投資をするうえで「不動産会社の広告」が当てにならない理由

街

政府の100年住宅構想は絶対に実現しない!?

国が進める「長期優良住宅」の施策は文字どおり「長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅」のことですが、現状では絶対に中古住宅の流通は活性化することはなく、将来も活性化することはありません。なぜなら、ブラックボックスの中に個人の中古売主は入れないからです。

個人売主の中古は、どんなに目玉物件であってもしょせん片手取引しか実現できず、業者が売主の新築や中古は、両手取引になる物件や担ボー付き物件から流通していくからです。

つまり、どちらの物件が流通するかは、「中古の価値」ではなく「流通のしくみ」が決めているのです。

本当にお得な物件は広告が出る前に業者が買ってしまう

では、実際の住宅の購入に際して、みなさんの「損をしたくない」という心理はどのように動くかを考えてみましょう。

35年先かどうかは断定できませんが、数十年先の資産価値を見極めて購入するつもりでも、それだけの年数があれば、だれでもいろいろとハッピーな出来事があり、アクシデントもあり、境遇が変わります。

ハッピーな出来事ばかりであればよいのでしょうが、離婚、リストラ、家庭崩壊とリスクは常について回り、もし、そのリスクに直面すると、「あのとき、家を買わなければよかった・・・」とだれもが思うものなのです。

人はだれでも「損をした」と思わないようにするため、まず、「購入しよう」と決めたら、物件をいろいろと調べます。日曜ごとに新聞に折り込まれている不動産広告を見て、「あの地域ならば、いくらくらいで出ている」とか「あのマンションの部屋が売りに出された」などと、少しは不動産事情を理解しながら検討を始めるはずです。

でも、そのことで「損の入り口」に立っていることにはまだ気づきません。

なぜ、検討することが損の入り口になるのか。それは、不動産会社の広告ほど当てにならないものはないからです。

では、なぜ当てにならないのか。まず、これまでお話ししたように、不動産業界の流通過程はまったく一般の人にはわからないブラックボックスの中にあるからです。そのため業界の中と外では情報量がまったく違い、業界の外にいるみなさんは、実は何もわからず広告を見て検討していると言えます。

物件については、本当の掘り出し物件、売り急いでいて相場より安く、利益を乗せて再販できるような中古物件などは、広告に載せる前に流通し、業者が買っていきます。そして、広告に載るのは売れ残りばかりですから、消費者が価値として得をしたと思える物件は、その広告を見ている時点でまずないのです。

本連載は、2012年9月10日刊行の書籍『不動産屋は笑顔のウラで何を考えているのか?』からの抜粋です。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

この記事のコラムニスト

大友健右
大友健右(株式会社総研ホールディングス代表取締役社長)
株式会社総研ホールディングス・株式会社アルティメット総研・株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役社長。1972年生まれ。大手マンション会社で営業手法のノウハウを学んだのち大手不動産建設会社に転職。東京エリアにおける統括部門長として多くの不動産関連会社と取引、不動産流通のオモテとウラを深く知る。
ウチコミ!創設者
大友健右は収益物件の個人間直接売買ができるプラットフォーム「ウチコミ!」の創設者です。