マンション投資でのローンは、お金を借りるだけではなく、時間も買える?
斎藤 岳志
2021/03/24
イメージ/©photo5963・123RF
マンション投資は住宅ローンよりもリスクは低い
当然のことですが、マンション投資をはじめるにあたって真っ先に必要になるものはお金です。先立つものがなければ動けません。とはいえ、マンション投資では、「すべてをキャッシュで」という人は多くはいないでしょう。やはり、ローンを組んでというのが一般的です。
マイホームの住宅ローンは、30年、35年の間、自分が働き、その収入から返済します。その間には経済状況などによって収入が減ったり、転職、場合によっては会社が倒産ということがあるかもしれません。いわば、人生におけるさまざまなリスクがそのまま住宅ローンが払えなくリスクにつながります。
しかし、家賃収入を得るためのマンションの区分所有のローンは、住宅ローンに比べリスクが低いと私は考えています。なぜなら、部屋を借りてくれる入居者がいれば、その人がローンを支払ってくれるからです。さらに資産を増やすための時間を、買うことができるからにほかなりません。
具体的にお話をしましょう。
仮に毎年100万円預貯金できる人が、キャッシュで2000万円の区分マンションを買うとしたら何年かかるか。預貯金の利息を考慮しなければ20年になります。
一方、同様に2000万円の区分マンションをローンで購入したとしたら――。
■区分所有マンション
価格/2000万円
家賃/9万円
管理費・修繕積立金/1万2000円
■資金計画
頭金/10万円
借入金/1990万円
金利/2%
返済期間/35年
1か月の返済額/6万5921円
管理費・修繕積立金/1万2000円
1カ月あたりの手取り/1万2079円
〔9万円(家賃)-1万2000円(管理費・修繕積立金)-6万5921円(毎月の返済額)〕
年間収入では14万4948円になり、ここから固定資産税(約4万円)を差し引くと、1年間に手元に残る金額は10万円あまりになります。つまり、純粋な投資資金は頭金の10万円になるので、利回りは100%ということになるわけです(諸経費などは考慮していません)。
この物件のローンが終わり、完全に自分のものになる期間はどのくらいかかるかを考えます。
頭金の10万円以外は一切使わず、入ってきた家賃収入の手残り約10万円だけを繰り上げ返済に使ったとしたら、35年のローンはおよそ30年で完済することができます。
1部屋より2部屋、3部屋を買うメリットとは
しかし、家賃収入を30年間すべてローン返済に使ってしまっては、大家業としてなんのメリットもありません。
そこで毎年100万円預貯金できる人が、その100万円と毎年の家賃収入の10万円を足した110万円を毎年1回、繰り上げ返済したとすると12年でローンを完済することができます。
そして、返済が終われば管理費・修繕積立金、固定資産税を差し引いた家賃収入のおよそ90万円はすべて収入になります。
さらに話をすすめて、この物件と同じ価格、同じ条件で、もう1部屋を購入したとしましょう。
そのうえで同様に毎年貯金する100万円と、ローンを完済している物件の家賃収入90万円を繰り上げ返済にあてると、7年半で完済。3部屋目になると、「110万円+90万円、90万円」の繰り上げ返済になり、5年半でローンを完済することできるのです。
もちろん、これはあくまでも机上の計算です。実際にもしやったとしても、3つの物件のローン返済が終わるまでは、24年かかります。
また、入居者がいない空室になったり、入居者の入れ替わりなどによるメンテナンスにかかる費用なども考えなくてはなりません。さらに今のコロナ禍のような社会状況や経済状況の変化もあるでしょう。ですから、これがそのまま当てはまるというわけではありません、
しかしながら、一般の人が日本で資産運用で融資を活用できるものは不動産投資くらいしかありません。そして、融資を活用した不動産投資は、運用期間を短縮しながら資産を増やすことが可能な投資方法でもあることが分かるのではないでしょうか。
ただし、過度な借入は自分でコントロールができなくなる恐れもあります。まずは自分の身の丈を知り、それに合わせた投資を行うことが絶対に必要で、このことは肝に銘じてください。
この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
FPオフィス ケセラセラ横浜代表 百貨店在職中にファイナンシャル・プランナーの資格を取得。税理士事務所、経営コンサルティング会社などを経て、FPオフィス ケセラセラ横浜を開設、代表を務める。 マイホーム購入・売却相談のほか、不動産投資のサポートも行なっている。株式投資やFXなど一通りの投資を実践した後、2007年より不動産投資をスタート。現在は、自らの資産運用はほとんど中古マンション投資に絞って取り組んでいる。