「購入する不動産の勘どころ」のお話し その3
ウチコミ!タイムズ編集部
2013/11/19
今回は、不動産の登記簿謄本の見方を説明します。
まず、土地の登記簿謄本から説明致します。
■A.表題部(土地の表示)
~登記簿謄本の基本情報、つまり土地の所在地(地番)や地目、地積 この土地が出来た日付、原因等が記載されています。 所在地とは:地番という登記簿上の番地です。一部の地域などでは 通常みなさんが住所として使っている住居表示と同じ事も稀にあり ますが、殆どの場合「登記簿謄本」にしか使われていない番号です。
地目:田、畑、山林、雑種地、宅地、公衆用道路、水路などと沢山の 種別がありますが、実際の用途を示すモノまでの整備はされていません。一応の用途の目安ぐらいでしょうか。実際に、道路なのに宅地や他の 地目になっていたりと、あまりあてにはならない事があります。 ただ、田、畑などの地目の場合は注意が要ります。本当に農地だった 場合、都市計画の区域によっては売買や土地の用途を変える事自体に規制が掛る場所もあります。
☆地積:その名の通り、この土地の面積です。但し、謄本のこの項目の すぐ隣に書かれている「原因及びその日付」の欄を参照して、日付が 昭和60年以前でしたら、面積の根拠は怪しいと思ってください。 このケースの殆どが、測量などのやり直しの可能性大です。昭和60年以降の日付で、更に「地積測量図」が法務局で取得できる 場合は、面積も根拠がある形になります。
☆原因及びその日付:これは、この登記簿の土地が登記された原因とその 日付を掲載する場所です。例えば「○○番△△より分筆」~年~月~日 と書かれていれば、その日付に○○番△△の土地から分けられてできた 土地だという事が分かります。
■B.権利部(甲区)(所有権に関する事項)
~この場所は、書かれている通りに権利、つまりこの土地を所有している 方の情報が載せられている場所です。大抵、幾つかの情報が掲載されて いますが、最後の所有権移転の欄の方が、現在の持ち主の方です。注意して頂きたいのは「差押え」「仮登記」「参加差押え」などの名目 で登記がされている物件です。
この場合、現在の所有者が何らかの債務 で約束違反等が高じて、更に一定の期間「問題の解決が出来ずに」いる 状態が起きている証拠ですから、当事者間(売主・買主)だけでの交渉など で解決できない可能性が大きく、危険です。専門家に仲立ちを依頼 しないと大きな問題になります。
他にも、前所有者が相続で取得したのか 売買で取得したのかも記述されています。又、一人以上の人数で所有して いる場合、所有者全員が掲載されていますし、その持分の記載もあります。 尚、この権利部の「受付年月日・受付番号」は、所有者が持っている「権利証」(登記記載情報)などに記載や刻印されていますので、番号と 日付を照合する事で、確認が出来ます。
■C.権利部(乙区)(所有権以外の権利に関する事項)
~こちらの権利部は、上記の通り所有権以外の権利が記載される場所です。具体的にどんな権利が登記される場所かと言いますと、この不動産を担保 にしてお金を借りた場合の「抵当権」などが多いですね。
☆抵当権とは:代表的な物は住宅ローンです。この土地を担保に、住宅の購入 代金などを借りた事自体を登記する形態です。つまり、この登記がある事で お金を貸した銀行などは、持ち主に何かあって住宅ローンの支払いなどが 滞る事態が発生したら、差押えなどの基になり、お金を融資する側の権利を担保する役割を果たします。ですので、借りたお金を返済し終えれば消す事 ができます。
☆根抵当権とは:これはちょっと難しいのですが、簡単に説明しますと 商売などをしている方の不動産等に良く見かける権利登記で、抵当権でお金 の貸し借りをしたのでは、貸し借りの度に抵当権を掛けなければいけない為 登記費用が膨大になってしまいます。
この根抵当権の場合、最高金額を極度額 として登記しておけば、その金額の範囲内で貸し借りしている限り、登記を する必要が無く、経済的なんです。ただ、この性質上「現在の借入残高」は その時点での残高証明を取らない限りわかりません。
☆賃借権や質権:最近ではあまり見かけなくなりましたが、あまり良い感じの 登記ではありません。賃借権は設定した権利者が記載されている賃料等の条件 で、他の権利登記に関係なく権利行使出来ます。つまり、所有者が売買など で変わったとしても、その権利は別物です。
また、質権は、所有者が掛けた火災保険などを、抵当権を登記している金融 機関などが担保の為に火災保険の保険金に担保を掛けている様な形です。こちらも内容をよく見て確認しましょう。
■D.共同担保目録
~これは何かと言いますと、抵当権等が掛けられるときに、土地だけではなく 建物にも同時に担保を設定する場合や、追加の担保物件等がある場合、どの 不動産が担保に該当するのかを見る為に請求できる目録です。 請求できると書いた通り、登記簿謄本を法務局に請求する段階で請求しないと 見本の様に掲載されません。この目録で、該当する不動産が特定できます。
以上が土地の登記簿謄本から得る事が出来る情報です。この情報だけでも、かなりの量ですが重要な情報が沢山含まれている事がお分かり頂けたのでは無いでしょうか?
■次回は、建物やマンションの登記簿の説明をしていきます。
今では自分で物件を売りに出せるウチコミ!売買REVOというサイトなどもあります。
有効に使って不動産物件の売却、購入をしてみてはいかがでしょうか?
この記事を書いた人
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