地震保険、保険料改定は2021年1月か 損をしない賢い見直し4つのポイント
平野 敦之
2020/02/19
イメージ/123RF
地震保険は2015年9月30日の改定の届出で3段階に分けて改定が行われることが決まりました。東日本大震災を受けてのことですが。1回目(2017年1月)と2回目(2019年1月)の改定はすでに終わりました。最後の3段階3回目の改定内容が残っている状況です。
地震保険の改定の経緯とこれまでの改定
阪神淡路大震災が発生して以降、全国的に大きな地震災害が発生しており、地震保険も何度か改正されてきました。特に東日本大震災の後は2014年に一度改定を行ったものの、震源モデル等の見直しをした結果、さらに見直しが必要な状況になりました。
2015年10月に火災保険の改定も実施され、地震保険でも大幅な改定が必要なことが見込まれたため2015年9月30日の届出によって3段階に分けるかたちで地震保険の改定をすることになったのです。それぞれ実施の改定幅と主な改定内容は次のとおりです。
・2017年1月(3段階1回目)
全国平均+5.1%料率改定、地震保険の支払い基準の見直し(3段階→4段階)など
・2019年1月
全国平均で+3.8%料率改定、長期係数の見直しなど
・2021年1月(実施時期は明確になっていませんが、2021年1月が見込まれています)
全国平均で+5.1%料率改定、長期係数の見直しなど
この改定は東日本大震災以降に決まったことではありますが、3段階に分けることは2015年9月の届出で出されたものですから、熊本地震の前に決まったことであるということを覚えておいてください。
全国平均では値上げとなるものの、一部の地域や構造では値下げになっていることも付け加えておきます。
地震保険の3回目の改定内容と改定率
それでは地震保険の3回目の改定内容や改定率についてみていきましょう。主な改定内容は以下の2つです。
・地震保険の基本料率を全国平均で+5.1%引上げ
・地震保険の長期契約の係数(長期係数)の見直し
改定を3回に分けることが決まった段階での通算での引上げ幅は+19.0%を見込んでいましたが、3回目が+5.1%となったことで通算の引上げ幅は-14.7%に縮小しています。これは耐震性の高い住宅が普及した影響などが反映されたものです。
また前回の改定に続いて長期係数も改定されることが決まりました。値上げに対処する方法として長期契約の一括払を使うことがありますが、長期契約をしている人は実際の改定幅だけでなく、長期係数が改定される(長期契約することによる割引率が悪くなる)影響も考える必要があります。
全高平均で+5.1%となりますが、最大の引上げ及び引下げ幅などは以下のようになります。
地震保険改定の構造別の最大引上げ率・引き下げ率
改正前と後の地震保険の長期係数
長期係数というのは、地震保険の長期契約をするときの割引率と考えてください。1年間の地震保険料×長期係数とイメージするといいでしょう。
5年契約ならこれまでは1年間の保険料×4.6だったのが、改定後は×4.65になるので値上げとなるのです。実際には前回改定時にも4.45→4.60に変わっていますので、この数年で負担が大きく増えているのが分かります。
改定が続いているのは火災保険も同じ
地震保険は火災保険に付帯して契約するものですから、火災保険と地震保険は一体で考えなくてはなりません。2015年10月に大手損保を中心に火災保険は改定されましたが、さらに次の改定も見込まれています。
改定の主な理由は自然災害や水漏れ事故による保険金の支払い増加によるものです。
地震保険は中途付加、中途解約が可能
地震保険は火災保険に付帯して1つで契約することはお話しました。すでに火災保険の契約がある場合、地震保険は契約期間の途中からでも付帯することができます。逆にすでに地震保険の契約をしているが、火災保険は残して地震保険だけ解約するということも可能です。
火災保険をメインに地震保険を付帯するかたちになるので、地震保険を残して火災保険の解約をするということはできません。地震保険は契約期間の途中からでも付け外しできるということを覚えておきましょう。
地震保険の改定に対する対応方法
地震保険は最長5年間しか契約できませんから、うまく回避できて5年間です。これ以降は値上げした保険料になってしまいますが、家計負担が増える中でなるべく負担は少なくしたいものです。
具体的に次のことをチェックしてください。
・現状の地震保険契約の確認
・改定時期とこれまで実施の改定の確認(火災保険含む)
・改定前と後での具体的な保険料のシミュレーション
・必要に応じて地震保険の見直し
一番はじめにすることは現状の確認です。今の契約の保険料はいくらで、いつ契約していて、いつ満期になるのかをしっかりチェックしてください。その上で契約期間中に何度改正があったか確認して、自分の契約にどのように影響があるのか具体的に数字にすることが大切です。その上で契約先の損保や保険代理店などにシミュレーションを依頼してください。
契約期間が長いほど、保険料を一括で支払うほど安くなります。地震保険は火災保険と一体ですから、両方一緒に見直ししてみることをおすすめします。
この記事を書いた人
平野FP事務所 代表 CFP ®認定者、1級FP技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
東京都出身。証券会社、損害保険会社を経て実務経験を積んだ後に1998年から独立して活動をはじめてFP歴20年以上。また相談業務を受けながら、中小企業の支援にも力を入れている。行政機関や大学での非常勤講師、企業研修などセミナーや講演も多数。メディアでの執筆記事も多く、WEBに公開されているマネー記事は550本以上。2016年にお金の情報メディア「Mylife Money Online」の運営を開始。主な著書に「いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)」がある。誰もが自分らしい人生を安心して豊かに過ごすため、「お金の当たり前を、当たり前に。」をモットーに活動中。「Mylife Money Online」のURLはコチラ→ http://mylifemoney.jp