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ボロアパートを“ホテルライク”に——賃貸住宅も街も再生したい若きオーナーの挑戦(2/2ページ)

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大事にしたい“つながり”が増えていく

さまざまな協力者の力を借りて、ボロアパートに新しい命を吹き込んだ富治林オーナー。コンセプトとしていた“ホテルライク”はどのようなところに組み込まれているのだろうか。

「一番は色使いですね。“こういった色使いはホテルを感じられる”など、たくさんのアイデアをもらいました。しかし予算もあまりなかったので、似たような素材や色の材料を自分で選んだんですが……大変でしたね(笑)。例えば、室内に敷いたカーペットもそうです。賃貸ってあまりカーペットの部屋ってないと思うんですが、ホテルでは当たり前ですよね。ホテルでは、デザイン性のあるおしゃれなものを使っていることが多いのですが、日常ということもあり、シンプルで抑えた色合いにしました。カーペットを抑えた色にしたので、壁は白を基調にして、フローリングの色も明るめに。色合いの組み合わせも、非日常をイメージできるようなものを取り入れていきました」(富治林オーナー)

しかし一般的な考えとして、地方の田舎町にこんな素敵な賃貸アパートをつくっても需要はあるのだろうか。富治林オーナーは、物件を購入するときや、ターゲットの見極めはどのように行っているのだろうか。

「もちろん購入前にしっかり調べますよ。今はネットで8割は調べることができます。あとは、現地に直接行って仲介会社を回ります。『どういった人が住んでいるのか』など、エリアについて聞き込みします。今回の物件の管理会社である『合資会社サイセイ』さんは、以前にこの辺りで別の物件を購入したときに知り合って、それからお世話になっています。今回の物件で、管理をお願いするのは3棟目ですね。とてもいい方で、いろんな案件も紹介してくれるので大事にしたいつながりです」(富治林オーナー)

「ターゲットは、1DKなので単身者向けです。そして、今回の物件はペットの飼育も想定しています。周辺にあまりペット可物件がないので、ペットを飼育している人で3〜4万円くらいの家賃しか払えないけど、おしゃれな部屋に住みたい人や、リモートワークする人も増えているので、おうち時間を充実させたい人などが対象です。あと、生活保護受給者も受け入れます。この辺りの生活保護の家賃上限が3万5000円くらいなのですが、そのくらいの家賃だと、やっぱり古いボロ物件になってしまいます。生活保護の人にもいい環境を提供できるかなと思っています」(富治林オーナー)

6部屋の家賃設定も決まり、入居募集も開始したそうだ。モデルルームとして作った1部屋は4万5000円くらいだが、ほかの5部屋は3万5000円程度。相場的には標準くらいなので、同じくらいの家賃の物件には負けないと自信を持っている富治林オーナー。

「すごい田舎なんですが、賃貸住宅が少なく供給が足りていないエリアでもあるので、満室にする自信はあります」(富治林オーナー)

個人オーナーの力の限界

このような建物の再生に尽力している富治林オーナーだが、街全体を変えていきたい、盛り上げたいという想いがあっても、個人の力だけではどうにもならないことが多いという。そのため、起業家としても行動することに。そのサービスが『COSOJI(こそーじ)』だ。

「COSOJIは、賃貸住宅オーナーが所有する物件の共用部清掃や草刈り、点検などの管理業務と、近所でスキルのある方をマッチングするサービスです。オーナーは、清掃費コストが抑えられ、さらに、物件の“今”をクラウド上の写真からいつでも確認することが可能です。また、その地域で暮らす人の収入UPや雇用創出につながる仕組みです」(富治林オーナー)


『COSOJI』のホームページ

COSOJIを立ち上げたきっかけの一つに、「自分の物件以外の賃貸物件もよりよくしたい。たくさんの建物がきれいに維持されることで、入居者も街も変わっていく」という想いが込められている。

「自分で再生した物件名には『レクティブ』と付けています。Re(再び・さらに・新たに)とActive(活動的・積極的・能動的)を組み合わせて自分で作った造語なんですが、古い物件にもう一度活発さを吹き込むイメージです。これは、建物に対してだけではなく、街にも広げていきたいと思っています。そのためにCOSOJIを立ち上げました。COSOJIは事業としてやっているので、もちろん利益も必要ですが、個人オーナーとしては、儲けを第一にとは考えていません。物件を再生しても売却もあまりしませんし。それよりも、その建物と出合ったことで、建物の再生、さらにその地域で何ができるかを考える方が楽しいんです」(富治林オーナー)

「不動産は自分が食えるだけ稼げればいい」と笑って話す富治林オーナーは、現在32歳。20代・30代限定の不動産コミュニティー『TerraCoya大家の会』も運営し、若き仲間を増やしている。若い世代が、不動産業界に新しいカタチを創り出す未来が見える日も近いのではないだろうか。

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この記事を書いた人

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