収益不動産で安定収入を得るリスク軽減術
熊ヶ谷一幸
2016/09/27
どのような投資においてもリスクはあるし、それを100%避けることはできません。しかし、それらのリスクを軽減することは可能です。不動産投資においても、収入に関わる様々なリスクを軽減するための対策を行うことが可能です。ここでは、専門業者との提携による空室や家賃滞納リスクの軽減、また、火災保険や地震保険の活用による天災のリスクへの対応などについて説明します。また、長期的に安定した収益を得るための戦略と工夫についてもお話していきます。状況に応じて柔軟に対応していくことが、リスクの回避に役立つことを覚えておいて下さい。
家賃保証・滞納保証サービスの活用
「借り手市場」と言われる今、空室はとても身近なリスクとなりました。また、家賃の滞納についても非常に頭の痛い問題であることは想像に難くありません。こうしたリスクの軽減には、不動産管理会社の家賃保証サービスを利用するという方法があります。管理会社が一定期間物件を借り上げ、それを借り手に転貸(また貸し)するしくみです。その間、オーナーには、借り手の有無に関わらず一定額の家賃が支払われるようになっています。また入居した借主の家賃の集金を代行し、滞納があった時には業者が立替払いしてくれるサービスもあります。
不動産投資に付随する収入関連のリスクのうち、一番大きなものはやはり家賃収入の滞りに関するものでしょう。ここでは、不動産管理会社のサービスである「家賃保証」と「滞納保証」を取り上げ、賃料の滞るリスクを軽減する方法について述べました。利回りという点では、管理会社に手数料を支払うこれらの方法はたしかに利回りの低下を招きます。しかし、プロの手を借りることで、安心感を買い、リスクを避け、安定した収入を得られることは、長期的に見て決して不利なことではありません。また、収益不動産を借入により購入していた場合、家賃の滞りはローンの返済にも影響を与えかねないため、このシステムがわが身を守る盾にもなることでしょう。
地震・火災保険への加入
不動産投資が「物」への投資である以上、現物をなくしたり破損したりすることは大きな痛手と言えます。しかし、地震や火災といった災害は、いつどこで発生するかわかりません。不動産に関しては、それらの災害に備えるものとして火災保険や地震保険が用意されています。火災保険では、建物の形状や材質により保険料率が変わってきます。また周囲に木造住宅が多かったり、細い路地の先で消火活動に支障がでるような場合にも、料率が上がることがあるので注意しましょう。地震保険は火災保険に特約で付けることができます。
入居条件の差別化
安定的に収益を上げるためには、その物件が借り手から見て魅力的なものである必要があります。まず考えられるのが、賃料の値下げでしょう。契約時の一時金をなくしたり、賃料のまとめ払いで割引をするなどの方法も有効です。収益には打撃となるため、躊躇われることもあるかと思いますが、長期間空室のままにすることを考えれば、即効性のあるこの方法は検討の余地があります。また入居の条件を緩和することで、他物件との差別化を図ることもできます。「ペット可」などの物件はまだまだ少ないため、賃料の値下げをせずとも借り手のつく可能性があります。
管理会社の見直し
実際に投資用不動産を管理・運営していくにあたって、管理会社の選定は非常に大切なものになってきます。入居率の悪かった物件が、管理会社を変えただけで埋まったりするのは、よくあることです。そのため、依頼している管理会社に不満がある場合には、思い切って管理会社を見直すことも検討するようにしましょう。会社によって広告媒体はまちまちですから、媒体の多い会社を選ぶという方法もあります。また、クレームの処理能力の高さや入居者への24時間対応が可能であることなどは、その物件を検討している人にとっても大きな魅力となります。
この記事を書いた人
不動産鑑定士
株式会社東洋不動産研究所 代表取締役。1966年(昭和41年)生まれ。平成元年 慶応義塾大学法学部政治学科卒業。 学生時代はバトミントンなどのスポーツとアルバイトに没頭。不動産を生かすのは人間次第であり、個人生活・企業活動の成長は不動産のあり方・価値を極大化し、さらに個人生活・企業活動を成長させる、という不動産とのベストな付き合い方を提唱。どのタイミングで取得して処分するのかを時間軸でとらえ、ソリューション型の不動産調査・鑑定を日々実践している。 趣味は、エアロビクス。大手スポーツクラブの特別会員となっており、時間があればあちらこちらのスタジオに出没しては、主に中上級者向けエアロビクスを楽しんでいる。来年は、競技エアロビクスにチャレンジしようと考えている。 [担当]物件調査 熊ヶ谷一幸は個人間直接売買において物件調査により権利関係の確認をします。