賃貸マンションオーナーのリスク|建物のメンテナンスについて
ウチコミ!タイムズ編集部
2014/09/18
賃貸マンションオーナーが理解すべき具体的なメンテナンスについては、以下に説明していきます。
① 屋根部分について
屋根部分は建物の寿命・耐久力の維持にとって1番重要な場所です。1度、雨漏りなどが始まると、部屋の中の家具だけではなく、壁を含めた建物の構造部分を際限なく痛めるというリスクがあります。唯でさえ日本は高温多湿で雨が多い地域ですし、最近は雨の降り方もとても酷くなっています。屋根の種類別に説明しますと・・・
瓦屋根・・・一部の模造品を除いて、日本の気候には抜群にあっています。焼き物の瓦で、和風・洋風があります。
割れたり、欠けたりしない限り、性能が落ちる心配はまずありませんし、焼き物ですので色落ちの心配も不要です。雨水を落とす機能、雨を侵入させない事では非常に信頼がおけます。ただ、先ほど説明した通り、大風などで壊れた状態を放置すると、どうにもなりません。また、瓦自身の重さは屋根材の中で1番重いですし、屋根形状にもよりますが値段も高いです。
つまり、壊れたり葺き替えたりする場合、費用は屋根材一の費用がかかります。いずれにしても、リスクを省くためにも点検を欠かさず補修をきちんとする事です。
スレート・・・カラーベスト等の名前で親しまれているセメントなどを主原料で繊維で補強された屋根材です。防水、耐久性にも優れ、バリエーションなども豊富です。
しかし、着色された素材ですので5〜10年で再塗装等が必要になります。瓦と同じですが、割れたり壊れたりしている場合は、放置せず補修をする事が絶対条件です。補修や葺き替えの費用は、瓦に比べて比較的、安くなります。ただ、本当に安いものと、性能の高い物の差は結構大きいものです。
ガルバリウム・・数年前から増えてきましたガルバリウム鋼板の屋根材。性能は、耐久性、耐水共に非常に高く、重量も軽いのですが、値段は高めで、雨音なども気になる製品です。バリエーションや種類も豊富なうえ、現在も進化中の製品です。メンテナンスについては、10年前後で点検・塗り替え等が必要になります。
陸屋根・・・ロクヤネと読みます。鉄筋コンクリートのビルの屋上を想像してください。平らな屋根(実際は、若干の排水勾配が付いています)ですから、基本的にその平らな面全体を防水加工します。方法は、アスファルト防水、シート防水、防水材を塗布するやり方があります。
それぞれ素材や工法などにより金額や効果が違います。ただ、ほぼ水平面ですから、水を全て流す事は出来ませんので、防水の劣化が命取りになります。5〜10年で補修が必須となります。
※ 結局、賃貸マンションオーナーにとって点検・補修は必須と覚えて置いてください。
ほっておいて良くなることはありません。最低でも、10年単位で補修などがキチンとされているかです。
② 壁・窓について
壁部分については、最近の建物はほぼ2つのパターンでしょう。サイディング系のボードを貼っているものかジョリパットなどに代表される塗の壁です。窓については、沢山のサッシメーカーがありますが、サッシ単体の性能というより「雨じまい」の部分の影響が大きいと思います。つまり、サッシ枠と建物のつなぎ目の防水の部分の話です。
サイディング系・・・セメントなどを主原料にしたボード(外壁材)です。乾式工法とも言われています。建物の外壁部分に釘や接着剤などで張り付けられています。
ボードそのものの防水性能は、割れたりしない限り問題はありません。しかし、このボードは種類が沢山ありますが、ボード同士の継ぎ目に防水用の目止めがされています。この目止めの防水性能は、10年以上持つものはありません。
少なくとも、10年ごとには補修・改修が必要になります。外的な影響で、割れ・ヒビ等が出来た時には、すぐに補修しないと雨水などが侵入しっぱなしになります。頻度は少ないと思いますが、点検は怠らないようにしましょう。
塗り壁系・・・・・外壁の仕上げにモルタルやセメントモルタルなどの左官仕事で塗っていく壁。湿式工法。素材・工法とも多様化しています。ジョリパットなどもこのカテゴリーに入ります。
塗り壁の下地・塗る素材・厚み等によって強度も値段のピンからキリまであります。30年以上前には「木造モルタル」の住宅も沢山ありました。
この壁の欠点は、壁のヒビです。ヒビが入ってしまうと「毛細管現象」を起こして微細なヒビからでも、大量の水を吸い込んでしまう事。ヒビが出来たらすぐに補修をしないと、中の構造躯体がどんどん劣化してしまいます。
塗り壁の外壁にヒビとシミがいっぱいの住宅、見た事ありませんか? ヤバいと思います。かなりの注意が必要です。ただ、十分な予算をかけて、下地から素材から本当に良いもので作れば別ですが、あまり多く存在しないのが現実でしょうか。
窓の枠の防水・・・現在のこの防水性能は、一般的に10年が限界です。という事は、10年おきに点検・メンテナンスがされていないと、建物自体が劣化しているという事になります。現在、防水に使われている素材は、ゴム系・樹脂系・シリコン系のものがほとんどです。10年間もしくはそれ以上の期間、性能が落ちない製品はないでしょう。
人工衛星や最先端の製品なら別でしょうが、一般耐久消費財の世界では、価格的に無理です。これも、定期的に点検・メンテナンスがされているかでほぼ分かります。
※ ここまで、ざっと話をして来ましたが、結局のところ「点検・補修」がキチンと行われているかを見て行くだけで、ある程度のリスク回避ができ残存性能や寿命も知れてしまいます。20年間、何の手入れもしていない住宅があったとすると、今までの話から見て頂くと、その建物の寿命はもう残っていない可能性が高い事が分かってしまいます。改修や補修の履歴やそれに代わる書類などがある場合、専門家に見て貰えば、事の真偽や効果もわかります。
ただ、市場に出回る物件のどれほどが点検やメンテナンスをしているかは、甚だ頼りない事ですが・・・。ここまでの内容を参考にしていただければ、賃貸マンションオーナー様はかなりの確率で危険は回避できるのではないでしょうか。
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この記事を書いた人
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