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「ブダペスト・ワインフェスティバル」に行ってきた

ワイン好きは知ってて当然!? 世界一に輝いた貴腐ワイン、その名前に隠された秘密とは?

パップ英子パップ英子

2016/10/02

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出所: (C)FinoMagazin( http://www.finomagazin.com/ )

ハンガリーのトカイワインは、世界3大貴腐ワインのひとつ

食欲の秋、ワインの秋?ということで、前回お届けした『BUDAPEST BORFESTIVAL(ブダペスト・ワインフェスティバル)』のレポート、今回は後編となります。

ブダペスト・ワインフェスティバルが開催されたのは、この9月8日〜11日の4日間、開催場所は世界遺産の「ブダ王宮」。今年で25周年を迎えたこのフェスティバルでは、ハンガリー全土から選出された優良なワイナリーの銘醸ワインはもちろん、フランスやオーストリアなど、ほかのEU諸国のワインも楽しめます。

前回、トカイ地方の貴腐ワインは、フランスのソーテルヌ、ドイツのトロッケンベーレン・アウスレーゼと並んで世界3大貴腐ワインと讃えられることをお伝えしました。さらに、トカイワインにおいては、プットニョス(Puttonyos)というワイン用語があるところまでお話しましたよね。

今回はさらに、トカイの貴腐ワインについてより詳しくお伝えするとともに、“プットニョス”の意味についてもご紹介したいと思います。

ヨーロッパ最古のカフェとして知られる「ジェルボー」の美味しい苺タルトとともにいただいた、ロイヤル・トカイの白『Royal Tokaji Blue Label 5 puttonyos Aszu(ロイヤル トカイ ブルー ラベル 5 プットニョス アスー)』は前回ご紹介しましたね。

遅摘みの葡萄品種「トカイ・フルミント」でつくられたこの貴腐ワインは、豊かな香りと甘く上品な味わいです。極上な甘さのこのワイン名には「5puttonyos Aszu(5プットニョス・アスー)」と記載されていましたが、3つ目に試飲したワインのラベルにも、「puttonyos Aszu」の文字がありました。

“世界一”に輝いた貴腐ワイン『トカイ・クラシック』は、まさに至福の甘さ


出所: (C)FinoMagazin( http://www.finomagazin.com/ )

筆者が3つ目に立ち寄ったのは、「TOKAJ CLASSIC(トカイ・クラシック)ワイナリー」のブース。このワイナリー名を聞いてピンと来る方がいましたら、日頃からワイン雑誌や専門誌などを愛読されている方ではないでしょうか?

ワイン業界において、最も権威あるワイン専門誌といえば、アメリカで発行されている「Wine Spectator(ワイン・スペクテーター)」という名の雑誌です。

その「ワインスペクテーター」には、毎年恒例の大人気企画があります。それは、高名なワイン専門家達が世界中のワインのなかから、ベスト100を選出する『ワイン年間ランキング』の発表です。

このランキングは本当に評価が厳しいことで知られるため、同企画で100位内にワインが選出されるということは、その製造元(ワイナリーやカンパニー)の方々にすれば、このうえなく名誉なことなのですね。


出所: (C)FinoMagazin( http://www.finomagazin.com/ )

そんな、ワイン業界に多大な影響を与える同誌の2004年の年間ランキングで、第1位に輝いたのが、このトカイ・クラシックの『The Tokaj Classic Aszú 6 Puttonyos 2000(ザ・トカイ・クラシック・アスー・6プットニョス)』。まさに、ワインのワールド・チャンピオンに輝いたワインです!

さらにこのワインは、同年開催された国際ワイン&スピリッツ大会(International Wine and Spirit Competition)でも、ゴールドメダルを獲得するなど、世界タイトルをふたつも制覇したのです。そんな“王者のワイン”がいま、まさに目の前に!

世界を制した王者のワインを試飲する瞬間、それはワイン愛好家にとってはこのうえなく至福のひとときではないでしょうか。

マイグラスに『トカイ・クラシック』が注がれると、先ほどの『ロイヤル・トカイ』よりも深みのある琥珀色でなんとも美しく、まさに樽で長期熟成されたことがわかる、素晴らしい色合いでした。

その名前に隠された秘密とは?


出所: (C)FinoMagazin( http://www.finomagazin.com/ )


トカイ・ヘジャリア地方でつくられた、シロップのようにとても甘い貴腐ワイン『The Tokaj Classic Aszú 6 Puttonyos 2000』。

まず、このワイン名に記載される「Aszú(アスー)」の意味からご説明しますね。このアスーという言葉はもともと、ハンガリー語で『しなびた葡萄』ですが、ワイン用語では『甘口の貴腐ワイン』を意味します。つまり、“アスー”の表記がある白ワインは、発酵途中のベースワインに貴腐葡萄を漬け込んで造られた貴腐ワインを意味しています。

同じくワイン名に記載された、「Puttonyos(プットニョス)」について詳しくご説明しますね。

この「プットニョス」という用語はもともと、「貴腐葡萄を入れた桶(または樽)」のこと。そして、その用語の前にある数字の6は、トカイ・アスーのなかでかなり糖度が高いことを意味しています。

プットニョスの度数が高ければ高いほど糖度が高くて甘く、濃厚かつ力強い味わいになるのが、トカイ産貴腐ワインの特徴です。

代々、トカイ・ヘジャリア地方では、「プットニョス」という背負い桶がワイン造りに使用されてきました。そんなプットニョスに入る貴腐葡萄の量は約25kg。その1杯分を1単位として数えるのがトカイならではの風習です。

たとえば、この「6プットニョス」であれば、桶6杯分もの貴腐葡萄を、発酵途中のベースワインに入れて漬け込んだという意味になります。また、『6』プットニョスもあると、かなりランクが高く高級な貴腐ワインとされているのです。

そんな6プットニョス以上に当たる、『7~8』プットニョス相当の貴腐葡萄を使用し、5年以上かけて熟成させた貴腐ワインがあります。そのワインの名は「トカイ・アスー・エッセンシア」。それはきわめて甘い貴腐ワインで、ハンガリーでも最高峰と謳われるワインです。

トカイ・アスー・エッセンシアは、あのルイ14世をも魅了したため、『ワインの王』と讃えられ、フランス、ドイツの貴腐ワインと並んで世界三大貴腐ワインのひとつとされています。

ハンガリーのワイン・フェスティバルで、『ワインの女王』をテイスティング


出所: (C)FinoMagazin( http://www.finomagazin.com/ )

筆者はこのフェスティバルで計8本のワインを試飲することができました。
すべてのワインについて述べたいところですが、どのワインも内容が濃いので、説明するのに半年くらいかかってしまいそうです。

そこで最後は、フランスのボルドーワインのブースもあったので、そちらで試飲した素晴らしいワインを少しご紹介しますね。

ボルドーワインと聞くと、ワイン好きな方でしたら「5大シャトー」や「グラン・ヴァン」といった用語をご存知の方も多いのではないでしょうか。写真に映っているのは、フランスの最高級ボルドーワインを販売している会社のブースでした。

ここでなんと、フランスワインの格付けで第一級に該当し、世界で最もエレガントかつ女性的なワインといわれ、「ワインの女王」と讃えられる“シャトー・マルゴー”を試飲することができたのです(写真の一番右に映るのが、ワインの女王マルゴーです)。


出所: (C)FinoMagazin( http://www.finomagazin.com/ )

ブダペスト・ワインフェスティバルの魅力は、フランスのボルドーで第一級に格付けされ、また、世界で最も価値が高いとされる赤ワイン(シャトー・マルゴー)ですら、日本円にして1000円程度でテイスティングできてしまうことなんです!

あるトカイワイナリーのブースでいただいた、ハンガリーの生ハムとともに、ドナウ川の先にある国会議事堂を眺めながら、優雅にマルゴーをテイスティングしてみました。

この国を代表する建築物である国会議事堂と、ワインの女王の組み合わせは何とも感慨深いものがありましたよ。

この日は午後4時頃から、ハンガリーの民族舞踊や音楽が王宮正面のステージで披露され、夜10時を迎えるまで、大勢の来場客で多いに盛り上がっていました。

ブダペストのワインフェスティバル、最後は少し駆け足なレポートとなってしまいましたが、いかがでしたか?

食欲の秋、ワインの秋。皆様もこの秋、美味しい食事とともに素敵なワインを味わってみてはいかがでしょうか?

以上、ハンガリーのブダペストより、世界遺産の王宮が舞台となった、ワイン・フェスティバルの様子をお届けしました。

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この記事を書いた人

“FinoMagazin”(フィノマガジン)主宰(編集長)

ハンガリー在住コラムニスト。 食品会社でワインインポーター業務に従事した後、都内の広告代理店に転職。コピーライター、ディレクターとして勤務。百貨店やデパート、航空会社、ベビー・ブランド等のクリエイティブ広告で、インテリア製品のコピーライティング、ディレクション等を数多く手がける。 2013年、夫の国ハンガリーに移住後も育児に奮闘しながら執筆業に邁進。日本の雑誌(出版社)でハンガリー紹介記事(取材・撮影・文)を担当。また、自身とハンガリー人クリエイターとで運営するブダペスト発ウェブメディア“FinoMagazin”でもインテリアを含めたライフスタイル全般コラムを連載。美容メディアにてビューティ・コラム連載、その他、企業のWEBサイトや企画書制作、日本のTV局、広告代理店、メーカーからの依頼でハンガリー現地ロケ・コーディネート等、多岐に渡る業務をこなしている。 自身主宰のハンガリー情報WEBメディア “フィノマガジン” http://www.finomagazin.com/

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