景品表示法に抵触するのに「おとり広告に関する表示」がなくならないワケ
ウチコミ!タイムズ編集部
2014/12/06
【不動産業者と一般消費者の大きな情報格差】
前回の会話を覚えていますでしょうか?会話の最後の方で「課長Cさんが、お客さんが、どうやって確認できるんだよ!」って言ってましたよね。要するに「自信満々」という事です。
ここが今回お話ししてゆく内容です。会話を見て頂いてわかる通り「不動産会社側は完全に優位」に立っています。
その内容は・・・
- 物件に係る全ての情報は「不動産業者」の独占。
- 大家さん・売主さんへの連絡も、一般の消費者には困難。
つまり、悪い言い方をすれば、消費者は「不動産業者」のいいなり・・・。
この根源的な物が「REINS」という不動産業界専用の物件流通サイトです。このサイトは、日本国中の全ての「売買・賃貸」を問わず掲載されるサイトです。一部の不届者を除いて、掲載されない物件はありません。不動産業者は、この物件サイトを営業情報の中心に据えています。
※REINSについての補足説明
REINSは、不動産業界団体が直接運営しています。このサイトを利用する為には「宅地建物取引業の免許」が必要です。つまりは不動産業を開業しないと見れません。
不動産業開業の手続きの中で、開業の為の不動産関係協会への入会金や保証金を支払ってはじめて利用できるので一般の方にはハードルが高く出来ています。因みに開業の為の費用などは過去のブログにも紹介しています。そちらもご覧ください。
しかし、先ほど説明した様に「不動産業者」専用のサイトです。今日のようにネット全盛の世の中で、未だに「不動産業者」の独占です。
この事について、不動産業界内でも「一般公開」の話は出ていますが、まだまだ実現しそうにありません。結局「不動産仲介業」という古〜い形態の商売を、今日まで維持してきたのは「情報格差」に他なりません。
不動産業者が「専門知識や顧客保護など」を言いがかりにして、不動産情報のほぼ全てを独占する事で、消費者と格段の差を獲得し、それを業界全体で保護してきました。これによって、不動産業者は一般の消費者よりも有利な状況で取引に臨むことができるのです。
しかし、ちょっと待ってください。取引の主体はあくまでも「消費者」のハズです。
それなのに、買主さんや借主さんは「売主さんや大家さんと一切話が出来ない事」をおかしいと思いませんか?反対の状況にしても同じです。
取引の主体者が相手方と直接話が出来ないこのシステム・・・。この仕組みによって、買主さんや借主さんは「不動産業者」の仲介を頼るしかありません。
その上、説明している通り「借主さんや買主さん」は不動産屋さんの報告を信じる以外に手がありません。結局、不動産屋さんとしては「両者」を自分たちの自由に情報操作をしても、何のリスクも発生しない状況になります。そして、その事を「悪用する不動産業者」が大手を振って存在できてしまうのです。
ここまでの話を考えて見ると「REINSを一般公開すればいい!」と考える方も沢山いるでしょう。
まさにその通りではありますが、不動産業界で抵抗が起きる理由も説明します。不動産業界の「不動産仲介」という仕事は、売買でしたら「物件価格の3%+6万円+消費税」で賃貸住宅でも「家賃の1か月分」が報酬になります。
この不動産仲介の旨みは「自分で経費をかけて物件を作ったりすることなく」商売に利用出来る事。
しかし、REINS等が一般公開されてしまうと、一般の消費者であっても「売主さんや貸主さん」を特定する事が簡単にできて連絡を取る事も出来てしまいます。
すると・・・契約や調整などの仕事は依頼されることがあるでしょうが、不動産仲介会社の存在自体が危ぶまれます。常識的に考えて見れば「なんで存在してたんだ?」となる事は、間違いないでしょう。こんな事態は、不動産業界としては「受け入れられない」でしょう。そんな実情があります。
おとり広告が景品表示法に抵触してもなくならないワケです。
不動産経営に関してはもはや不動産会社さんにおまかせということでは成り立たなくなりつつあります。
大家さんも自分で動いて集客をしてくることが大事です。しかし、これまでのシステムでは自分でできることは限られていました。そんな中出来上がったのが大家さんが自分で物件を紹介できるサイト、ウチコミ!です。
所有されている物件の募集をかけることが可能です。大家さんであれば是非一度見てください。
この記事を書いた人
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