民泊新法による全面解禁後の民泊ビジネスについて
ウチコミ!タイムズ編集部
2016/08/20
「民泊」はビジネスにならないのか!?
盛り上がりを見せる民泊ですが、「民泊新法」に関しては暗雲も立ち込めています。民泊は全面解禁となるのですが、部屋を貸し出せる日数を年180日以下とすることを盛り込んだ規制改革実施計画が閣議決定されたのです。民泊に参入する事業者からは反対の声が上がっていたのですが、決まってしまいました。
そもそも民泊には家主が生活している民泊施設自体を旅行者に貸し出す「家主居住型(ホームステイ型)」と、家主の住居とは別に民泊施設の管理を施設管理者に任せる「家主不在型」に分かれるのですが、規制改革実施計画では2つの民泊の両方に年間営業日数の上限を設けています。現状の無許可民泊は稼働率が80%を超えることが一般的だと言われています。営業日数が180日以下に抑えられるということは、稼働率は50%以上にはならないということ。民泊で得られていた利益が大きく損なわれることは間違いありません。
さらに規制改革実施計画には、海外のおける民泊の例が挙げられています。それによると、イギリスでは年間90泊以内、オランダのアムステルダムでは年間60泊以内とする規制が設けられているという事実があり、今後はさらに厳しい日数の上限が設けられる可能性すら出て来ています。
この民泊新法では「ビジネスとして成り立たない」との声が上がっていますが、「民泊」そのものがまったくできなくなるというわけではありません。「民泊と旅館業法」で述べた通り、「旅館業法の民泊」「民泊条例の特区民泊」も存在しているからです。
特に「特区民泊」は旅館業法の対象外となるため、特区民泊の認定を受ければ新たに民泊事業に参入することが可能です。
すでに東京都大田区や大阪府では特区民泊がスタートしています。大田区では、市街化区域のうち、ホテル・旅館が建築可能な地域であれば特区民泊を行うことができます。ゲストとホストは民泊用の賃貸借契約を結ばねばならず、最低でも6泊7日は利用してもらわねばならないなど、いくつかの条件が儲けられていますが、すでに民泊認定を得る“宿”は徐々に増えています。特区民泊の条件はインターネット上でも幅広く公開されています。
なお、大田区の特区民泊では「家主居住型(ホームステイ型)」の民泊は想定されていません。例えば3LDKの1部屋を民泊施設として登録することはできません。「シェアルーム」や「個室」ではなく、まるごと賃貸施設でなければならないということです。
このように様々な制限はありますが、今後さらに特区が増えれば、民泊をビジネスとして発展させる余地はまだまだあると言えるでしょう。
この記事を書いた人
賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン『ウチコミ!タイムズ』では住まいに関する素朴な疑問点や問題点、賃貸経営お役立ち情報や不動産市況、業界情報などを発信。さらには土地や空間にまつわるアカデミックなコンテンツも。また、エンタメ、カルチャー、グルメ、ライフスタイル情報も紹介していきます。