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都心の旗竿地・空き家

物件価格の安さを生かしてフォーム、リノベで利活用

川久保文佳川久保文佳

2019/06/07

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イメージ/123RF

空き家についての様々な事業体

ここ最近、「空き家」に関係する事業を行う企業が増えてきています。特に空き家に投資を促すような会社もあり、空き家活用法として、投資を題材にした書籍の発行も増加の傾向にあります。空き家は投資対象になるか? という事に対して、安易になるとは言い難い物件もあるので、十分に気を付けなくてはいけません。建物を壊して更地にして、建てなおした方が安上がりという事も十分にありえるからです。

なかでも古民家については、躯体部分を現存のままの維持しようと心がけるために、大工仕事が高くついてしまうという場合が多いのです。なぜなら、現在の2×4などのパネル工法の建築方法とは異なり、古い建物は大工が手仕事で建てたものが多いためです。

旗竿地(はたざおち)の建物

そんななかでも最近、旗竿地(はたざおち・道路(公道)に接する出入り口部分が狭い道路上の敷地になっていてその奥に家の敷地がある形状の土地)の空き家物件の相談がきます。

旗竿地は比較的安く、東京・新宿近郊の都心でも1戸建て3LDKが3000万円ほどで手に入るものもあります。築年数も様々ですが、築40年程度の家がよく見受けられます。

こうした物件は安いというメリットがあるものの、家に囲まれていることが多く、隣接する環境への配慮は欠かせません。

具体的には、①出入りする道路が他の隣接した住宅との半分ずつの持ち合いの場合、隣接する家との境界の壁部分が自分のものではない為に造作が難しい。②荷物の搬入や工事車両が入ることが困難で、リノベーションや建築コストが上がってしまうことも多い。③水道管のメーターが建物とは遠い敷地の入口付近にあったり、電線やケーブル工事が大変だったりといったこともあるなどです。また、周りを家に囲まれ、風通しが悪くなる場合も多いようです。

都心近接の快適な住まいというのは、だれもほしいもの。そこで物件そのもの安さのメリットを生かして、空き家から開口部や採光部分の変更などを行うことで対応するということも可能でしょう。

空き家になって久しい住まい

東京都内でも空き家が多く、私も仕事の関係で、頻繁に現場を訪ねることが多くなってきました。空き家になっていると、鳥や虫、時には小動物が入り込んで住み着いてしまうということが起きます。また、頻繁に窓を開けるなどして風を通しおかないとカビ臭くなり、家が傷んできます。時には気が付かないうちに雨漏りがしている場合もあります。

空き家はリノベーションして、シェアハウスや宿泊施設に利用されることも多いのですが、空き家を利活用したいという要望で多い案件は、生活困難者や高齢者、障害を持たれた方のための住居です。とはいえ、リノベーションが伴うためにすぐに利活用とはいかない場合も多くあります。

住宅扶助という制度があり、東京都23区内では一般的な扶助額は級地(土地が等級に分かれている)によって異なりますが、1人の場合40,700円~53,700円が家賃補助となる場合もあります。

障碍者のみのシェアハウスでリーダーさんが同居型の物件では、補助がでるようですが、健常者と仲良く同居という形式だと難しいようです。

そういった扶助を利用せずに障害を持っている方と健常者との共同生活のシェアハウスを立ち上げた方に会いました。メディアエンジン有限会社の内田勉さんです。健常者が障碍者のお手伝いをして一緒に暮らすことにとてもメリットがあると考えているようで、一軒目を神奈川県川崎市で運営しているようです。

いざ空き家再生しようとすると

こうした空き家を利用しようとすると、どうしてもリフォームか欠かせません。しかし、実際には安価にリフォームしてくれる業者はとても少ないのが現実です。実際、リフォームには大きな費用が掛かってしまいます。当然なことですが、空き家物件購入をする場合は、事前にリフォーム費用の概算は知っておきたいものです。

なかでもトイレ、バス、キッチンといった水回りを改良しようとすると簡単に800万円といった物件よりも高い費用見積もりが出てきたりします。安く買った空き家のメリットを最大限活かすには、安い金額でリノベーションしなくてはいけません。そこで、できる部分は購入者が自ら大工仕事をしようという方も増えているようです。最近では障子や襖の張り替え教室に加えて、大工仕事のスクールの受講生も増えています。

新宿区に本社を構える人材紹介会社株式会社イマジンプラスの関連会社である匠アカデミーでは1DAY講座 7時間・受講料20,000円でクロス・クッションフロア・フロアタイル貼りなどが現場の職人から直接学べるといったスクールも開設されていて、シニア世代の受講も多いといいます。空き家を利活用するためには、海外のように自分でDIYをしながら建物の価値を上げて、住み替えていくといったスタイルもこれからは喜ばれるのかもしれません。それには、家を購入したら、自らで手を加えていくべきだという意識改革やホームインスペクション(住宅診断)という方法で家の価値を保っていくということが大切に思えます。

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この記事を書いた人

一般社団法人空家空室対策推進協会代表理事/株式会社エアロスペース CEO/ビーモア株式会社代表取締役タナメラジャパン(マレーシアスパコスメ)代表/jasmin(全国民泊同業組合連合会)理事

一般社団法人空家空室対策推進協会代表理事/株式会社エアロスペース CEO/ビーモア株式会社代表取締役タナメラジャパン(マレーシアスパコスメ)代表/jasmin(全国民泊同業組合連合会)理事 北海道函館市生まれ。現在の札幌国際大学 卒業後、リクルート住宅情報事業部にてライターを務めた後、IT企業を経て不動産関連事業へ転身。その一方で、化粧品とサプリメントのコンサルティングや専門家としてのアドバイザー務める。海外派遣先では、フィリピン・タイ・カンボジア・マレーシアなどで日本への輸出入をテーマにセミナーを行うなどマルチに活動している。

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