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「入居者さんの行動に腹が立つ!」に

賃貸経営を高めるヒントがあります

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物件に空室が出ます。募集が始まります。物件を見に行きます。そのとき…「ああ、それ、やめてくれないかな…」いま住まれている入居者さんをうらめしく感じることがある、というオーナーさん、いらっしゃるかもしれません。

たとえば、居室玄関ドアの取っ手に、1本、2本と掛けられたビニール傘…。築後1~2年、まだピカピカの物件も、これがあるとなぜかうらぶれた雰囲気が漂います。築年を重ねた物件だと、さらにダメージもひとしおです。

「だらしない人が住んでいそうだな」

内見に来られた入居希望者さんに余計な不安を抱かせてしまう、オーナーとしてはぜひともやめてほしい、既存の入居者さんにありがちな行動です。

ですが、そこで! モヤモヤしたり、腹を立てたりするその前に、入居者さんがそんな行動をとる理由をあらためて考えてみてください。

答えは簡単です。入居者さんは、傘を立てたり、掛けたりする場所に困っているのです。

そうした風景が展開している物件の玄関の内側といえば、人が横になれるくらい広々としている…はずなどありません。きっと、ものすごく狭いはずです。立派な傘立てを置くスペースなど、通常そこには見あたりません。

すると、この状況は、サービス改善のためのヒントになります。たとえば、入居者さん全員に、ドアの内側に取り付ける、スペースの要らないマグネット式の傘立てをプレゼントするのです。

その際、こんな言葉を添えておきます。

「当物件のオーナーです。皆さんが傘の置き場所に困っていらっしゃるのを拝見し、こちらの商品をプレゼントさせていただくことにしました。どうぞご利用ください。なお、併せまして、今後は皆さんがお住まいの物件の美観が損なわれませんよう、ドア外側共用部分に傘を掛ける行為はご遠慮いただく旨、お願い申し上げます」

そのうえで、「傘を立てる場所が部屋の中に必ず必要である」は、オーナーさんご自身が、今後の賃貸経営を展開するにあたっての原則とします。すなわち、リフォームの際、または物件を新築する際、忘れてはいけない要件として加えておけばよいわけです。

このように、「入居者さんの行動に腹が立つ!」は、大抵、賃貸経営の質を高めるヒントとなります。駐輪場の見栄えが悪い、も、そうです。自転車が、秩序なく雑に置かれた駐輪場は、内見時、物件を訪れた入居希望者さんにとてもよくないイメージを与えます。

そうした駐輪場では、よく、スペース外に自転車を置く人も出てきます。

「うわぁ…もしかして、ここ、部屋数分のスペースが無いのかも。私の自転車も締め出される…?」本当はちゃんとスペースはあるのに、あらぬ誤解を生むなどします。

解決法は簡単です。駐輪場に、部屋ごとのラインを引くのです。引いたのちは、やはりひと言、広報もしておきます。

「このたび、駐輪場にお部屋ごとのラインを引きました。自転車は各ラインをはみ出さないようにお停めいただきますよう、お願い申し上げます」

こうした対策をとったのちであれば、それでもだらしない置き方をする人が現れた場合でも、格段に注意がしやすくなるわけです。「マナーを知らない入居者ばかりだ!」と、プンプンしているだけではダメ。このような単純な発想も生まれてきません。

一方、駐輪場ではなく、駐車場です。郊外の駐車場付き物件などで、これを見ると入居希望者さんの多くが「ひいて」しまうものがあるとすれば、それは何だと思われますか?

「ああ、それはアレです」と、ため息をつかれるオーナーさんも多分いらっしゃるはずです。

改造車です。やんちゃで派手な改造車や、傷だらけのいわゆる走り屋さんのクルマなど、駐車場への出入りの際、いかにもうるさそうなばかりか、

「きっと持ち主は部屋の中でもうるさそう…」

気弱な入居希望者さんを寄せ付けない効果を発揮することがたまにあります。かといって、この場合、持ち主である入居者さんに出て行ってもらうというわけにもいきません。

ただし、学習はできます。次の募集の際は、どんな車を停めるつもりなのか、スクリーニングもちゃんと行っておくことにするのがよいでしょう。そのほかにも、入居者さんの行動から得られるヒントはたくさんあります。

「壁に画鋲穴、ネジ穴をいくつもあけられた!」

腹が立ったのなら、それは、ピクチャーレールや吊るす収納が部屋に欲しかったという入居者さんからのメッセージです。否、立ち去った入居者さんからではなく、次の入居者さん、未来の入居者さんからもらった事前のリクエストなんだと解釈するのが、精神衛生上も正しい選択です。

「ほかの入居者が外階段を昇り降りする音がカンカン、カツカツ、うるさい!」

そんな苦情を受けて、「まったく…誰なんだ?うるさいのは」うんざりしながら注意書きを配るだけでは進歩がありません。苦情をヒントだと思い、調べましょう。

音が減るだけでなく、人が足を滑らせる事故も防止できる外階段用のマットを貼るという対策を知ることもできるわけです。

そうした努力をしたうえで、「歩行はお静かに」と呼びかけることで、オーナーさんの願いが通じやすくなるということは、最初のビニール傘、次の駐輪場の事例にも記しておいたとおりです。

(文/朝倉継道 画像/123RF)

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この記事を書いた人

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