土地建物の区分方法

土地建物購入

中古の賃貸不動産を購入する場合、売買契約書の売買代金には、土地と建物一括での金額しか記載されていないことがよくあります。 減価償却の計算をするためには、建物金額がわからないと計算できないため、売買金額を土地と建物に区分する必要があります。

どのように区分すればよいのでしょうか? 税務上は、次の順番で区分することになっています。

(1)売買契約書上に消費税の金額がある場合

消費税は建物のみにしか課税されません。したがって契約書に記載されている消費税は建物に係る消費税といえます。 その消費税から建物金額を割り出していきます。

(例)
6,000万円(うち消費税150万円)
150万円÷0.05(消費税5%)=3,000万円
3,000万円+150万円=3,150万円(建物価額)
6,000万円-3,150万円=3,850万円(土地価額)

(2)売買契約書上に消費税の金額がない場合

時価の割合によって区分することになります。 建物金額を直接算出する直接法、土地金額を算出して全体の金額から差し引いて建物金額を計算する差引法、ある方法で算出した土地と建物の価額の比率で売買金額を分ける按分法があります。

平成13年12月14日福岡地裁の判決では、以下と判断しています。

  • 直接法は、売主の利益が考慮されず過小に評価されるおそれがある
  • 差引法は、土地の価額に売主の利益や販売手数料が反映されなければ、建物価額にこれらが転嫁されることになり、過大に評価されるおそれがある。
    公示価額から土地の評価額を算出しても、一応の合理性を有するが、いわゆる売り進みや買い進みといった個別の取引事情はまで反映することはできない点で限界がある。
  • 按分法は、土地と建物の双方に利益が反映されることになり、土地と建物を一体として販売する取引の実態に合致し、最も合理的と考えられる。

したがって、上記の按分法で計算するべきと考えます。 どのように土地建物の金額を出すかは下記のような方法があります。

  1. 土地と建物の金額を鑑定評価してもらう方法
  2. 土地と建物の見込みの時価を算出して按分する方法 一括購入価額 × (建物の見込時価 ÷ 土地の見込み時価+建物の見込み時価) 土地の見込み時価は、公示価額や近隣土地の事例などから算出し、建物の見込み時価は、「構造別建物建築費表」(建築統計月報)から建築費を算出し、そこから減価償却費を控除して算出するなどが考えられます。
  3. 土地と建物の固定資産税評価額の比で按分する方法 一括購入価額 × (建物の固定資産税評価額 ÷ 土地の固定資産税評価額+建物の固定資産税評価額)

先の裁判でも「同一の公的機関が同一時期に合理的な評価基準で評価した固定資産税評価額による土地及建物の価額比で代金総額を按分する方法は合理的である」としていますので、固定資産税評価額で按分することが実務上多いです。

売買契約書に土地、建物金額と明記されていれば、基本的にその金額が優先されるのです。 ただし、その金額が時価と著しくかけ離れているような場合には否認される危険があるため注意してください。 消費税の記載がない場合であっても、売主さんに交渉して、契約書上に建物金額を明記してもらうようにするのがよいでしょう。

この記事のコラムニスト

渡邊浩滋
渡邊浩滋(司法書士・税理士)
渡邊浩滋総合事務所。大家さん専門税理士・司法書士。渡邊浩滋総合事務所代表。「行動する大家さんの会(AOA)」発起人。
大学在学中に司法書士試験に合格。大学卒業後総合商社に入社。法務部として契約管理、担保管理、債権回収などを担当。退職後、税理士試験に合格。実家のアパート経営(アパート5棟、全86室)が危機的状況であることが発覚し、経営を立て直すために自ら経営を引き継ぎ、危機的状況から脱出。資産税専門の税理士法人に勤務後、2011年12月独立開業。税理士の視点と大家の視点からアパート経営を支援するために活動中。従来のような確定申告書だけ作成する税理士ではなく、経営・財政・税金の観点から提案をする不動産専門の税理士・司法書士です。
[著書]「税理士が教える節税Q&A」(TAC出版刊)、「大家さんのための超簡単!青色申告」(クリエイティブ ワークステーション)他。
[担当]不動産登記
渡邊浩滋は個人間直接売買において決済完了後に登記手続きを行います。