ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

返済比率25%〜35%は昭和・平成の幻想 令和時代の住宅ローンでの返済計画に求められるもの(2/2ページ)

牧野 知弘牧野 知弘

2021/11/30

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

ばらまきのツケは必ず来る 返済比率は20%以下にして己の身を守れ

住宅ローン返済額が、年収の35%だ、25%以内だという基準があくまでも昭和平成の時代の延長線上にある生活を前提としていることにいまだ多くの日本人は気が付いていない。

残念なことにこの四半世紀、日本人の一般世帯の年収はほとんど上昇していない。1人あたりのGDPも韓国に抜かれる事態に陥っているのが今の日本の実態だ。雇用は今後もどこまで保証されているのか、退職金は予定通りもらえるのか、年金はちゃんと支給されるのか、多くの人はなんとなく昭和平成の流れで自分たちの今後の人生を夢想している。

この先、日本人にさらに待ち受けているのが増税だ。ばらまきに余念がないようにみえる現在の政府だが、コロナ禍での給付金、支援金をはじめ、これらのおカネの支給は、将来必ずツケとして増税で戻ってくる。消費税率は当然引き上げられ、所得税や地方税も増税ラッシュになることは間違いないであろう。花咲爺さんは世の中にはいないのである。

日本は物価が安いから生活がしやすい、などと喜んでいる場合ではなく、コロナ後にやってくる日本の現実に多くの人が驚愕することになるだろう。そのとき、あなたの住宅ローンはどうなっているだろうか。あたりまえだが、ローン元本は返済していない限り、厳然と存在し、毎月あなたに返済を要求してくる。どんなに生活が苦しくなっても返済だ。会社の給料は上がっているだろうか。ダメなら売ればよい——これも昭和平成脳だ。

今後、人口減少は勢いを増し、高齢化が進むにつれ、一部の投資用不動産を除いては、一般の住宅に対するニーズは急激に落ち込んでいくだろう。それでもあなたが借りた住宅ローンは毎月「返せ、返せ」の大合唱だ。

令和における年収に対する返済比率は20%以下にしておくことが、これからの身を守ることになりそうだ。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

株式会社オフィス・牧野、オラガ総研株式会社 代表取締役

1983年東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て1989年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し経営企画、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT市場に上場。2009年オフィス・牧野設立、2015年オラガ総研設立、代表取締役に就任。著書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題 ――1000万戸の衝撃』『インバウンドの衝撃』『民泊ビジネス』(いずれも祥伝社新書)、『実家の「空き家問題」をズバリ解決する本』(PHP研究所)、『2040年全ビジネスモデル消滅』(文春新書)、『マイホーム価値革命』(NHK出版新書)『街間格差』(中公新書ラクレ)等がある。テレビ、新聞等メディアに多数出演。

ページのトップへ

ウチコミ!