宅地建物取引業の更新とレインズ、不動産業界の問題点
ウチコミ!タイムズ編集部
2014/11/05
前回の記事、「宅地建物取引業とはどんな免許なのか?」もお読みください。
【不動産業の営業活動とは?】
不動産業のシンプルな営業手法は「広告→集客→案内→契約」という方法です。ほとんどの会社が、この手法でずっと続けてきました。最近のインターネットの普及した世の中でも、基本は一緒です。自分のお店にお客様に来ていただかないと、話は進みません。
昔は、お店の店頭に広告や看板などを使っての集客と、新聞などのチラシが主でした。現在は、インターネットの不動産ポータルサイトがそれに代わっています。インターネットが普及していても、最終的には「売買・賃貸」ともに見ないで買う方もいませんし、ネットで契約と言うシステムもありませんので、こうなります。
これは、日本の最大手の不動産屋さんでも、街中の小さな不動産屋さんでも大差ありません。しいて言えば、「ブランドがあるかないか」と「かけるお金の違い」ぐらいですね。原則的に、土俵は同じですから「ブランドや資本の違い」は大きな差になります。そして、このやり方を頑なに守ってきた様なところがあります。
ただ、先ほども話した通り昔に比べて結局は「集客の為の広告費」が格段に増えてしまっています。インターネットのポータルサイトも10数年前までは、使わなくても営業できていましたので、完全に上乗せの経費になっています。1つのサイトで1カ月の使用料は何十万円にもなります。
広告のツールですから1つだけというわけにもいかず、幾つかのポータルサイトを使うしかありません。人件費にしても、インターネットのサイトは自分たちで物件情報などのメンテナンスを頻繁にしなければなりませんし、問合せの電話もかかります。お客さの案内にも出かけますし、契約書の作成などの事務もあります。結局、小さなお店でも少なくとも2~3人ぐらいは必要ですね。そして、不動産業で収入となるのは「仲介手数料」ほぼこれだけです。
建築業やリフォーム業でも併設していれば違いますが、不動産業1本ならこれだけです。賃貸契約なら家賃の1カ月、売買の仲介なら物件価格の3%+6万円と消費税です。小さなお店でも営業するまでに500万円程かかった上に、以上の営業経費+人件費もろもろと大変な事です。
その上、購入にしても売買にしても「物件」を案内しなければなりません。営業車、維持費、ガソリン代などもかかってきます。販売している物も、スーパーなどと違い「ついでに買ってくれる」気軽な商品を売っているわけでもありません。知識や経験、そして営業力も大きなウェイトを占めています。
【そして、業界の呪縛・不動産業界の問題】
不動産業界にも、業界団体が沢山あります。宅地建物取引業協会をはじめとして、不動産協同組合、宅地建物取引業保証協会などなど、本当にたくさんあって日夜増え続けています。 いわゆる既得権益のうんぬんのです。
その中で業界団体が一番気にしているのは、会費を納めてくれる「不動産業者」が減ってしまう事でしょうか。結果的に見れば、違法な取引や違法な営業をしなければやっていけない状況が見え隠れします。不動産業界だけでは無いでしょうが、こんな構造があります。
「決められている報酬をいかに効率よく回収するか」に捉えられ過ぎて、一番根幹になる消費者が置き去りです。これは、大手不動産会社でさえ変わりません。
そして、よくよく考えて見ると不動産業者のほとんどが「仲介業」を主な営業としている点。トヨタ自動車は、自分の会社で製品を開発して製造販売しています。アサヒビールも自社で開発して製造販売をしています。
でもちょっと変です。
■不動産仲介会社は?
他人の作った物を、買い取って自分のものともせず、そこに何か手を加えるでもなく、仲介をして売主の責任もなく、仲介手数料をもらう・・・。大本の不動産情報は不動産業者だけに囲われていて、賃貸で言えば、物件の固定資産税などの負担も無く維持管理費の必要もなく、借り手がつかなくても損失は無く、退去後の改修工事などの費用負担も無い。そして仲介手数料の何か月分もの収入を取り、貸主・借主双方に負担をかけている。
確かに、現時点では不動産会社が仲介してくれないと「法的な問題が起きた時」に消費者が困ります。複雑な法律や専門的な知識・経験がないと、契約条件の取り決めや契約書自体が作れません。契約の条件などは、売主・買主(貸主・借主)で利益が相反しますのできちっとした状況に応じた「交通整理」ができないと契約当事者の双方に禍根を残すことになります。
更に、最近の不動産業界に疑問を投げかける向きも、徐々に増えてきています。不動産業界内でも、現在「不動産業界内でしか見る事の出来ない、不動産流通機構(REINS)」を一般公開する方向の話が出始めています。当然の事ながら、業界内では「大反発」が起きていて、いつできるかは今の所不明です。
なぜ業界が大反発かと言えば、現在、不動産流通の情報はこのREINS(レインズ)しかないと言ってよく、このREINSは、不動産業者にしか見る事が出来ない専用サイトです。大手ポータルサイトも沢山ありますが、全ての大本はREINS(レインズ)なのです。この大本を押さえている事で不動産の仲介が成り立っています。
一般の消費者が見れるのでしたら、直接大家さんに連絡できますから、仲介が死滅します。不動産業界が自ら消費者と不動産業者に隔絶たる情報格差を生むシステムを作りだしてそこを守って、人工的に「優位性を作り出す」こんな状況なのです。皆さんも思い当たる節がありますでしょう。
どこの不動産ポータルサイトを見ても、結局は不動産業者に連絡しないと詳しい事は何一つわからない。情報を公開しているのではなく、不動産業者の為の「集客ツール」でしかありません。実は、このポータルサイトも不動産業者が広告費を払って物件を掲載しているわけで、運営会社も消費者の方を見ていません。最大の顧客は、あくまでも不動産会社ですから…。
こんなシステムが宅地建物取引業の実態です。細かい話は、また後日に沢山ご紹介して行きたいと思います。
不動産経営に関してはもはや不動産会社さんにおまかせということでは成り立たなくなりつつあります。
大家さんも自分で動いて集客をしてくることが大事です。しかし、これまでのシステムでは自分でできることは限られていました。そんな中出来上がったのが大家さんが自分で物件を紹介できるサイト、ウチコミ!です。
所有されている物件の募集をかけることが可能です。大家さんであれば是非一度見てください。
この記事を書いた人
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