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隠れて飼われて怒り心頭!よりも

ネコ歓迎物件の方がグッドチョイスかもしれません

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ペットといえば、その代表が犬と猫です。賃貸物件で「ペット可」という場合も、皆さん、基本的には犬と猫をイメージしています。そこで、このうち猫のお話です。

賃貸住宅では、犬には起こりにくいあるトラブルが、猫では若干起こりやすくなります。それは、無断飼育です。そもそもペット飼育が「不可」とされている物件での隠れての飼育です。これが起こると、心優しいオーナーさんは大いに悩まされることになります。

「放置してはおけない。でも、どうやって話を切り出そうか…」

入居者さんが留守にしている部屋の出窓にのんびりと佇む猫と見つめ合いながら、思案に暮れるオーナーさんも時折いらっしゃいます。そこで、今回お伝えしたいこと。

それは、猫を物件からシャットアウトするよりも、今後はむしろ「ネコ歓迎」型の物件を運営した方が、経営上有利かも知れないということです。データがあります。一般社団法人ペットフード協会の調査結果です。

毎年行われている規模の大きな調査で、内容が多くのメディアにたびたび引用されるなどしています。この調査で、一昨年(2017年)、ある事件が起こりました。全国で飼育されている猫の数が、調査開始以来、初めて犬を抜いたのです。(犬 892万0千頭 / 猫 952万6千頭)

なにしろ、ここ数年犬の飼育頭数は右肩下がりです。一方、猫はやや増加気味での横ばいです。その過程でついに逆転が起こりました。加えて、上記に続く2018年の数字はこのとおりです。

犬 飼育頭数 890万3千頭
   飼育世帯数 715万4千世帯

猫 飼育頭数 964万9千頭
   飼育世帯数 553万9千世帯

猫はさらに犬との差を広げました。なお、それでも飼育世帯数は犬の方が猫を上回っています。理由は、犬は1頭飼い、猫は複数飼いが多いためです。とはいえ、この世帯数の方も、犬は目下減少傾向、猫は増加傾向です。

すなわち、猫関連のマーケットは、おそらく今後も拡大・増加が見込まれそうです。もうひとつ、数字を紹介しましょう。上記の調査では、こんなデータも挙がっています。ペット飼育における「阻害要因」を調べたその数です。

「現在、猫を飼いたいけれど飼っていない理由(阻害要因)は何ですか?」と、皆さんにお尋ねした結果です。

1位 集合住宅に住んでいて禁止されている …29.4%
2位 お金がかかる …21.9%
3位 旅行など長期の外出がしづらくなる …21.7%

ちなみに、犬だとこうなります。

1位 旅行など長期の外出がしづらくなる …25.9%
2位 お金がかかる …24.3%
3位 集合住宅に住んでいて禁止されている …23.5%

なお、この設問は、回答者の意識を深掘りするため、ちょっと複雑な構造になっています。よろしければ、調査結果の実物をご覧になり、ご理解いただくのが一番です。

ただ、かいつまんで言うと、猫を飼える賃貸住宅へのニーズが潜在的にかなり高いことは、ほぼ間違いない結果となっています。

多くのニーズが存在し、しかもそれが増えてきている…。なのに供給が追いついていない、ということでは、猫を飼える物件の市場は、外国人の入居を受け入れる物件のそれと、おそらく似たかたちになっています。

一方、こうした中、「ペット可か不可か」の段階で悩む多くのオーナーさんの逡巡を尻目に、ネコの飼育に特化した賃貸物件が、近年急速に充実度を増してきています。猫と人が同じ屋根の下で暮らすには、あったほうがよい工夫がさまざま存在します。

加えて、賃貸住宅の場合、建物の損傷や劣化を極力抑えたいオーナーさんのニーズも切実です。そちらに応えるための工夫も、当然なければなりません。ひとつ、例を挙げましょう。

こちらのサイトです。
「my RENOPET(マイリノペット)for ねこ」

このサイトは、実は賃貸ではなく、売買用のマンションリノベーションを行っている会社のものです。

この「グローバルベイス」社さんが提案している、獣医さん監修による「猫と人が快適に心地よく健康的に過ごすためのリノベーション」の中に、現在行われている最新の“工夫”が数々網羅されていて、とても参考になります。

たとえば、

・においを軽減する消臭効果のある塗り壁の採用
・カーテンへのよじ登り対策ができるプリーツスクリーン
・飼い主と猫が互いの居場所を把握できる動線設計(人間の子どもと同じですね)
・猫用トイレコーナーに汚れに強いフロアタイルを使用
・猫用トイレのにおいを吸い込む換気システム
・猫用トイレコーナーへの猫専用出入り口の設置
・汚れやひっかき傷に強く、部分張り替えも出来る壁クロス
・脱走防止戸
・ペットカートを置ける大きな玄関土間
・ウォークインクローゼットや寝室、洗濯スペースを猫が入れないかたちに設計

などなど、賃貸物件のリノベーションや新築においても、大いに参考となる内容です。まさに、猫と快適に心地よく過ごしたい方にとっては、若干高い家賃でも、礼金アリだとしても、それでもぜひ手に入れたい環境といえるでしょう。

以上、いかがでしょうか。

ちなみに、こうした特化型の賃貸経営は怖いとおっしゃるオーナーさんも、少なからずいらっしゃいます。ターゲットに定めた以外のマーケットを失うことになるというのがその理由です。

たしかにそのとおりです。女性専用マンションであれば、当然、世の中の男性全員をマーケットとして失います。ただ、ちょっと屁理屈にはなりますが、どんな賃貸住宅も、建っている土地から動かせない以上、実は「特化型」物件です。

なぜなら、その建物の建つエリアや沿線への居住ニーズという特化された市場以外に、マーケットは決して望むことができないからです。

(文/朝倉継道 画像/123RF)

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この記事を書いた人

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