「内見」をしないで賃貸物件を決めるリスク

2026/02/04
内見しない人は結構いる
賃貸住宅を探し、選ぶ際に「内見」をしないという人は、実は結構いる。
部屋そのもの、さらには建物、周辺の様子など、実際に見ずに年間何十万円~百万円以上もの家賃を払いながら暮らす場所を決めてしまうのだ。
「そんな勇気ある人いるの?」
―――との感想もよく聞かれるが、現場(管理会社や仲介会社)の実感値によれば、各業者によって差はあるものの、そんな事例が1年を通して3割くらいにのぼることもあるそうだ。
この記事では、そんな「内見をしないで物件を決める人・決めたい人」に向けて、その際に心得ておきたいリスクを紹介していくことにしよう。
以下は、「内見ナシ」での物件選びを過去に経験した人や、管理会社等のスタッフの声からひろったものだ。
ニオイは、写真からは判らない
内見をしないで物件を決める人のほとんどが、現地の様子を知るため、一番の手がかりとするのが広告に載っている物件写真だ。
ところが、決定的なこととして、写真からは「ニオイ」が判らない。
その反面、部屋の中や建物の内部にただようニオイというのは、実際にそこを訪れた場合、その物件を選ぶかどうかの重要な判断材料となることが少なくないものだ。
「こんなクサい部屋(建物)には住めない……」
現地に行けばすぐに判ることが、内見ナシだとそうはいかないということだ。
なお、物件が臭う場合の理由にはいろいろあるが、多くの事例を占める2大原因を挙げると以下のとおりとなる。
- 部屋がクサい
……前の入居者がこびり付かせた、キッチン、換気扇内部などのニオイ - 建物がクサい
……何らかの問題によって排水口から上がってきている下水管のニオイ
騒音はある程度地図などから予測できるが……
内見ナシで物件を選んだ、ある入居者の声だ。
「建物が線路のすぐ横でとてもうるさく、1年も経たずに退去しました……」
そのうえで、この入居者が見た物件広告には「建物は線路の横です」とはもちろん書かれていなかった。それを示す写真も、わざわざ載せられてなどいなかった。
なので、当人としては、引っ越し当日まで、物件が線路のすぐ脇にあるとの認識は無かったという。
だが、決定的なヒントはあったのだ。地図だ。
広告からリンクの張られた現地の地図を見れば、その物件が鉄道線路に接していて「うるさい」であろうことは、一目瞭然だった。
内見をせずに賃貸物件を選ぶのならば、「地図を見ない」ことは絶対に避けたい。
建物の周囲がどんな状況か、どんなものがそばにあるのか、地図や、さらには「ストリートビュー」なども開き、目を皿のようにしてチェックしよう。
たとえば、線路のほかには、
車や人通りの多い道路、工場、流通施設、スーパーやホームセンターなどの商品搬入口や駐車場、客の声が外に響きやすい店舗、夜の店が多い雑居ビル……
それでも、肉眼で現地を見ること、耳で聴くことの確かさにはやはり敵わない。自らの足を労せず済ます分、騒音源を発見しきれないのは覚悟の上だ。
(現地へ行っても気付けないことはもちろんある。たとえば、普段は車の出入りのうるさい施設がその日は休みだった、など)
写真のイメージと違うぞ……!
さきほども述べたとおり、内見をしない人は、そのほとんどが広告に載っている写真を物件選びの頼りとする。
だが、そこにはこんな落とし穴があるかもしれない(もっと言えばよくある)。覚悟しておこう。
- 広角レンズで撮られた画像が、実際よりも部屋を広く見せている
- 暗い画像が補正され、部屋が明るく見えている
- 撮影は新築時に行われたもの。汚れや劣化含め、いまは様子がかなり違っている
- 入居希望者に見せたくない部分は写っていない
引っ越しの際に、搬入、設置でトラブル!
しっかり内見していても、注意が足りないと起こるトラブルだ。ましてや、内見ナシであればさらに起こりやすくなる。
「家具等が大きすぎ、部屋に搬入出来ない」
「(コンセントの位置など色々な理由から)置きたい場所に家具等を置けない」
―――など。
サイズの大きな家具や家電を持っていたり、置く位置が限定されるそれらがあったりする場合、内見の際に、設置場所の寸法を測るなどの確認を忘れると、あとで困ったことになりやすい。
そのうえで「内見ナシ」となれば、リスクはさらに高まるということだ。
ほかの部屋の様子や、物件全体の状況が判りにくい
管理が悪く、共用部分が汚かったり、身勝手な入居者がいて、他の住人の生活環境を悪化させていたり……
内見をしないと、その物件が「荒れた物件」であることにはほぼ気付けない。これも、覚悟しておきたいことのひとつだ。
- ゴミが散らばるエントランスや駐輪場……
- 回収されない違反ゴミが置かれたままのゴミスペース……
- ベランダや玄関の様子が明らかに異常な「汚部屋」らしき部屋……
オーナー(大家)や管理会社が、これらをわざわざ写真に撮って広告に載せるはずなどないのだ。
周辺環境の良し悪しも判りにくい
ほかの部屋の様子や、物件全体の状況もそうだが、建物を囲む周りの雰囲気を確かめにくいのも、内見ナシで物件を決めるリスクのひとつだ。
その中には、さきほどふれた「騒音源」ももちろんあるが、女性は特に治安面に注意したい。
内見をしないのならば、物件の周りがどんな状態なのか、駅からの道のりはどうなのか、地図やストリートビュー、あるいはインターネット上の発信などもしっかりとチェックし、調べておくことが肝心だ。
もちろん、問合せ先である不動産会社(管理会社、仲介会社)へのヒアリングも忘れずに。
内見をしない、出来ない理由
以上、内見をしないで賃貸物件を決めるリスクについて、そのいくつかを挙げてみた。
ちなみに、いまどきは現地で内見をする・しないのほかに、選択肢として「ライブビデオ内見」や「オンライン内見」と呼ばれる方法が用意されている場合もある。
不動産会社のスタッフが物件まで出向き、「現場中継」してくれるというものだ。入居希望者は自宅などでインターネットを通じ、映像を見ながら、現地とやりとりができる。
そのうえで、こうした方法を選択する場合でも、この記事で示した内容は多分役に立つことだろう。
ところで冒頭、内見をしないで賃貸物件を探す人について、「そんな勇気ある人いるの?」―――との、呆れた(?)感想も聞かれる旨を記した。
そこで、そういう人の名誉のため、最後に付け加えておこう。
内見は、したくても出来ないケースも結構あるものだ。
たとえば、転居先が遠くの街で、しかも部屋を探し歩く時間がとれない人。大学の新入生や、新入社員はその典型といえるだろう。
あるいは、内見自体が不可能なケースもある。
退去予定の入居者がまだ住んでいたり、建物が新築、あるいはリフォームの最中で、工事が終わっていなかったりなど。
もっとも、後者の場合、建物の外まわりや周辺環境は確認できる。可能であるのにそれらをしないでいるのはもちろんおすすめしない。
ちなみに、内見をせずに賃貸物件を契約した経験がある人に、理由を問うと、上記のほかには、
「よい物件なので誰かに取られないうちに先に押さえたかった」
も、結構ある。
気持ちは大いに分かる。だが、ひとつ知っておくべきことがある。それは、さきほど写真のところでもふれた。
賃貸・売買を問わず、不動産というものは、広告上、可能な限りその物件が「よい物件」に見えるように、さらには、悪い部分が見えないように、広告主側による必死の努力がされているということだ。
一応、心しておこう。
(文/賃貸幸せラボラトリー)
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この記事を書いた人
編集者・ライター
賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室






















