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3分の1が空き家に

空き家がもたらす生活スタイル将来像

川久保文佳川久保文佳

2018/12/04

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イメージ/123RF

空き家の話題になると、多くの人が将来の空き家問題を抱えていることに気付かされます。親が片親になっている住宅も空き家の予備軍です。

不動産の市場を考える時に地元の視点で見ることの他に、大きな視野で世界の動向や時代の流れを考える必要があります。「自分の身近で少しずつ空き家が増えている」と感じた場合、もうすでに取り返しのつかないほど、空き家が急速に増えているという感覚がただしいかもしれません。

各地を訪れると、戸建てが多い住宅地で、70代以上の女性がひとりで住んでいるお宅が5軒続いていたり、住民票はあるものの、施設や病院に入っていて、調査では空き家になっていないけれども人が住んでいない住宅が数多くあったりします。こうした地域ではあと10年も経つと地域のほとんどが空き家になる可能性もあります。

なぜなら、人口が減少している中、空き家が増えつつある現在も、空き家はそのまま活用されずに、新築の建物が増えているといった状態にあるからです。

気が付いてはいても、自治体の取り組みは往々にして、後手に回ることがよくあります。

空き家問題は地方に限ったものではなく、東京都23区においても、空き家は増えつつあります。

その中で、各自治体で少しずつ空き家対策への取り組みが行われています。

空き家対策への世田谷区の取り組み

今回は世田谷区の取り組みに注目してみたいと思います。

世田谷区は地域の絆を大切にした地域の街づくり計画とともに空き家の対策にも積極的に取り組んでいます。

世田谷区は、区役所と一緒に一般社団法人世田谷トラストまちづくりが、空き家等の地域貢献活用の事業として、空き家対策に取り組んでいます。区内にある空き家等(空き家、空室、空き部屋)を地域の資源と捉えて、空き家等の地域貢献活用を目的として、空き家に対する相談窓口も開設し、さまざまな取り組みをしています。

この取り組みから、いくつかの活用事例も増えてきています。

空き家を活用した事例は平成25年から14例を数えます。高齢者福祉交流のためのスペースや子育て支援の家、生活困窮家庭へ向けた子どもの学習支援のシェア住宅、食育支援など多岐な取り組みがされています。

時には、空き家等活用ゼミナールとして、空き家のワークショップやオリエンテーション、グループワークを通じて、空き家問題を自分の身近に捉えて、取り組み方を実践に近いかたちで考え、活用方法を探っていきます。

これらは、実際の空き家として活用できそうな事例をもとに解決策へと導いていくために、空き家問題を実際のこととして捉える貴重な体験になります。

積極的に取り組んでいる世田谷区のような自治体がある一方で、ようやく、空き家に対する取り組みを行おうという表明をした自治体もあり、空き家への問題意識はまだまだスタートしたところです。

さて、昨今 シェアハウスへの過剰な融資が問題視されました。銀行の貸付に関して、個人の収入評価以上の貸付などで問題が発生し、多くの被害者を生みました。

11月29日に、みずほ銀行が、住宅ローンの適用条件の見直しを行うという取り組みが発表されました。これまで、民泊用途の場合、通常の住宅ローンは適用されず、利率の高いローンに限られていましたが、今後は自宅部分の床面積が50%以上あれば、民泊用途でも全額住宅ローンを適用できる取り組みを国内で初めて開始していく意向を表明しました。

いずれも、新築優遇の融資だけではなく、さまざまな付加価値ある不動産資産への銀行融資の取り組みのスタートであってほしいと感じます。

今後、空き家率について

5年に一度国政調査が行われている空き家率の調査ですが、前回の2013年の調査以降の気になる調査の発表は2019年夏ごろと推定されています。2015年に13.5%だった空き家率は2018年になるとさらに急増して、16.9%と予測されています。

今後、10年を考えると、2020年に東京オリンピックが終了し、不動産市場も一時期冷え込むことが想定されます。

2021年には最後のベビーブームであったとされる第二次ベビーブームの世代が50代を迎え、新しい住宅への需要が減ることも予想されます。2022年には生産緑地法の多くの期限が切れ、農地が市場に開放され、市場に不動産が出回ることも予測されます。このようなデータを踏まえ、2023年には空き家の数が全体の3分の1に達するという予測も出ています。

定住地を持たず、空き家や空室でノマド生活をする人々

最近、シェアリングエコノミーの一つとして、住まいを所有するのではなく、共同で利用しようという試みを推進する事業者も現れてきました。身の回りの荷物をロッカーに保管し、住所を実家に置き、数日単位や一か月単位で住まいを転々とし、仕事もその先々で行うという暮らし方です。ある時は東京都23区内のAirbnbを利用し、こうした人たちは時には千葉県の房総半島のシェアハウスで暮らすなど、それぞれの環境を楽しんでいるようです。もしかすると将来的には、空き家もそのように活用されていくのかもしれません。

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この記事を書いた人

一般社団法人空家空室対策推進協会代表理事/株式会社エアロスペース CEO/ビーモア株式会社代表取締役タナメラジャパン(マレーシアスパコスメ)代表/jasmin(全国民泊同業組合連合会)理事

一般社団法人空家空室対策推進協会代表理事/株式会社エアロスペース CEO/ビーモア株式会社代表取締役タナメラジャパン(マレーシアスパコスメ)代表/jasmin(全国民泊同業組合連合会)理事 北海道函館市生まれ。現在の札幌国際大学 卒業後、リクルート住宅情報事業部にてライターを務めた後、IT企業を経て不動産関連事業へ転身。その一方で、化粧品とサプリメントのコンサルティングや専門家としてのアドバイザー務める。海外派遣先では、フィリピン・タイ・カンボジア・マレーシアなどで日本への輸出入をテーマにセミナーを行うなどマルチに活動している。

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