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不動産の「売り仲介業者」「買い仲介業者」とは何か?

大友健右大友健右

2016/09/13

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街で見かける不動産会社の立場は「2つ」に分かれる

前回の続きです。では、彼らの仕事ぶりをちょっと覗いてみましょう。くれぐれも、一生懸命になって働いているその他大勢の人をバカにしているわけではないことを断っておきますね。

まず、どんな町でもよく見かける不動産会社は、立場としては、「売り仲介業者」と「買い仲介業者」に分かれます。

これは、オモテの看板で「売り専門です!」とか「買い専門です!」と謳っているわけではありません。あくまで「ポジショニング」と考えてください。家を売りたいというお客さんがきたら売り仲介業者のポジショニングに立ち、家を買いたいというお客さんがきたら買い仲介業者になるといった按配です。

売り仲介業者の仕事は「ないに等しい」!?

さて、「駅前商店街の不動産屋の優雅なお爺ちゃん」は、このうちどのポジションに立っているのでしょうか。答えは「売り側」です。「家を売りたい」というお客さん、とくに業者売主ではなく個人売主を相手に不動産仲介業を営む「売り仲介業者」なのです。

それから、賃貸でも貸す物件を多くもっている業者です。たくさんの貸主と契約している業者ですね。売買も賃貸も基本構造は同じですので、ここでは売買として話を進めます。

売り仲介業者で“優雅なお爺ちゃん”タイプの人は次のように仕事を進めます。

家を売りたいという人が現れる(建売り業者もいるが個人売主が多い)
売りたい家を不動産流通機構(レインズ)に登録し、広告のもととなる販売図面を販売図面作成会社に登録する
基本は、たったこれだけの仕事です。このうち、登録関係は実際には若い社員に「やっといてね」と頼めば終わりですから、仕事はないに等しいと言えるのかもしれません。

とてもいい商売ですね。羨ましいとは思いませんか? あとは、家を買いたいという人が買い仲介業者に現れて、登録した物件とその販売図面を販売図面作成会社から買い仲介業者が入手して、勝手に販売してくれます。それで契約が成立すれば、売り仲介業者として仲介手数料が入ってくるのです。

まさに、不動産流通機構と販売図面作成会社に登録するだけで、「濡れ手で粟」というわけです。どんな不動産会社でも多くの物件を扱っていますから、売り仲介業者のポジションを確保できれば、あとは買い仲介業者任せで放っておいても儲かるようにできているのです。

一方の買い仲介業者は、必死になって「家を買いたい」というお客さんを探します。たくさんの新聞の折込みチラシの出稿を行い、家を買いたいというお客さんを探し、現場で看板やノボリを立て、何度も見込み客のところに足を運ぶのです。

売り仲介業者の立場を確保した町の不動産屋のお爺ちゃんとは、雲泥の差。買い仲介業者と比べると、とってもラクな商売なのです。

本連載は、2012年9月10日刊行の書籍『不動産屋は笑顔のウラで何を考えているのか?』からの抜粋です。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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この記事を書いた人

株式会社ウチコミ 代表取締役 株式会社総研ホールディングス 代表取締役 株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役 1972年生まれ。大手マンション会社で営業手法のノウハウを学んだのち、大手不動産建設会社に転職。東京エリアにおける統括部門長として多くの不動産関連会社と取引、不動産流通のオモテとウラを深く知る。 現在、株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役として、住宅リフォームを中心に事業を展開。また、株式会社ウチコミ 代表取締役として、賃貸情報サイト「ウチコミ!」を運営。入居の際の初期費用を削減できることから消費者の支持を集める。テレビ・新聞・雑誌などメディア出演も多数。

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