シリーズ「建築業界の裏側」　その１

ウチコミ！タイムズ編集部

2013/06/11

賃貸経営

不動産市況

しばらく不動産業界の話が続いていましたので、今回から建築業界の色んなお話しをしていきたいと思います。今回は、大枠の業界のお話しからいきましょう。

■そもそもどんな業界なのか？

～建築業という業種は、それは古くからあります。１０００年以上昔の「奈良の法隆寺」だって職人さんが建てたわけですし業界の歴史は５本の指に入るぐらい古いです。当然、古～い体質を隠し持っているとも言えるわけです。

～４０年ほど前までは、大工さんを含め職人さん達の世界は「徒弟制度」という、技術を持った「親方」(棟梁)に入門する様な形で「修行」「経験」「技術継承」を受けて、１０年前後でやっと一人前になり晴れて「独立」「のれん分け」の様なシステムになっていました。これで、技術や経験等が継承されていたわけです。ですから、「徒弟制度」自体が崩壊してきている今日でも、その流れは残っている感じがしますね。

簡単に言えば、「厳しい上下関係」でしょうか。業界全体に、暗黙のうちに漂っています。ただ、昔の上下関係に比べて今日の上下関係は「若干、屈折している」感じがいなめません。例えてみれば、

～昔の上下関係は

・親方に入門するという事は、衣食をも共にしてその費用も親方持ちでただ、当初何年かは給料もろくにもらえない。(奉公の形態)

・一人前に近づいてくると給料ももらえる様になり、ある程度の仕事も任される様になる。(ただ、独立できる程多くはもらえない)

・親方が完全に認めてくれて、晴れて独立が出来る様になる。つまり、親方になる事が許される。

※この頃の「親方」は、本当に職人の中のトップの技術と経験を持ち誰にでも簡単になれるものではなく、「花形」でもありました。もちろん、収入もかなり良かったそうです。

～今の上下関係は

・大きな会社と下請け会社や雇われている職人などの関係になると発注元と請負という関係になり、関係自体はお金の関係だけです。発注元は少しでも利益を上げようと下請け会社や職人さんを圧迫するだけ。工事の期間や支払金で「無理難題を吹っ掛ける」こんな形が殆どです。

・その会社の中でも上司と部下、先輩と後輩の関係がありますが殆どの会社の中で、会社同士の関係の延長にある様な嫌がらせやいじめの問題が普通に、当たり前に存在しています。もちろん、職人さんの世界の中でもいじめに近い関係はいくらでもあります。

※最近は、「徒弟制度」の崩壊と業界の合理化、再編などの影響で本来の主役だったはずの「棟梁」や「親方」が激減してしまいました。もちろん、未だに「船大工」や「宮大工」など頂点に君臨する方はのこっていますが、極少数です。会社組織や企業という形の中でも、そういった逆風に対抗して頑張っている所もありますが、極少数です。

■それが、どういう影響を及ぼすのか？

～端的にお話ししてしまえば、「つけは全て消費者に回される」という事です。職人さんの「確かな技術」なんて今時笑える～なんて思われる方が、沢山いるかもしれません。確かに、木材加工のコンピューター制御のプレカット技術は、宮大工の加工技術以上の性能を持っている事が実証されていたり、断熱性能のとても高い発砲技術であったり、キッチンやお風呂、トイレなどの住宅設備の進化であったりといろいろな技術が、製品が作られています。でも、チョット考えてください。

製品や材料としての優秀さは分かりましたけど、「建物」は全て大工さん職人さんがキチンとした技術や経験で確実に施工して、初めて製品になるのでは？建物の基礎には鉄筋コンクリートが使われていますが、コンクリート自体に「グレード」がある事を理解している方はいます？

その「グレード」の差が１㎥あたりほんの何十円しか違わないのに、性能も仕上がりも格段に違う事や、そのグレードの選択も職人さん任せ…。

ご存知でした？

他にも、木材だってそうです。一見同じように見えますが、産地や樹種、等級などなど…。柱材１本３０００円の物もあれば、１５０００円の物もある。

素人では、見ただけでは分からない…。金具や金物だってそうです。釘などに至っては、１本の値段は１円にもならないものが多いのですが屋根用、柱用床用、それ以外にもそれぞれ専用の物があり、形状も材質も違ったりします。建物１軒を建築するのに、こんなに細かい部分が沢山あって業界以外の方は、その殆どを知らない訳です。
あなたのお宅は大丈夫ですか？

こんなにたくさんの項目で、手が抜かれていたとしたら…。「ゾッとしませんか」不動産業界の闇も怖いですが、建築業界の闇も恐ろしいですね。

次回も続きを書いていきます。

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