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鍵交換費用を入居者負担とすることの問題点

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不定期連載のコラム第3弾です。前回に引き続き、賃貸紛争を避ける為のポイントです。前回は残置物についての解説をして来ましたが、もう一つ似たような物があります。それは「鍵交換」の事です。

■「鍵交換」をしないで入居するということについて

「鍵交換」とは、賃貸住宅の玄関の鍵の事です。今の現状からお話しして行きましょう。現在、賃貸住宅の現場では、ほとんどの場合「入居者負担」で鍵が交換されています。

貸主が法人の場合や、大手の管理会社が介在していると、賃貸契約の契約金に「ほぼ強制的に」組み込まれているケースが大多数ですね。

又、貸主が個人の大家さんでも、ほとんどのケースで「鍵交換の希望があれば・・・○○○円」という様な具合です。実質的に、入居者さんの負担と言う事が当たり前の様になっています。

そうでないのは、新築住宅の最初の募集の場合と、極稀に「大家さんが積極的に交換している」場合だけですね。この様な状況ですから、入居の為の費用を切り詰めたい入居者さん側では「鍵交換を希望しません」というケースも、意外と多いようです。

そこで、心配なのは・・・。

誰の負担で鍵の交換がされているかは後程触れますが、鍵交換をしないで入居した「新入居者さんが盗難にあった場合」どうなるのか? という事です。

言うまでも無く、一番悪いのは「盗難を働いた人」ではありますが・・・。被害を受けた入居者は、たまりませんね。

それでは、当事者の責任を考えて見ましょう。

【入居者さん】

言わずと知れた、最大の被害者
責任という事で見ると、鍵をかけて外出していたか?・・・・ぐらいの事でしょう。
管理責任が該当します。・・・鍵の管理、防犯上の設備の管理などです。
建物への損害などがあれば、被害者でもあります。

簡単に説明しましたが、以上のようになります。しかし、管理責任と言う説明が分かりにくいかと思いますので、例をいくつか挙げてお話しして行きます。(ここでのお話しは、基本的に玄関の鍵に起因する物を中心に考えて行きます。)

(例1)前の入居者さんに貸与した鍵の本数と同じ本数を返却された。新入居者さんは鍵交換を希望しなかった。

(例2)前の入居者さんは鍵を紛失していた。新入居者さんは鍵交換の希望をしなかった。

(例3)鍵交換をして2〜3年なので、新入居者さんにはそのまま入居して貰った。

(例4)前入居者が退出後、クリーニングなどの段階で鍵を紛失していた。

他にも、まだまだ沢山の状況が考えられますが、整理していきましょう。まず大前提として、鍵の責任はだれにあるのか?

賃貸契約を交して貸し借りをする賃貸住宅の場合、鍵はその目的となる住宅の「防犯性能を司る重要な設備」になります。ましてや、賃料を取って「入居者の生活の本拠地」を守る基本的なものです。

そうしますと、入居者さんが入居後に「自分のミスなどで紛失」したのなら、話は違いますが、大家さんが提供する時から「問題を抱えているかも知れない状態」という形は、大家さんの責任になる公算が非常に高くなります。

盗難などの被害に対しては、説明の通り「大家さんの責任」はとても大きいと言えます。

上記の例でも提示しましたが、鍵の管理と言いましても、非常に限界があるものです。貸し出した本数と同じ本数が返却されたとしても、果たして紛失が無かったのか?

紛失して合鍵を作って、同じ本数を返しただけなのかもしれません。前々入居者などが悪意を持って誰かに渡したかもしれません。住宅が空き家になっている時に、悪意を持った外部の人間が、コピーをしていたかもしれません。

直接的に大家さんが無くしていなくとも、その事を知りながらそのまま次の入居者に貸したのでは、責任は大家さんに課されます。

いずれにしても、鍵の管理という見地から見て行きますと「ずさん」と言われてもしかたがありません。また、現在の賃貸住宅の募集の手続きを見ていますと、第三者が多く介在しますので、完璧な管理も難しいでしょう。

以上の内容から、大家さんは自身の為にも、入居者の為にも鍵交換をしておくことがベストと言えるのではないでしょうか。

そして、ここまでのお話しを見て頂くと、鍵交換の費用負担についてもお分かり頂けたのではないでしょうか。新しく入居される方に「鍵の交換費用」を負担させるのは、本当のところ上手くはありません。

これは、法律でハッキリと明言されていない事と、慣習的になってしまっている今の状況があるようですが、入居者の負担を強いるあまり、入居者さんの契約金の負担軽減などから「鍵交換はいりません」と言わせてしまうのは、双方にとって良くない事でしょう。

また、鍵交換と言っても「防犯性の高い高価な鍵」でなければいけないわけではありません。費用面についての大家さんの負担は否めませんが、大家さん側にも責任が伴う事から考えますと、負担を考えた方が良いと思います。

管理会社等に管理を委託されている大家さんも、管理会社側にまかせっきりになっていると危ないです。高額な鍵交換費を設定していたり、入居者の希望任せになっていたりでは、責任だけが回ってきかねません。

最後に、ここでの話は「鍵交換にまつわる盗難」という話でしたが、犯罪という切り口から考えて行きますと、盗難だけとも言えません。

ケースとしては多いとは思えませんが、殺傷事件などに発展してしまったらとんでもありません。最悪のお話しで実感がわきにくいかもしれませんが、起きてからでは取り返しもつきません。

現状の賃貸住宅の環境から見ても、入居希望者が気に入った物件の鍵交換の費用の交渉など、賃貸契約の時点で交渉できる環境もありません。

特に、管理会社や不動産会社が介在している現状では、入居者(個人)と管理会社等(企業)では、交渉能力に差が出るのは当たり前ですし裁判等になった時にも、司法側は「原状を説明のように判断」しているケースが多いのです。「転ばぬ先の杖」としてお考え頂くといいかと思います。

不動産経営に関してはもはや不動産会社さんにおまかせということでは成り立たなくなりつつあります。

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