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土地値や建築費上昇が原因ではない 新築マンションの価格が上がっているワケ(4/4ページ)

牧野 知弘牧野 知弘

2021/10/09

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最近の中古マンションは設備仕様も、築浅のものであれば新築と大差ないどころか、価格を抑えるために設備仕様を落としている最近の新築物件よりも、設備仕様の優れている物件も多い。賢い人たちは、中古物件をじっくりと品定めして取得しているのだ。


住宅が不足した時代は過去のもの。賢くマンション選びをしたい イメージ/©runna・123RF

したがってメディアなどで、新築マンションマーケットを取り上げて、その価格が上がった、上がったと騒ぎ立てるのは私にはマーケットの実態をよく分かっていないとしか思えない。そしてこの話題に翻弄されて、ローンの低金利や所得税減税などの甘い蜜(罠?)にすがって多額の借金を背負い込む一般庶民のなんと多いことだろうか。コロナ禍の現在、④には該当しない一般庶民が期間35年などの長期ローンを設定して買った物件で破綻が始まっている。住宅ローンの延滞者は現在、8万人超にも及んでいるのだ。

まったくフィールドの違う世界になってしまった新築マンションマーケットで、これまでと同じ昭和平成脳で、とにかくマンションを買おうとする人たちは、現実を全く理解できていないと言われても仕方がない。

住宅が不足していた時代の残り香で、新築マンションを追いかけまわすのは令和の時代には終わりにしたいものだ。

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この記事を書いた人

株式会社オフィス・牧野、オラガ総研株式会社 代表取締役

1983年東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て1989年三井不動産入社。数多くの不動産買収、開発、証券化業務を手がけたのち、三井不動産ホテルマネジメントに出向し経営企画、新規開発業務に従事する。2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT市場に上場。2009年オフィス・牧野設立、2015年オラガ総研設立、代表取締役に就任。著書に『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』『空き家問題 ――1000万戸の衝撃』『インバウンドの衝撃』『民泊ビジネス』(いずれも祥伝社新書)、『実家の「空き家問題」をズバリ解決する本』(PHP研究所)、『2040年全ビジネスモデル消滅』(文春新書)、『マイホーム価値革命』(NHK出版新書)『街間格差』(中公新書ラクレ)等がある。テレビ、新聞等メディアに多数出演。

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