「不動産サイトの不思議」その2
ウチコミ!タイムズ編集部
2013/08/25
前回お話ししました、不動産のポータルサイトに「同じ物件が」違う不動産業者から 「同時に沢山掲載される問題!」についてお話ししていきたいと思います。
■何故?同じ物件があんなに沢山掲載されるのか?
~それは、不動産業界の「媒介」のシステムに問題があるからです。
■「媒介」のシステム??それは何?
~現在、不動産の売却をしようとする場合、売却しようとする方が不動産業者でない限り、どうやっても不動産業者に依頼するしか方法がない事はご存知でしょうか?
一般の消費者の方が、不特定多数の購入希望者を探す手立てを持っていませんし、インターネットなどでも殆ど用意されていません。一部、自力でも出来ない訳ではありませんが、不動産業者ほどの業務ツールも、ネットワークも全くと言っていい程ありません。更に、専門知識、危険負担などについては不可能に近いですね。この為、不動産業者に依頼するしか手が無いわけです。
■次に、売却の依頼方法については?
~売却の依頼については、3種類の方法があります。消費者は、その3種類の方法から選ぶ形になるわけです。
①「専属専任媒介契約」第一の方法
~この契約形態は、消費者はこの契約を結んだ不動産会社にだけ販売を委託する形になります。販売を進めてもらい、この業者とだけ話をしながら、買主を探して貰います。もちろん、買主が見つかり契約となった場合、消費者は契約した不動産会社に仲介手数料を支払う事になります。
ただし、この契約形態の場合、自分の友人等が直接本人に「君の家を買いたい」などとなったとしても、この不動産業者を通す形になりますので、仲介手数料を支払わなければなりません。
②「専任媒介契約」第二の方法
~この契約形態は、①の契約形態と殆ど変りません。唯一の違いは売主さんの友人などが「君の家を買いたい」と言ってきた場合、契約状態にある不動産会社でも、売主さんから仲介手数料は取れません。
③「一般媒介契約」第三の方法
~この契約形態は、上記の①、②と大きく違います。まず、不動産業者は何社に依頼してもいい事。仲介手数料は、「契約」になった時の不動産業者にだけ払えばいい事。売主が友人などの買主を見つけた場合、仲介手数料はかからない事。と、殆どの部分が売主側の自由になります。
以上の3種類ですが、ここに書かれている事だけで判断してはいけません。何事もそうですが、良い面・悪い面が当然ありますので、その説明をします。
■では、①と②の不動産業者側のメリットは何か?
~実は、殆どの不動産会社は「媒介契約」に於いて、この二つの契約形態を狙っています。なぜかと言えば、①と②の契約形態の場合は不動産会社1社だけが窓口であり、どんな形でお客さんが見つかり「契約」になっても必ず仲介手数料が貰えるからです。と言う事は、広告も紹介も不動産業者1社が独自の物件として取り扱いが出来収入もある程度保証されているからです。
■それに対して③の不動産業者側のメリットは?
~実は、殆ど皆無に等しいのです。不動産業者にとって、販売物件が増える事はメリットと云えない事はありませんが、同じ物件を同列で扱う不動産業者が沢山いるのでは、どんなに頑張ってもいつ何時他の業者が「契約」を決めてしまうかわかりません。とすると、経費をかけて広告する事も非常に難しくなります。なので、この契約形態の売却物件は、不動産流通機構(REINS)に登録だけをして、ほっておかれるのが殆どです。
■ちょっとまって!ほっておいてどうなるの?
~これも不動産業者の戦略です。不動産業者としては、「一般媒介契約」をして先ほどのREINSにだけ登録すれば、あとは何もしない…。これだけなら、大した経費もかかりません。その上、一般媒介を希望するお客さんは、インターネットなどで不動産の相場などを調べたり、情報を集めたり、自分で資金や予算などを計算していたりしている方が多く、不動産業者の言いなりにならない方も多いんです。
この為、売却価格などについても「自分の意見を強く持って」不動産業者のアドバイスに従わない方も多くいます。つまり、「値段的に高い物が多い」なんて事もあります。
~しかし、相場よりも高値の物件が簡単に売れる事もありません。頑張って売ろうとしている売主さんですが、売る理由が無いわけではありません。自身で気を張って頑張りますが、限界はあります。問合せは無い、反応も無い、売れない…。なんて状態が6カ月も続けば、大概の方は参ってしまいます。
それを待っているのが不動産会社です。そんな業者は、他には何もしてくれませんが、親身になった風で関係が切れない
ように、連絡だけは寄越しています。そんなタイミングで値下げと①か②の形態への契約の変更を誘いかけます。これが、一つのパターンです。
~もう一つのパターンはもう少し積極的で、「一般媒介契約」後すぐに始ます。毎週のようにお客さんを連れて見に来ます。他にも何社にも「媒介契約」を依頼しているのに、1社だけ毎週のようにお客さんを連れてきます。すると、この不動産業者は凄い業者さんだ! と思うのもしかたありません。でも、沢山お客さんを連れてきても一向に「契約」にはなりません。それはそうです。これも業者の戦略で、見せかけです。
連れて来るお客さんの中身は、売主さんには全然わかりません。いわゆる桜的な、ついでに見せているだけだったりします。このやり方は、大手の不動産業者に多いですね。これでも、同じように①か②の形態への変更契約を誘います。怖いですよね。こんな事を裏で平気でやってきますから…。これでは、システムとして機能していないどころか無い方がいいぐらいの話ではないでしょうか?
続きは、次回を楽しみにしてください。
貸主も借主も気持ちよく良い関係を作りたいものです。
部屋を貸したい人、部屋を借りたい人が集まり、コミュニケーションをしているサイトがあります。
ウチコミ!と言います。借主さんも貸主さんも一度覗いてみてはいかがでしょうか?
この記事を書いた人
賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン『ウチコミ!タイムズ』では住まいに関する素朴な疑問点や問題点、賃貸経営お役立ち情報や不動産市況、業界情報などを発信。さらには土地や空間にまつわるアカデミックなコンテンツも。また、エンタメ、カルチャー、グルメ、ライフスタイル情報も紹介していきます。