新築マンションを購入するときの流れは? 物件探しから入居まで、必要な手続きも解説
秋津智幸
2016/02/03
まずは物件情報を集める
マンションを購入する際、最終的に入居するまでにはかなりのステップを踏む必要があります。
まずは物件情報を集めるところから始めます。物件情報を集めるにも、住みたい街や周辺環境、価格、間取り、マンション全体の規模、設備など、検討するポイントはいろいろあります。まずは大まかな条件を決め、情報収集をしながら自分の希望の優先順位を決めつつ、気になる物件をチェックしていきましょう。
気に入った物件が見つかったら、モデルルーム(すでにマンションが竣工している場合は、物件そのもの)へ見学に行きましょう。インターネットやチラシの情報だけではわからない物件の仕様や周辺環境などをチェックできるので、モデルルームの見学は絶対に欠かせないステップといえます。
見学を経て、購入したいと思う物件が決まったら、実際に資金計画を組み立ててみます。通常は、販売している不動産会社の営業マンが一緒に資金計画を組み立ててくれます。その資金計画に無理がないか、購入後の自分の生活を考慮しながら大よその資金計画を決定します。
「購入申し込み」には「申込証拠金」が必要になることも
資金計画に無理がなく、自分が購入できると判断でき、そのマンション購入の意思を固めたら、「購入の申し込み」をします。昨今、人気の新築マンションでは、抽選で購入者を決定します。その場合は、登録期間内に希望する住宅(部屋)に登録しておき、抽選結果を待つことになります。当然、抽選で当選しなければ購入することはできません。
ただ、抽選に外れた場合でも、登録することでその販売物件にローンキャンセルなどが発生した際、優先的に紹介してもらえることもあります(たとえば、同じ間取りの上下階の部屋など)ので、どうしてもほしい物件であれば、担当の営業マンにキャンセルが出たら紹介してほしいことを伝えておくとよいでしょう。抽選後に空いている物件や、最初から「先着順」で申し込みを受け付ける物件の場合は、条件のよいと思われる部屋から申し込みが入ってしまうので、購入の意思が固まったら、早めに申し込むほうがいいでしょう。
「購入申し込み」の際には、物件によりますが、2万~10万円程度の「申込証拠金」が必要になることがあります。申込証拠金は、売買契約の成立後に購入金額として充当され、契約が成立しなかった場合は返却されます。なお、この段階では契約はしていないので、「やっぱり、ほかの物件がいい」と気が変わっても購入を撤回することができます。
契約と住宅ローンの申し込み
次はいよいよ契約です。「購入申し込み」をしてから、1週間から2週間程度で「売買契約」を結ぶことが多いようです。通常、契約の前にその物件の販売に携わる宅地建物取引士によって「重要事項説明」が行なわれます。
重要事項説明は、資格を持った宅地建物取引士しか行なうことができません。重要事項説明では、売買の対象となる物件に関する本質的な事項、法律的な制約、取引の条件、その物件独自の条件(特約)等契約書には記載されていない細かな説明を受けます。契約前に重要事項説明でわからないことがあれば、そのままにせず必ず納得できるまで質問をしましょう。
また、売買契約時には、「手付金」(新築未完成の物件では価格の5パーセント以内、新築でも完成している物件では価格の10パーセント以内と定められています。概ねその上限額が実際の手付金の目安です)を支払いますが、売買契約を結んだ後に購入をキャンセルすると手付金は戻ってこないので注意が必要です(ただし、住宅ローンを利用する場合は、ほとんどのケースでローン特約といわれる特約をつけ、ローンの審査が通らず、やむを得ず契約を解除する場合については、特約によって手付金は返金されます)。
売買契約を結んだら、現金一括払いでないかぎり、金融機関に住宅ローンを正式に申し込むことになります。住宅ローンの審査は、一般的に事前審査を経て、本審査があり、金融機関によりますが、長くて1カ月以上かかることがあります。金融機関の審査にはさまざまな審査書類(収入証明、住民票など)が必要になり、記入する書類もたくさんあるので、ローンの申し込みも大変ですが、書類が不足したり、記入ミスがあると余計に時間がかかることになりますから、しっかりと準備しましょう。
内覧会で実際の物件をチェック
住宅ローンの審査が無事に通れば、ほぼ購入目前です。しかし、新築マンションでは、引渡し(代金決済)の前に「内覧会」(「確認会」ということもあります。)という大切なイベントが待っています。これは完成したマンションの室内を買い主が確認して、何か問題がないかをチェックするためのものです。
新築マンションの多くは、完成前の物件を購入することになるので、売買契約の時点では室内を見ることができません。「内覧会」で初めてわが家を見ることになるため、うれしくて舞い上がってしまうかもしれませんが、内覧会の最大の目的である「施工不良はないか」「契約通りの物件か」など、厳しい目でチェックするようにしたいものです。
ちなみに、この内覧会では確認できないもの、たとえば、ガス機器やトイレの多機能便座などの使用してみなければ、不具合がわからない設備については、入居後一定の期間内に不具合を告知する機会があります。
この内覧会が終われば、「引渡し」です。引渡しでは、手付金を除いた物件価格の全額を支払うと同時に、買い主の名義に所有権を移転し、正式にマンションの権利を取得します。引渡し時には、登記費用など含めた諸経費の支払いも同時に行ないます。大規模なマンションになると一度に引渡しができないため、何回かに分けて「引渡し会」が開かれるケースもあります。
さて、この支払が終わると晴れて「鍵」の引渡しです。新居の鍵を受け取れば、念願のマイホームに入居できることになります。
なお、新築マンションでは、入居者が同じ日に集中して引っ越しをすると大変なことになるおそれがあるので、引渡しの1カ月ぐらい前に「入居説明会」を開催して、引越しの日程調整などを行なうことがあります。
新築マンションの購入までには、さまざまな手続きや書類の記入などがありますが、基本的にはマンションの販売会社が手続きをスムースに進めるためにサポートしてくれますので、それほど心配することはありません。
この記事を書いた人
不動産サポートオフィス 代表コンサルタント
公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、AFP、ファイナンシャルプランニング技能士2級。 神奈川県住宅供給公社にて、分譲マンション、一戸建・宅地分譲、高齢者住宅等の新規不動産販売部門に従事した後、同社賃貸部門にて賃貸物件の募集、管理業務に従事する。その後、不動産投資専門の仲介会社を経て、不動産コンサルタントとして独立。 現在は「不動産サポートオフィス」の代表コンサルタントとして、自宅の購入、不動産投資、住み替え、融資など多岐にわたる不動産に関する相談・コンサルティングを行なう。その他、不動産業者向けの研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム等の執筆にも取り組んでいる。 主な著書に、「貯蓄のチカラ~30歳からのおカネの教科書」(朝日新聞出版)、「失敗ゼロにする不動産投資でお金を増やす!」「賃貸生活A to Z」(アスペクト)がある。