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[連載★ウチコミ!が斬る!!]1.民法改正で原状回復が請求できなくなる?

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民法改正について、巷では「セミナー、講演会、研修会など」と取りざたされています。現段階で、発表されているのは「弁護士さん」などが多いからでしょうか?何かわかりにくい感じがします。そこで、民法の条文などを掲載するのではなく、どんな事が変わるのかをわかり易く説明していきます。

 

【原状回復が義務として定義される関係】

 

「原状回復」と言いますのは、借主さんが通常の退去を行う時の「賃貸住宅の改修・補修」についての事です。今までの法律では、この原状回復についても「何の取決め」も「定義」も有りませんでした。

 

その為もあってか、現在でも「原状回復についての揉め事」が非常に多く、問題になっていました。酷い内容では「訴訟」になっている物や、内容証明などの送りあいで「解決不能」になっているものがあります。この為か、今回の「民法改正」では、裁判の判例に基づくものが多く取り入れられています。

 

今回定義される内容は次の通りです。
「賃借人が借りた住宅を賃貸人に返却する際に、原状回復を行う事が義務化されました。」
「但し、返却する住宅の損傷などの内、通常の使用による損耗分は含まれない事も定義されました。」
これから、どんな事が分かって来るかと言いますと・・・。

 

大家さんが借主さんに「原状回復」を請求する事は出来ますが、借主さんが使用した年数に応じた損耗分等については、請求が出来ない事になります。

 

  • 部屋のクロスなどの壁の部分の「経年分の劣化等」は、請求出来なくなります。
  • 部屋に設置されていた設備についても「経年分の劣化等」は、請求出来ません。
  • 建具類や床・畳についても「経年分の劣化等」は、請求出来ません。

 

これでは、大家さんは「原状回復なんて請求出来ないじゃないか〜」となりそうですよね。民法で定義されてしまうのですから、恐怖すら感じる方も多いかと思います。

 

しかし、ちょっと続きがあります。この「通常損耗・通常劣化に対する原状回復義務」は、民法の中でも「任意規定」と考えられるので、民法とは違う形での「原状回復の特約」を結ぶ事は可能と言えるでしょう。

 

民法と言う法律の中には「任意規定」という「当事者間の合意の上で違う取決めが可能」な法律と「強行規定」という「民法の規定以外の取り決めは無効にされる」法律の2種類があります。今回は「任意規定」に類する方向性ですので、可能と言う説明をしています。

 

話を戻しますとつまり、ハウスクリーニング的な費用の負担をお願いする特約の様な物等は出来ると思います。

ここで、注意する事は〜〜

  • 費用の負担額等を明確にする事。
  • 契約書などに「ハッキリ」と明記する事。

 

これだけは、必須となりますので、今までよりも詳細に明確に説明し契約調印しましょう。くれぐれも、高額すぎない事と幅広い内容を強要しない事は「カギ」になってきます。高額すぎない目安は、ハウスクリーニングの例でしたら「賃料の1か月分を超えない」部分になって来るでしょう。

 

もちろん、ここで話しているのは「通常損耗・通常劣化」の話ですから、借主さんが「故意で壊した等」の損傷部分の話は、完全に別枠の話になります。 つまり、その分は別で請求できるという事です。

 

付録:原状回復についての裁判の判例(予備知識)

 

最近の「原状回復」を巡る裁判判例を説明します。「原状回復について」は、借主さんが賃貸契約を結んだ最初の時点に戻す事では無い。と結審しています。ですから、現状でも「入居時の状態に戻す」事を強要しても、訴訟になれば「敗訴確実」です。

 

裁判所側の考え方は、大家さんが所有する建物を「家賃」を取って貸しているので、大家さんの責任もあるとしています。その責任の中で、償却・劣化していく部屋の中の対価を「家賃」にも含まれていると考えています。元来、大家さんは「自分の建物」を維持管理する責任があります。

 

それなのに「家賃」で劣化分等を改修しているにもかかわらず、借主さんが退去する時に「原状回復」の名のもとに、劣化分の回収を行おうとする・・・。これは、完全な「二重取り」としか見ていません。

 

このように考えている為、現状での「原状回復」の訴訟は「大家さん側の敗訴」がほぼ決まりなのです。

 

不動産経営に関してはもはや不動産会社さんにおまかせということでは成り立たなくなりつつあります。

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