敷金(保証金)・礼金と仲介手数料〜礼金と広告宣伝費の違い
ウチコミ!タイムズ編集部
2014/09/23
今回は、礼金のお話しをします。「礼金」については、読んで字の如し。賃貸住宅の契約時に貸主さんに支払うお礼です。今の世の中では「お礼??? 何のお礼?」という声が聞こえてきそうです。現代の賃貸住宅のシステムには、少なからず無理を感じています。
礼金自体、昨今はあまり聞かなくなりましたが、依然として残っています。現在、この礼金の使われ方の代表的な物をお話ししますと・・・。「貸主から不動産会社に支払われている!?」事が多いようです。「あれっ??仲介手数料は1カ月が法律の上限じゃないの?」正解です。その通りです。
賃貸住宅の斡旋をした不動産業者が借主さんから「1か月分の仲介手数料」を受取る。賃貸住宅の入居者募集をしている不動産会社が貸主さんから「1か月分の広告宣伝費」受取る。法律では、賃貸住宅の仲介手数料は1カ月を上限としていますから、借主さんから1カ月貰ったら貸主からは、1円も取れません。
つまり、借主・貸主の双方から仲介手数料を受取る場合、双方から受取れる上限は、0.5カ月ずつです。どうやって受取っているのかと言うと
借主さんから仲介手数料を1カ月分。・・・これはOKですね。
貸主さんからは、「広告宣伝費」という名目で1か月分。・・・OKなの?
結果から言ったら、OUTですね。ただ、規定外報酬について「依頼者より特別な広告などの要請があった場合、仲介手数料とは別に報酬を受け取れる」という抜け穴的な規定があるので、行われているのです。
しかし、この規定には「特別の依頼」の明確な線引きもなければ「その報酬についてのガイドライン」も定かでは無く、取締りもほとんど行われていません。酷いものです。ただ、一言断っておきますが、不動産業者だけが悪いともいえません。
説明を見て頂くとわかると思いますが、借主さんを斡旋した業者さんと、入居者を募集した業者さんが別々の場合、斡旋業者だけしか仲介手数料を貰えない??事が起きてしまう。もしくは、仲介手数料を0.5カ月づつ・・・。
家賃が3万円だとすると1.5万円づつ。この報酬では、人件費も出てきません。法律やシステム、不動産業界の構造の全てに欠陥があるようです。しかし、これは慣習を背景にした「勝手な都合」の話です。敷金との違いは明白ですね。賃貸住宅の主役は、借主・貸主です。
借主にとっては「意味不明な負担でしかありません。」
貸主にとっても「もはや、意味は無いように思われます。」
だとすると、不要なシステムではないでしょうか? 皆さんはどう感じますか?
余談ですが「UR賃貸」をご存知ですか?家賃が少々高めで有名かもしれませんが、UR賃貸の物件は全て礼金0円です。合理的な部分も持っているのですね。家賃がもう少し安ければ、空き住戸も埋まると思うのですが…。
次回は、「敷金・礼金」にまつわる、もう少し深い話をします。
実は礼金は大家さんではなくて、不動産会社に流れていっている業界の裏話です。
【礼金に関しての記事まとめリンク】
敷金・礼金とは? 広告宣伝費として不動産会社に流れる仕組み
賃貸契約の初期費用の計算方法
賃貸初期費用の悪慣習「のっけ」とは?(礼金)
入居希望者が受け取る「計算書」に礼金が上乗せされているケース
後から礼金や敷金を増やしてきたら即決は止めましょう
この記事を書いた人
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