泊でなく、よりラグジュアリーさをプラスしたバケーションレンタルが増えています。そういったところに投稿されているお部屋はとても素敵に演出されているのでぜひ参考にしてみてください。
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この記事を書いた人
匠アカデミージャパン 事務局長 (運営:株式会社イマジンネクスト)
匠アカデミージャパンは2016年に開校した内装リノベーションのスクール。 単にDIYのノウハウを教えるスクールではなく「人生100年時代の大人の学び直し」の場として、副業やセカンドキャリア、定年後の生き生きとしたライフスタイルに生かせる技術を身につけることを提唱している。 講習内容は、クロスや床材の張り替えや、賃貸住宅大家さん向けワンルームの原状回復コースなど、まったくの経験のない方に対してDIYを超えた職人の技を伝授。照明プランニングや内装コーディネートのセミナーなども開催中。 http://www.takumi-ac.jp/