原状回復の定義が変わり敷金返還請求の訴訟が起きるのか?
ウチコミ!タイムズ編集部
2014/10/08
【賃貸住宅の退去時の原状回復義務について】
・賃貸住宅の原状回復についての定義は?
「通常の使用による損耗や、経年変化は含まない」と定義される。
どうゆう事かと言いますと・・・。
- 畳の日焼け、フローリングの日焼け
- クロスの日焼け、テレビや冷蔵庫の電気焼け
- 建具の使用による減り、劣化
- 設備の経年消耗、劣化など
こんなものが全て「大家さんの負担」になります。
つまり、借主に原状回復費用として請求すると、違法になります。現在でも「原状回復費に纏わる訴訟」(敷金返還請求)の多くが、既にこの基準に近い結果が出ています。もちろん「ある意味の悪質さがうかがえる案件」ですが、そのおかげで尚厳しい状態にもなりますね。
原状回復についての考え方をお話ししておきます。まず、原状回復とは何かと言えば、借主が賃貸住宅を使って退去する際に、何処まで直す必要があるのか。という所から話していきますと・・・。
過去の判例から、原状回復とは「借りる前の状態に戻す事ではない事」と定義されています。つまり、いくら新品のクロスの張り替えをして、畳の表替えをして、キッチンなどを交換していたとしても例えば、借主が5年間賃貸住宅を利用していた場合、退去時に5年前の状態に戻すことを原状回復とは認めず償却分を差し引いた請求しか認めないものです。
その意味は、償却していく部屋のクロスや畳などは、賃貸住宅の耐久消費財です。借主から受取る賃料には、この耐久消費財の費用も含むという見方が合理的とされ、その為、退去時に原状回復費用を請求する事は、原状回復費の2重取りとみられて、家主側が敗訴しているケースが多いのです。
わかり易く言えば、大家さん自身の財産を良好に維持管理する費用を、賃貸契約して使用しているとは云え第三者に全額負担させるやり方に「合理性は無い」と判断されています。
ただ、現在まで、法律上で明確に規定されていない為に、地域の違いや慣習の違いなどにまかせっきりになっていただけで、昨日今日変わったわけでもありません。
また、家賃がそんなに高くない賃貸住宅のトラブルや敷金が何カ月分も納められていたケースなどで、借主が泣き寝入りしていたり、原状回復費用がそれほど高額では無い案件などは、そのまま問題が起こらず表面化していなかっただけです。
日本も、不景気が高じて借主も「無駄なお金」という捉え方をしてきて、そんな中で、高額な、強引な請求が増えている為、表面化しているわけです。そんな事を背景に、今回の「民法改正」が行われるのです。ただ、原状回復費が一切認められない訳ではありません。
【原状回復費が認められるケース】
- 間違えた使用法などにより、破損・汚損した設備や内装材など。
- 借主が故意・不注意により破損・汚損したもの。
- 規格外に汚損したもの。
- 普通に壊れてしまった設備を、放置したために起きた破損・汚損など
上記の様な案件は、借主に責任があるものとして原状回復費を請求する事が出来ます。
いずれのケースも、壊したり汚したりの程度にもよりますが、大家さんに責任がある様な話ではありません。このように変わっていくと、見て行かなければならないと思います。
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この記事を書いた人
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