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相続登記の義務化がスタート。知ってましたか? サクッとおさらい

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3人に2人がまだ知らない?

この4月1日から、不動産の相続登記の申請が義務化される。われわれ国民の多くにとって、重要かつ身近な制度変更だ。かつ、かなり以前から話題にはなっていたものだ。

ところが、昨年末に法務省が公表した調査結果によると、これについて「全く知らない」と答えた人が、調査対象中、約4割もいる。

なおかつ「聞いたことがあるがよく知らない」を合わせると7割近くになる。ざっと、3人中2人が内容を「知らない」でいるかたちだ。

もっとも、当該調査が実施されたのは、上記公表を大きくさかのぼって昨年8月となる。なので「知らない」の割合は、その後、幾分か減ってはいるだろう。

とりあえず、以下に数字を掲げておこう。

「法務省 相続登記の義務化・遺産分割等に関する認知度等調査」

結果公表:
2023年12月26日

調査対象:
本人、配偶者、または親が不動産を所有している20代以上の成人男女・14,100人

質問:
2024年4月から、不動産を相続した場合には相続登記の申請をすることが法律上の義務になることを知っていますか?

答え
全く知らない 41.2%
聞いたことがあるがよく知らない 26.4%
大体知っている 24.6%
詳しく知っている 7.7%

ところで、以下は面白い結果だが、この相続登記の義務化について、実は一番よく知っているのは年代別では20代だ。

対して、親からの相続がより身近な話題のはずの40代と50代で、逆=「全く知らない」「聞いたことがあるがよく知らない」を合わせた割合が高い。

数字は以下のとおりとなっている。

質問(再掲):
2024年4月から、不動産を相続した場合には相続登記の申請をすることが法律上の義務になることを知っていますか?

(以下は「詳しく知っている」「大体知っている」を合わせたパーセンテージ。これ以外の残りが「全く知らない」「聞いたことがあるがよく知らない」と答えている)

20代 39.1%(1位)
30代 32.0%
40代 25.2%(最下位)
50代 30.2%(最下位から2番目)
60代 34.8%
70代以上 35.8%

――以上を踏まえた上で、この記事ではいよいよ始まる当制度について、ざっとおさらいをしていこう。

1.相続登記とはそもそも何?

相続登記とは、亡くなった人が不動産(土地・建物)を所有していた場合に、これまでは任意で行われてきた相続人による登記上の名義変更手続きのことだ。より正確にいうと「相続による所有権の移転の登記」となる。これが24年4月1日から義務化されることになったのだ。

2.義務化の理由は?

「所有者不明土地問題」が最大の理由となる。これまで、相続登記が義務化されていなかったため、費用や手間などを理由にこれを行わない人が少なからず存在したのだ。だが、そのことで、登記を確認しても実際の所有者が判明しなかったり、判明しても所在が掴めなかったりする「所有者不明土地」が全国で増加、公共工事が進まないなど、深刻な問題があちこちで起こるようになった。

3.義務化の具体的な内容は?

不動産を相続し、自らが所有権を取得したことを知った人は、知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならない。また、遺産分割協議が行われた場合も、その成立によって、自らが相続人であり、なおかつ相続する財産の中に不動産が存在することを知ったならば、その日から3年以内に相続登記を申請しなければならない。これが制度の柱となる。なお、申請先は法務局。

4.義務に従わないとどうなる?

正当な理由がないのに、上記の申請をしなかった場合、10万円以下の過料の対象となる可能性がある。なお「正当な理由」とは、たとえば「相続人の数が大変多いため、戸籍関係書類等の収集やほかの相続人の把握などに時間がかかる場合」などが挙げられる。

5.遺産分割協議がまとまらず、相続登記を申請できない。どうする?

救済策がある。遺産分割協議がまとまらず、その間、相続登記の申請がしたくともできない場合、新たな制度となる「相続人申告登記」を行うことで、相続登記の申請義務を果たしたかたちとすることができる(過料の対象でなくなる)。後日、事態が解消したのち、正式な相続登記をすることで、相続した不動産の所有権を主張できることとなるわけだ。

6.24年4月1日より前に相続した不動産はこの制度には関係ない?

関係なくない。「関係アリ」だ。ぜひ注意したい。24年4月1日よりも前に相続した不動産であっても、相続登記されていないものは、今回の義務化の対象なのだ(所有者不明土地問題の解決という目標を思えば当然のことといえるだろう)。なお、この場合、今回の義務化施行日(24年4月1日)か、自身が不動産を相続したことを知った日のどちらか遅い方から3年以内に相続登記を申請しなければならないことになる。つまり、いずれにおいても「3年の猶予がある」ということだ。

以上、この4月から申請が義務化される「不動産の相続登記」について、主なポイントを簡単にまとめてみた。さらに詳しくは、以下のサイトが参考になるだろう。

法務省 備えて安心!令和6年4月1日から相続登記が義務化されます!
(わかりやすい簡潔なリーフレット)

政府広報オンライン なくそう、所有者不明土地! 所有者不明土地の解消に向けて、不動産に関するルールが大きく変わります!
(関連する他の制度なども把握できるわかりやすいページ)

法務省 所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し
(関係資料なども詳しく網羅した総合案内ページ)

さらに、冒頭に紹介した法務省による調査結果(23年12月公表分)については下記でご覧いただける。ちなみに、調査は22年にも行われており、その結果もここで見られる。

法務省 新制度の認知度調査結果

(文/賃貸幸せラボラトリー)

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賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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