「親子ペアローン」「親子リレーローン」の上手な利用法と注意点
牧野寿和
2016/09/27
親子で収入合算ができる
前回の記事では、夫婦の収入合算を例にあげて、住宅ローンを利用するケースを見てきましたが、同居の親子(義理の親子でも可能)がいる場合についてご説明しておきましょう。
この場合、「親子ペアローン」や「親子リレーローン」を利用することによって、借入可能額を増やせる可能性があります。
「親子ペアローン」は夫婦の場合と同様に、ひとつの物件に対して、親と子がそれぞれの収入に対してローンを組む方法です。親子が同時に返済をしていきます。団体信用生命保険もそれぞれが加入し、住宅ローン控除も適用されます。
返済期間は、親子それぞれの年齢に対して設定するため、子の返済期間は35年間でも、親の返済期間は20年や25年など、短くなるケースが多くなります。
「親子リレーローン」は年齢による返済期間の制限を受けない
一方の「親子リレーローン」は、親が主債務者となり、子が連帯債務者となってローンを組む方法です。将来的には返済を親から子へ引き継ぐことになり、最初は親の返済口座から返済がスタートします。いちばんのポイントは、返済期間が子の年齢によって決まることで、子が44歳以下であれば、35年返済が可能です(子が学生やフリーターなどの場合は、原則、借りられません)。
つまり、親が45歳以上の場合でも、年齢による返済期間の制限を受けずにすむため、希望の融資額を借りやすいということです(毎月の返済額を抑えることもできます)。
親と子の両者がその物件に住む必要がある
返済が子の返済口座へと変わるタイミングは金融機関によって異なります。団体信用生命保険の扱いも金融機関によりさまざまです。子だけが加入になる場合、親の死亡時には、 子どもが残りの債務の全額に対して支払い義務を負うことになります。
また、住宅ローンは契約者がその家に住むことが条件となっているため、親子リレーローンでも、親と子の両者が当該の物件に住む必要があります。さらにこの条件により、将来、子が別にマイホームを持ちたいと思っても、親子リレーローンを完済していないと、新たに住宅ローンは借りられないので注意してください。
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この記事を書いた人
CFP、一級ファイナンシャル・プランニング技能士
1958年名古屋生まれ、大学卒業後、約20年間旅行会社に勤務。出張先のロサンゼルスでファイナンシャルプランナー(FP)に出会い、その業務に感銘を受け、自らもFP事務所を開業。 その後12年間。どの組織にも属さない「独立系」FPとして、誰でも必要なお金のことを気軽に考えてもらうため「人生を旅に例え、お金とも気楽に付き合う」を信念に、日本で唯一の「人生の添乗員(R)」と名乗り、個別相談業務を行なうとともにセミナー講師として活動している。 また、賃貸不動産の経営もしており、不動産経営や投資の相談にも数多くのアドバイスやプランニングをしている。