マンションオーナーが賃貸入居前に契約解除を言われた場合
ウチコミ!タイムズ編集部
2014/10/24
【事例8 入居前の契約解除とその際の契約金などの取扱い】
≪貸主さんからの相談≫
賃貸契約を締結して、マンションオーナーへ前家賃・敷金・仲介手数料の支払いを済ませ、借主さんは部屋の鍵も受取り入居日を待つばかりです。その状態で、マンションオーナーが借主さんから「事情があって契約を解除したい」との申し出がありました。
借主さんが言うのには「まだ、入居前なので、支払った契約金など全額を返して欲しい」というお話しでしたが、どう対応すればいいのでしょうか?
≪法的にはどうなのか?≫
賃貸契約が成立してからの解除になりますので、契約の約定に従って解除の処理を行います。これは、契約してからの日数・鍵の受取り・入居の有無は、もはや何の関係もありません。賃貸契約書に「契約期間中の解除」が定められていると思います。この件は、その内容に従い処理する事になります。
一般的に、契約期間中の借主からの解除は、解除を希望する日時から「1か月前」までという形が多いでしょう。するとこの件の解除日は「申出の有った日から1か月後」となります。
ただ「1か月分の家賃を大家さんに提供する事で、即日解除する事が出来る特約」を付けているケースも多く見られます。この場合だと、1か月分の家賃を大家さんに提供すれば、即日の解除も可能です。注意するのは、先ほどからお話ししている「1カ月前」という話は、契約書を確認しないとわかりません。場合によっては「2か月前」という取決めの契約もありますので。
そして、マンションオーナーに契約時に支払った契約金(敷金・前家賃・礼金・仲介手数料等)については、どうなるかと言いますと〜
- 敷金・・・・・通常の退去と同じ手順を踏んで、お部屋を大家さんに反してから返却される。
- 前家賃・・・・契約の定めに従い清算後に返却分があれば、返納されます。
- 礼金・・・・・契約が成立して後の話ですので、返納されません。
- 仲介手数料・・契約が成立した段階での約定報酬ですから、返納されません。
- その他・・・・火災保険や保証会社などの保険金は、それぞれの会社の規定(契約の規定内容)により違います。
≪問題と考察≫
今回のこのケース、簡単に説明しますと「賃貸契約は有効に締結」されていますので、仲介業者の不手際などの理由で解除される事でもない限り、説明した通りで「敷金以外は返却されない」事になります。
この件に関しては、「大家さん側が以上の内容で解除処理をしても、訴訟で・・・。」という心配はありません。反対に、借主さん側は、契約の時に「中途解約の特約」がキチンと謳われているかを確認してください。
今回の様なケースで「中途解約の特約」が無い契約だとすると、中途解約が出来ないので「2年分の家賃を支払う義務」が起きてしまいます。 通常は、この特約が無い契約も無いとは思いますが、注意してください。
ただ、そんな場合で「裁判で争われた場合」は、色んな状況を裁判官が判断しますので、全額になるかはわかりません。契約が成立しているのは、それ程の効果がありますので、理解しておいてください。
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この記事を書いた人
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