自民党が空き家対策特別措置法を衆議院を通過、臨時国会で成立させたワケ
ウチコミ!タイムズ編集部
2014/11/21
掲題の「空き家対策特別措置法」が臨時国会にて衆議院を通過、11/19に参院本会議、全会一致により可決、成立しました。これが、解散が決まっているさ中に進められています。国会の中では、ほぼ毎度の様に行なわれている事ですが、中身は結構重要ですから、お話ししておきます。
【空き家対策措置法って何?】
空き家の問題では、各方面から問題提起がされています。
- 犯罪の温床になってしまうのではないか?
- 不法侵入者等により治安の悪化・不審火などの心配。
- 不意な倒壊や災害の影響での近隣への被害。
- 全く手入れがされないまま放置されて景観上の問題。
などと、多方面への影響が度々取りざたされていました。
この様な懸念に対して〜
「市区町村などによる固定資産税の情報照会」を可能にしました。
現行の法律の中では、市区町村等が住民から問合せやクレームが入っていても、縦割り行政の弊害で固定資産税の情報などであっても、市区町村などと共有できずに、倒壊の危険が懸念される空家などの対応に、制限・限界があり所有者を特定できなかった。
更に、今後も人口減少などを原因とした空き家の増加が懸念されていました。本法律の施行は、来年6月頃を目途にしています。
内容は、市区町村による税務署などへの情報照会の権限を強化する事を柱にして、下記の事が決められました。
- 倒壊の恐れがある。
- 衛生面で有害。
- 著しく景観を損なっている。
以上の3点に該当する「特定空家」に関しては、市区町村が所有者に建物の撤去や修繕を命じる事が可能になります。又、上記の様な建物を含めて「対象の建物」に市区町村の立ち入り権限も与えられる。
【考察】
現在までは「事なかれの放置主義」的な対応しかなかった市区町村に大きな権限が与えられました。良く考えれば、問題のある空き家などに「地域事情に明るい」市区町村が一定の権限をもって対処できる事から問題視されていた「空き住戸」の問題に解決の方向が出来てくる…。そんな一面もありますでしょう。
但し「空家問題」は、そんなに簡単な話ではありません。所有者個人の立場に立てば〜
- 相続問題が解決出来ていない。
- 建物を利用するにも「改修費・改築費」がかかりすぎて、費用が捻出できない。
- 所有者や相続者が遠方に生活している為、目が届かない。
- 所有者が高齢の為、何も出来ない。
などなど、理由はたくさんありますが結局は「所有者」が責任を取らされる色合いが濃く出ています。来年には相続税も変わって、この方向でも無理やり動かされる懸念もあります。
気味が悪いですが、国民が気づかないうちに「真綿で首を絞める様に」外堀から責められている気がします。それも「解散」で騒ぎが起きている「どさくさまぎれ」的に。
もっとも、重要法案と言われるような物が、過去にも沢山「○○にまぎれて臨時国会で〜可決、衆議院通過、成立」ありますけど。ただ、この市区町村の権限強化や、相続税の増税、空き住戸対策、民法改正…。
この辺りの話は、単発で判断しないで「全体的」に影響を見て判断しないと、痛い目に会いそうな気がします。今後も、各署の動静や動向を調査しようと思っています。新しい事が分かりましたら、報告しますので、お楽しみにお待ちください。ただ、相続が関係している方は、特に注意が必要と思います。
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この記事を書いた人
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