地盤問題について

土地

皆様、ご無沙汰しておりまして、申し訳ございません。 早速ですが、前回の続き(地盤問題について)の話を記載させていただきます。

その前提として、同じ住宅団地でも切土か盛土かということで、全く異なる結果となってしまったということがあります。東日本大震災のときに、切土側の土地は殆ど無傷でしたが、盛土側や切盛境界部分の土地はほぼ壊滅状態という住宅団地がありました。

「えっ、そこまで宅地としての運命を異にしてしまうの!?」

やはり、鑑定評価においても、地盤や地勢や地歴などの確認は、従前通りに行っていてはいけないと痛感しました。 また、もともとは湿地帯であったり、田や畑だった場合にも、注意が必要です。畑はそれほどでも…と思われるかもしれませんが、特に、もともと有機質の堆肥などがあった場合には、その部分のみ沈下を起こしてしまうという不同沈下(家全体が均等に沈下するのではなく、一方向に斜めに傾くような状態)の原因になります。

また、そもそも、地下埋設物の話では、以前の建物を取り壊した後に、瓦礫等の産業廃棄物が地中に埋まっていることもあり、その場合には、処分費などの費用拠出が必要になる可能性があります。 したがって、地盤面よりも上の話だけではなく、このような地盤も含めて、土地及び建物の将来性を見ていかなければならないと思います。

では、前回の続きです。新築後半年で雨漏りをしてしまったというお宅ですが、バスタブの中ではなく、なんと、バスタブの外側に水が湧き上がってくる!ということでした。結局、圧密沈下でした。

沈下の種類には、即時沈下(※1)、圧密沈下及び擁壁部の埋め戻し土で見られる圧縮沈下等がありますが、圧密沈下は、建物の不同沈下に繋がりやすい沈下で、盛土や建物の建設などにより、有機質土や軟弱な沖積粘性土に鉛直荷重が加わり、粘性土層から間隙水が絞り出されて地盤が沈下する現象です。

本件は、新築の建物の重みで鉛直荷重が加わり、粘性土層から間隙水がバスタブの外側に回り、湧き上がったと言えます。

住宅地盤の調査においては、主に支持力の推定に有効なSWS試験(スウェーデン式サウンディング試験)がなされていますが、本件のような圧密沈下量の推定には、精度が低いと言えます。また、住宅の沈下の場合は、支持力不足よりも圧密沈下に因る場合が多いため、圧密沈下が考えられる地盤では、SWS試験ではなく、土質試験をお勧めします。

なお、後日、グーグルマップの航空写真から、本件の対象地も含め辺り一帯の状況を確認すると、その道路沿いの一部の帯状地に、全体的なアスファルトの歪み、地盤の不安定さを確認することができました。 グーグルマップでもここまで確認できるんだ!と驚いた瞬間でした。

一方で、あるネットでの地盤調査の判定では、当該地域は特段注意喚起がなされている地域ではなく、一般的な地域内に存していました。 ネット情報の限界を感じた瞬間でした。

今回はここまでとさせていただきます。

いつもお読みいただきましてありがとうございます。
以上

注)※1即時沈下:砂地盤などでの相対的な表層部の変形。主な原因として、地盤の弾性的な沈下のため、沈下量も比較的少なく、その期間も短いのが特徴

この記事のコラムニスト

皆川聡
皆川聡(不動産鑑定士)
株式会社あおい不動産コンサルティング。大手不動産鑑定会社、株式会社三友システムアプレイザルに従事し、その後独立。
不動産鑑定業務が主ですが、住宅診断(ホームインスペクション)も対応しております。財務諸表・会社法・税務等についても、スキームに応じた鑑定評価の立ち位置を認識しております。相続・事業承継関係等にも勿論対応させて頂きます。
賃料の評価・査定につきましても、数多くの案件を携わっており、得意にしております。
[担当]物件調査
皆川聡は個人間直接売買において物件調査により権利関係の確認をします。