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家賃債務保証会社の重要性を認識。杉並区アパート2名死傷事件

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家賃債務保証会社のスタッフが刺されて死亡

年明け間もない1月15日、賃貸住宅関連業界を揺るがす事件が起きている。

家賃債務保証会社に勤めるスタッフが、アパートの住人に刺された。搬送先の病院で死亡が確認されている。

現行犯逮捕されたのは40代の男で、凶器は包丁だったという。

共に刺され、助かったもう1人は、東京地裁の執行官とのこと。2人は住宅明け渡しのための強制執行と、それに関連する手続き等のため、現地を訪れた10人に含まれていた。

男は、ほかにもカセットボンベのガスに火を点け、住んでいた部屋を焼損させている。一時は逃走もはかるなど、付近はしばらくの間騒然とした状態となった。

理不尽な犯行の犠牲となったスタッフのご冥福を心からお祈りしたい。

100万円近くを滞納か

その後、日が経つにつれ、事件の背景がいろいろと分かってきている。

容疑者の男は、長期にわたる家賃滞納のため訴訟を起こされ、その結果、事件当日が現場となった部屋の明け渡し期限となっていた。

報道によれば、家賃の額は月5万5千円。

訴状に記された時点で滞納期間は約11カ月に及んでいたが、その後の分も含めると、滞納額は今年1月までに100万円近くにのぼっていたとされている。

ちなみに、この金額および期間は、かなり悪質といえるレベルのものだ。

貸主(オーナー・大家)が退去を求め、裁判に訴えるのは当然で、入居者に弁解の余地はない。その旨、業界内の誰が問われても同じ答えとなるだろう。

男は、かつてIT関連企業に勤めていたという。

ところが、「コロナ禍以降、就職する気になれず」(報道されている供述内容)―――ということで、当初は生活保護を受けていたらしい。

そのうえで、いわゆるスキマバイトで働くこともあったが、そこで収入を得たことで保護は打ち切りに。(との報道がされている。当該収入が絡んでの不正受給と判断されたようだが、詳しい経緯は不明)

最終的には、「部屋を追い出されたら、どうやって生きればよいか分からない」といった状況に追い詰められ、ついには自暴自棄に陥ったようだ。

なお、この男に対しては、先般1月28日より、刑事責任能力の有無を調べるための3カ月間の鑑定留置が東京地検によって行われている。

浮かび上がってきた「家賃債務保証会社」の重要性

今回の事件により、ある意味皮肉なことだが、ひとつの重要な事実が浮かび上がってきている。

それは、家賃債務保証会社という存在の価値だ。尊い人命と引き換えに、その重要性を多くの関係者が再認識することにもなっている。

賃貸住宅で家賃を払わず、滞納し、居座る入居者のなかには、

  • 「困窮した状況に追い詰められている人」
  • 「困窮しているかどうかに関わらず、確信犯的に(故意に)それをしている人」

双方併せ、「危険」といえる人物が少数ながら見られることは、業界関係者にはもちろん知られているところだ。

これらの人物は、とりもなおさず、個人のオーナー(大家)が面と向かって相手にするにはリスクが重すぎる人々といわざるをえない。

しかしながら、家賃債務保証会社との契約があればそれが避けられる。オーナーはリスクから逃れられる。

「故意」や「自暴自棄」の人―――そうした中には反社会的な集団・業務に関係する者や、禁止薬物の使用者なども時折いたりする―――を相手に、素人が交渉や説得を行う危険を避けられることになるわけだ。

なお、管理会社のみがいる場合も同様にリスクを避けられることは多いが(契約内容にもよる)、家賃債務保証会社は、いわば事務代行する存在である管理会社とは一段、立場が違う。

彼らは、滞納した入居者に代わってオーナーに家賃を支払った上で(代位弁済)、入居者に対しては、肩代わりした家賃を請求する債権者となる。すなわち、督促行為の主体となる。

入居者と1対1で相対する当事者になってくれるという点で、オーナーにとってこれほど肩の荷が下りる存在もないだろう。ちなみに、管理会社にとっても、それは同様のこととなる。

最高裁判所は、今回の事件を受け、全国の地方裁判所に向け事務連絡を発した。

強制執行の現場での不測の事態に対し、「執行官および関係者の安全の確保を最優先に行動することが重要」との内容になっている。

当然のこと、家賃債務保証会社も、スタッフの身体・生命を守るため、強制執行への立ち合いに限らず、日頃からのケア、フォローを充実させていってほしいものだ。

昭和の滞納とは違う令和の滞納

家賃の滞納といえば、昭和の昔にはギャグ漫画のシチュエーションとして描かれたり、TVなどのコントとしてよく演じられたりしたものだ。

大家さんが「今日こそ払え」と、店子(たなこ・入居者)の部屋のドアを叩いたり、店子が窓から逃げたりする。

逃げる店子を大家がホウキを持って追いかけたりする。

これらは、さほど作り話でもなく、近いことはあちらこちらで実際にあった。(大家が取り立てに来ると入居者が居留守を使うなど)

建物賃貸借契約が、確固たる契約でありつつも、実際にはウェットな人間関係に浸されている度合いが強かった、失われた時代の景色にほかならない。

一方、令和のいまにあっては、そんなノスタルジックに浸ってはいられない。

近所の店での「ツケ」が無くなったように、「大家さん、今月苦しいから家賃もうちょっと待って」も無くなった。

契約と、それを支える法律のもと、オーナーも入居者も互いが緊張関係に立ちながら扱っていかなければならないのが、現代における家賃というものだろう。

(文/賃貸幸せラボラトリー)

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この記事を書いた人

編集者・ライター

賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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