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「売る」ためだけでなく「貸す」ことにも——「選ばれる」ためのホームステージング(3/3ページ)

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賃貸経営とステージング

今や自ら100円ショップや、家具や生活雑貨を販売する店舗などで装飾小物を購入し、ステージングを施すケースも増えている。

そして、ステージングも多様である。入居希望者を選り好まないように、最低限の机と椅子、照明だけを設置したステージングもあれば、オーナーの好みが生かされたステージングや、時には「え?」と驚くような色や柄の壁紙が貼ってある物件もある。「こういう方に入居してもらいたい」というオーナーの希望で、「少女風」「ロック風」「カントリー風」などさまざまだ。

ステージングの正解は一つではないようだ。多くの人が好むような物件を作ることは、確率から計算すると正当だが、賃貸物件の場合は「オンリーワン」の物件を作って、その“ワン”に提供できればよい、とも言えよう。

今回の取材で、とても記憶に残る物件があった。

古民家—築50年以上経った築古物件のもでるーむⓇを見せてもらった。千葉さんが紹介してくれたのは、ぴかぴかに直した場面だけでなく、色を塗り直しただだけの天井部だった。


色を塗りなおしただだけの天井部

「この柄がとてもかわいくて」(千葉さん)

黄色に塗られたジプトーン素材の天井は、元のポテンシャル以上の輝きを放っていた。

千葉さんは、色彩感覚やコーディネート力が突出しているが、元からある建物の個性を生かし、魅力を引き出す“審美眼”と“職人技”がある。実施例を見ても、ターゲット層にあった家づくりのための“引き出しの多さ”を感じずにいられない。


民泊を意識した和室。元あった部材を生かし、ペンキの塗り替え、畳や障子の貼り替えでモダンに仕立てている

「リフォームのデザインは満点を目指さないことが大事です。あれも、これもと欲を出すと、いくら予算があっても足りません。借主の心を掴む『ちょうどいい加減』を操るのがミソです。一日でも早く成約をして、オーナー様にも入居者様にも喜ばれることがゴールです」(千葉さん)

完璧なリフォームをすることは、大家さんのコストパフォーマンスと合わないと言う。お金をかけるところ、かけないところを明確にすることが重要だ。

「心が喜ぶ部屋づくり」をコンセプトに掲げ、全身からそのオーラを発している千葉さんだが、経営目線も忘れてはいない。

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この記事を書いた人

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