不動産の個人売買における瑕疵担保責任
ウチコミ!タイムズ編集部
2016/07/23
個人間売買で一番気になるだろう瑕疵担保の責任。双方が瑕疵責任の範囲と期間を同意することで安心して契約できます。
トラブルになりやすい瑕疵担保責任
せっかく物件を購入したのに、購入した物件に欠陥があったら大変です。そこで、買主は売主に対して瑕疵担保責任を追求することができます。瑕疵担保責任とは、売買の目的物に欠陥があり、それが取引上普通に要求される通常の注意をしても気づかぬものである場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。買主は、瑕疵があることを知って1年以内であれば、売主に対して損害賠償の請求ができますし、そのために売買の目的を達成できない場合(例えば雨漏りがひどくて住めない場合)は契約を解除することもできます。
これは買主にとっては誠に喜ばしいことですが、売主の側からすれば「いつまで責任を取らなければならないんだ?」ということになります。そこで、売買契約書の中で瑕疵担保責任を免除したり、責任追及期間を短縮したりすることがあります。
新築物件の場合は、平成12年4月1日以降の契約については、10年間の瑕疵担保期間が義務付けられています。新築住宅の請負人または売主は、住宅取得者に対して、構造耐力上主要な部分(柱や梁基礎など)や屋根等の雨水の浸入を防止する部分の瑕疵について、引渡の日から10年間その瑕疵を修補するなどの義務を負わねばならないのです(ただし、自然劣化等によって生じた不具合、売買の際に通常の点検で発見できたような不具合は対象外)。同時に住宅性能表示制度という任意の制度も登場したので、住宅性能評価書を添付して住宅の契約を交わせば、トラブルが発生した場合でも指定住宅紛争処理機関で調停・斡旋・仲裁を受けることができます。
しかし、中古物件の場合は事情が異なります。個人売買の対象は中古物件が多くなると思いますが、築年数が経った物件に瑕疵があるのはある意味当たり前ですから、売買契約の中で瑕疵担保責任が免除されている場合が多いのです(売主が不動産業者の場合は免除されません)。もちろん、それでは買主側が不利になるので、通常は瑕疵担保責任期間を2~3カ月程度としています。つまり、中古物件を購入する場合は買主側が契約内容に注意するだけでなく、住宅診断などを利用して物件をよく調べておく必要があるのです(ただし、責任免除の規定があっても、売主が瑕疵の存在を隠していた場合は責任を免れることはできません)。
もちろん、事情によっては瑕疵担保責任が必要ない場合もあります。例えば老朽化した建物をすぐに建て替えたりする場合は、瑕疵担保責任を免除しても構わないでしょう。
最近では中古売買を支援するために各種の「既存住宅売買瑕疵保険」が登場しています。このタイプの保険は中古住宅の「検査」と「保証」がセットになっており、保険法人や検査機関による検査を通らなければ加入できません。つまり、加入できた物件は一定の品質を持っているということになります。また、加入後一定期間内に隠れた瑕疵が見つかった場合も補修費用が保証されます。一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会が提供している「既存住宅期間探索システム」というサイトを利用すれば、中古住宅の検査および保証を行う検査機関を検索して探すこともできます。
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この記事を書いた人
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